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【第58回】徳野慎一

徳野慎一

神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール教授

所属・役職は取材当時（2025年9月11日）のものです。

「音声バイオマーカー」の研究・開発を続ける

神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール教授の徳野慎一（とくの・しんいち）医師は、これまであまり顧みられることがなかった「音声バイオマーカー」の研究・開発を15年以上続けている。音声は随意反応と不随意反応によって変化し、声帯は運動神経と副交感神経の支配を受けている。徳野氏らは、声帯で生じる音声の不随意反応に着目し、医工学技術（音声病態分析）を用いることで、声をバイオマーカーにして心や身体の変化、さらには疾患の有無を可視化しようとする試みに挑戦してきた。研究成果は、すでに自分のストレスの程度やうつ病の兆候などを簡便に捉えることができるスマートフォンアプリケーションとして製品化され、活用が始まっている。音声バイオマーカーは国際的にも注目されていて、徳野氏によると2009年まではPubMedの「Voice Biomarker」で検索しても年間わずか数件のヒットにとどまっていたが、その後、徐々に増えて22年以降は年間70件を超えるようになった。防衛医科大学校を卒業後、自衛隊中央病院の心臓血管外科医だった徳野氏が、なぜ音声バイオマーカーの研究にのめり込むようになったのか。川崎市にある同大ヘルスイノベーションスクールの研究室で話を聞いた。

プロフィール

1998年防衛医科大学校卒業、自衛隊中央病院心臓血管外科勤務後、スウェーデン・カロリンスカ研究所大学院へ留学、同校で医学博士取得、イギリスで災害医療専門医（DMCC）取得。2000年陸上自衛隊衛生学校戦傷病救急医学教室教官、05年陸上自衛隊第6師団司令部（医務官）、06年防衛医科大学校防衛医学講座准教授、12年陸上自衛隊衛生学校主任教官を経て、14年から東京大学大学院医学系研究科音声病態分析学特任准教授。20年～25年8月まで同大大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻音声病態分析工学特任教授。19年から現職。

徳野慎一氏の主な著書

Voice Biomarkers (Springer Nature Singapore) 共著
Pathophysiological Voice Analysis for Diagnosis and Monitoring of Depression. Understanding Depression（Springer Nature Singapore）共著
とにかく使えるモニター心電図（照林社）

記事執筆の参考にした門田行史氏の著書

Yasuhiro Omiya, Daisuke Mizuguchi, and Shinichi Tokuno, “Distinguish the Severity of Illness Associated with Novel Coronavirus (COVID-19) Infection via Sustained Vowel Speech Features,” Int. J. Environ. Res. Public Health 2023, 20(4), 3415

声で心の不調を計測するスマホアプリ「MIMOSYS」を世に出す

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