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【第55回】田中 和美

田中 和美のイメージ

田中 和美

群馬大学大学院医学系研究科 医療の質・安全学講座 教授
群馬大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部 部長

所属・役職は取材当時(2025年1月23日)のものです。

医療事故の教訓を胸に、医師と患者のよりよい信頼関係の構築に努める

群馬大学医学部附属病院の旧第二外科で、同じ医師による肝切除術を受けた患者の死亡事例が相次いで発生した(6年間で、腹腔鏡下肝切除術8例、開腹肝切除術10例)医療事故。その発覚から10年が経過した。第三者による医療事故調査委員会の「報告書」や再発防止に向けた「提言」などを受けて、病院改革が進められるなか、旧第二外科出身の田中和美(たなか・かずみ)医師は、2017年8月、同大大学院医学系研究科に新設されて間もない「医療の質・安全学講座」の助教となり、23年4月からは同講座の教授として、また同院の医療の質・安全管理部部長として、安全で質の高い医療を患者に届けるため、「患者参加型医療」の推進などに力を注いでいる。14年に発覚した医療事故を自身はどう受けとめたのか。外科医から医療安全の道へ転身するきっかけは何だったのか。患者参加型医療として院内で具体的にどんな取り組みを展開しているのか。医学生に対しどういった内容の医療安全教育を行っているのか。その一つひとつを語ってもらった。

プロフィール

1998年、東京大学薬学部卒業。同大大学院薬学系研究科修士課程修了後、群馬大学医学部医学科学士編入学。同大医学部附属病院臨床研修センター研修医、2006年、同附属病院臓器病態外科(第二外科)に入局し、消化管外科へと進む。14年、同附属病院医療人能力開発センター助教となり、スキルラボ部門責任者としてシミュレーション教育に従事するとともにスキルラボセンターの管理運営を担う。16年、同大大学院医学系研究科博士課程修了。17年に同大大学院医学系研究科「医療の質・安全学講座」助教となり、19年10月から9か月間、WHO本部 Patient Safety Flagship(患者安全部門)へ出向。23年4月から現職。同大多職種人材育成のための医療安全教育センター副センター長も務める。医学博士。

記事執筆の参考にした田中和美氏の論文等

  • 田中和美 患者・家族とのコミュニケーション・意思決定への医療安全部門のかかわり
    患者安全推進ジャーナル 74:16-21, 2023
  • 田中和美 小松康宏 監訳 世界患者安全行動計画2021-2030 医療における回避可能な害をなくすために (WHO Global Patient Safety Action Plan 2021-2030 日本語版)
  • 群馬大学医学部附属病院 改革工程表の各項目(提言等)に係る改善・改革の実施状況 2022年7月1日
  • 群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会報告書 2016年7月27日

ICの録音やカルテ共有など、「患者参加型医療」の推進を図る

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