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【第45回】村垣 善浩

村垣 善浩のイメージ

村垣 善浩

神戸大学未来医工学研究開発センター長 神戸大学大学院医学研究科副研究科長・教授

スマート治療室の開発・実装を指揮。医療機器開発を主導できる人材育成にも着手

手術室にあるさまざまな医療機器をつなげて情報を一元管理し、統合表示される術中情報を確認しながら手術を進めることができる、スマート治療室「SCOT®(Smart Cyber Operating Theater)」。手術室があたかも一つの医療機器のように運用されるSCOTの開発・実装を指揮してきたのは、脳神経外科医で悪性脳腫瘍の治療が専門の村垣善浩(むらがき・よしひろ)医師だ。長年、手術の精度や安全性の向上を狙って、あるべきオペ室の姿を「未来医療」と重ねながら追い求めてきた。その実現型が、東京女子医科大学先端生命医科学研究所(先端工学外科学分野)に在籍中、医工連携によって誕生させたSCOTだ。2016年に基本モデルが完成し、段階的に進化しながら臨床研究を積み重ねている。22年9月、村垣氏は神戸大学に拠点を移し、23年4月に新しく設置された同大学院医学研究科「医療創成工学専攻」の教員として、医療機器開発を主導できる人材の育成を始めた。新専攻の入学式が行われる前日、SCOTの開発を推し進める原動力となった臨床医としての思いや、人材育成に力を入れる理由などを神戸大学で聞いた。

プロフィール

1962年生まれ。86年神戸大学医学部卒業。同年東京女子医科大学脳神経外科に研修医として入局。92年から3年間米国ペンシルバニア大学病理学教室に留学。2011年より東京女子医科大学先端生命医科学研究所先端工学外科学分野/脳神経外科(兼任)教授となり、同先端生命医科学研究所副所長、メディカルAIセンター長、早稲田大学理工学術院客員教授も務め、22年9月から現職。術中 MRI を核 とするインテリジェント手術室の開発で産学官連携功労者科学技術政策担当大臣賞を、スマート治療室の開発で第1回オープンイノベーション大賞厚生労働大臣賞、第1回森下泰記念賞を受賞。医学博士、生命医科学博士。

村垣善浩氏の主要論文

  • Information-Guided Surgical Management of Gliomas Using Low-Field-Strength Intraoperative MRI
    Yoshihiro Muragaki, Hiroshi Iseki, Takashi Maruyama, Masahiko Tanaka, Chie Shinohara, Takashi Suzuki, Kitaro Yoshimitsu, Soko Ikuta, Motohiro Hayashi, Mikhail Chernov, Tomokatsu Hori, Yoshikazu Okada, Kintomo Takakura INTRAOPERATIVE IMAGING 109 67-72 2011年
  • Prediction of lower-grade glioma molecular subtypes using deep learning.
    Yutaka Matsui, Takashi Maruyama, Masayuki Nitta, Taiichi Saito, Shunsuke Tsuzuki, Manabu Tamura, Kaori Kusuda, Yasukazu Fukuya, Hidetsugu Asano, Takakazu Kawamata, Ken Masamune, Yoshihiro Muragaki
    Journal of neuro-oncology 146(2) 321-327 2020年1月
  • 【5G(第5世代移動通信システム)と医療】5G時代のスマート治療室
    村垣 善浩, 岡本 淳, 堀瀬 友貴, 正宗 賢, 伊関 洋
    医学のあゆみ 275(7) 811-816 2020年11月

SCOTの中核「OPeLiNK」は、メーカー出身の大学院生の助言から生まれた

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