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【第56回】上坂 克彦

上坂 克彦のイメージ

上坂 克彦

静岡県立静岡がんセンター 総長

所属・役職は取材当時(2025年4月18日)のものです。

がん専門医ががんを経験して、変わったこと、変わらなかったこと

静岡県立静岡がんセンター総長の上坂克彦(うえさか・かつひこ)医師は、がんサバイバーだ。同病院で副院長をしていた2016年11月、悪性リンパ腫を発病。58歳だった。以後、がん患者や医療者に対し、講演などで「がん専門医ががんを経験して実感したこと」を率直に発言している。一方、2002年、同院の開院とともに肝胆膵外科部長に就いた上坂氏は、若手医師の育成に力を注ぎつつ、当初から超高難度手術を積極的に実施。さらに、研究面では消化器内科と協働のもと多施設共同のグループを組織し、その代表者として取り組んだ臨床試験で、日本の膵がん術後補助化学療法の標準治療を変える結果が示されるなど、同院肝胆膵外科の実績を積み上げてきた。がんにかかったことで自身の診療姿勢に変化が生じた部分はあったのか。あるいは、がんになっても揺らぎが生じなかった外科医としての信条はどんなところなのか。静岡がんセンターに上坂氏を訪ね、じっくりと聞かせてもらった。

プロフィール

1982年名古屋大学医学部卒業。南生協病院外科を経て、1986年から3年間、国立がんセンター外科レジデント。南生協病院外科医長、名古屋大学第一外科医員、愛知県がんセンター消化器外科副医長などを経て、97年6月~98年3月まで文部省在外研究員としてハーバード大学留学。名古屋大学第一外科医局長を務めた後、2002年4月から静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科部長、11年1月から同病院副院長 兼 肝胆膵外科部長、20年4月から同病院長、23年4月から現職。日本外科学会 代議員・指導医・専門医、日本消化器外科学会 指導医・専門医・特別会員、日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・特別会員、日本胆道学会 指導医・特別会員、日本膵臓学会 指導医・特別会員。医学博士。

記事執筆の参考にした上坂氏の論文等

  • Uesaka K, Boku N, Fukutomi A, et al : Adjuvant chemotherapy of S-1 versus gemcitabine for resected pancreatic cancer : a phase 3, open-label, randomised, non-inferiority trial (JASPAC 01). Lancet 388 ; 248―257 : 2016
  • 切除可能膵癌の診断と治療 切除可能膵癌の術後補助化学療法 上坂克彦 日本消化器病学会雑誌 2020;117:308―312
  • 膵癌診療ガイドライン2022年版 日本膵臓学会・膵癌診療ガイドライン改訂委員会 編
    金原出版株式会社
  • 静岡がんセンター・ファルマバレープロジェクト 二十年のあゆみ 2002―2022 ~理想のがん医療を目指して~ 静岡県立静岡がんセンター(2023年3月10日)発行

急に現われた左下肢全体のむくみ。「がんは突然やってきた」が率直な思い

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