「明日」を見つけた先輩医師からのメッセージ 私たちの流儀

長年、医療系の取材を続けてきた経験から、「時代を見据え、転機をつかんだ」数多くの先生と巡り会いました。そんななかで、自分の流儀をもつ医師、研究者をご紹介したいという思いが強くなり、機会を得てこの連載をスタートすることになりました。連載の特徴は、主に40~50代の若手に比較的近い先生にできるだけ多く登場いただく点です。【DtoDコンシェルジュ】を閲覧されるさまざまな世代の先生にとって、医師としてノブレス・オブリージュを果たしていくうえで、その人を身近に感じつつ、それでいて将来のヒントが見つかり、モチベーションアップにつながる一助になれば、とてもうれしいです。

記事一覧

  • 【第43回】加藤善一郎(岐阜大学大学院医学系研究科小児科学・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科構造医学 教授)

    子どもの不登校が社会問題となるなか、不登校特例校の「こころの校医」に就任

    子どもの不登校が社会問題になっている。岐阜大学大学院医学系研究科小児科学・同大学院連合創薬医療情報研究科構造医学教授の加藤善一郎医師は、21年4月、不登校特例校・岐阜市立草潤中学校の開校にあわせ、全国初となる同校の「こころの校医」に就任した。「こころの校医」、不登校診療、そして研究と、それぞれに取り組む思いや考えを聞かせてもらった。

  • 【第42回】河野秀樹(医療法人こうの会理事長・こうの整形外科院長)

    フィットネスジムとの連携でスポーツをする患者のパフォーマンス向上を助け、子どもたちの体力向上を目指す事業も構想中

    山梨県甲斐市にある「こうの整形外科」。2011年11月、河野秀樹医師が50歳になった翌日に開設した。3年ほど前からは、近くにオープンしたフィットネスジムと連携することで、若い世代を対象にしたアスレチックリハビリテーションにも力を入れる。クリニック開業から10年を経て、自身の仕事の幅をますます広げている河野氏に今の思いを聞いた。

  • 【第41回】長尾能雅(名古屋大学医学部附属病院副病院長・患者安全推進部教授)

    呼吸器内科医から患者安全専従医師へ転身。患者安全の黎明期を築く

    日本では、「患者安全」が日々の診療実践のなかで重要視されるようになって20年の時がたった。名古屋大学医学部附属病院副病院長で患者安全推進部教授の長尾能雅医師は、患者安全の黎明期を築いた医療者の一人として広く知られる。どのような活動に、どんな思いで、力を注いでいるのか。なぜ、患者安全を専門にする医師となったのか。長尾氏を訪ね、取材に応じてもらった。

  • 【第40回】廣橋猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)

    新型コロナウイルス院内感染の艱難辛苦を経て、これからの緩和ケアを見据える

    2020年春、東京・上野の永寿総合病院に発生した新型コロナウイルスの大規模な院内感染。同院がん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛医師は、まさに災害現場となった病院で、危機的な状況とどのように向き合い、緩和ケア診療を行ってきたのか。そして、この艱難辛苦を経て考えが深まっていったという、これからの緩和ケアとはどのようなものなのか。多忙をきわめる診療の合間に語ってもらった。

  • 【第39回】村上穣(佐久総合病院佐久医療センター腎臓内科副部長)

    腎移植レシピエントの腎臓内科医がたどり着いたのは、医療者と患者さんの間のギャップを埋める活動

    長野県にある佐久総合病院佐久医療センターで診療する村上穣医師は、腎臓内科医で、同時に腎移植レシピエントでもある。腎移植から4年後、村上氏は自らを症例として取り上げた論文『腎移植レシピエントが見つけた生きがい』を発表。レシピエントである自身がどのような心理的変化を経て今に至り、日々、多くの慢性腎臓病患者さんと向き合っているのか、胸の内を語ってもらった。

  • 【第38回】河野博隆(帝京大学医学部整形外科学講座主任教授・同附属病院副院長)

    骨軟部腫瘍医としての経験を踏まえ、「がんロコモ」プロジェクトを牽引

    日本整形外科学会が2018年度の「運動器と健康」PR事業のテーマに挙げたのは「がんとロコモティブシンドローム(がんロコモ)」。がん患者が「動ける」こと、その大切さを訴える。がんロコモ啓発活動の先導者の一人、帝京大学医学部整形外科学講座主任教授で、同附属病院副院長の河野博隆医師に、骨軟部腫瘍医としての経験を踏まえ、活動の意義や整形外科医が果たしていける役割を聞いた。

  • 【第37回】入江琢也 医療法人そわか アイレディースクリニック新横浜院長

    開業し“患者に寄り添う”婦人科診療を実践

    「アイレディースクリニック新横浜」は、院長の入江琢也医師が「本当に自分がやりたい婦人科医療を提供する」ため、2016年4月に開院した。コロナ禍で世間一般には、受診控えが起きて、働き方にもテレワークという変化が生じた。しかし、同クリニックの場合、コロナの影響をあまり受けていないという。オンライン診療も導入していない。コロナ前と同様、訪れる患者が後を絶たない理由を、休診日のクリニックで聞かせてもらった。

  • 【第36回】吉本尚 筑波大学医学医療系地域総合診療医学(附属病院総合診療科)准教授

    総合診療医としてアルコール健康障害対策に力を入れる

    筑波大学地域総合診療医学准教授の吉本尚医師は、2か所の医療機関で飲酒の悩みを抱える人たちに対応する専門外来を開いている。一つは、2019年1月に北茨城市民病院附属家庭医療センターで始めた「飲酒量低減外来」。もうひとつは、21年4月に筑波大学附属病院総合診療科で立ち上げた「アルコール低減外来」。総合診療医としてアルコール健康障害対策に熱心に取り組むその思いを、吉本氏にじっくり語ってもらった。

  • 【第35回】藤原佳典 東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム 研究部長(チームリーダー)

    長年取り組む世代間交流プログラムで
    「三方よし」の効果が判明

    東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典医師は、「世代間交流」「多世代共生の地域づくり」「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」の視点で、高齢者の認知症予防とフレイル予防の研究を続けている。その具体的な予防策の一つとして注目されているのが、自ら開発した「りぷりんと」プログラム。シニアボランティアによる子どもたちへの絵本の読み聞かせプロジェクトだ。

  • 【第34回】宮本俊明(日本製鉄株式会社東日本製鉄所統括産業医・同君津地区総括産業医)

    コロナ禍、存在感を増す産業医
    その真髄は労使双方の発展と幸せの実現

    日本製鉄株式会社東日本製鉄所君津地区で総括産業医を務める宮本俊明医師は、職場巡視の体系化を手がけ、精神科医と産業医の連携、また治療と就労の両立を支援する活動にも早くから取り組むなど、産業医業務を企業の必須活動として再構築してきた。職域のCOVID-19対応などでますます多忙な宮本氏に、あらためて産業医の果たす役割について尋ねてみた。

  • 【第33回】阿南英明(神奈川県医療危機対策統括官・藤沢市民病院副院長)

    コロナ対処医療を継続させながら地域の日常医療を取り戻す「復興策」の構築に専心

    神奈川DMATの本部長を務めていた阿南英明医師は、新型コロナウイルス感染症が集団発生したダイヤモンド・プリンセス号での経験と教訓を生かし、コロナ感染の第1波に対する医療体制「神奈川モデル」の構築に尽力。現在は、神奈川県医療危機対策統括官として、コロナ対処医療を継続させつつ地域の日常医療を取り戻す体制づくりに専心している。

  • 【第32回】英裕雄(三育会理事長・新宿ヒロクリニック院長)

    コロナを機に地域医療者としてより時代に合った患者の支え方を模索

    英裕雄医師は、大都市型の在宅医療の草分け的存在として、東京・新宿を拠点に手厚い医療を提供し、暮らしの中の患者を支えてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症は、そのあり方の見直しを英氏に迫ってきた。冬を迎え発熱者の増加が懸念されるなか、何を思い、そして考え、どういう体制で診療を続けているのか。新宿区大久保のクリニックで話を聞いた。

  • 【第31回】中島清一(大阪大学大学院医学系研究科 次世代内視鏡治療学共同研究講座特任教授)

    コロナ禍にフルフェイスシールドを医療現場へ無償提供する活動を展開

    2020年4月はじめ、大阪大学は現場で実用できるフルフェイスシールドを、要請のあった病院などに無償で提供する緊急プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの発起人は、同大学大学院医学系研究科次世代内視鏡治療学共同研究講座特任教授の中島清一医師。これまでの経験を存分に生かし取り組んだ、3か月の活動を振り返ってもらった。

  • 【第30回】河野浩二(福島県立医科大学消化管外科学講座主任教授)

    世界を視野に入れ、外科臨床の実践を極めつつ、がん免疫療法の臨床試験を進める

    河野浩二医師は、25年以上がん免疫療法の研究に取り組んできた。この研究がきっかけでシンガポール国立大学医学部外科教授に就任し同時に、がん免疫療法のTranslational Research(橋渡し研究)を行うラボの責任者となった。現在は、福島から、消化管外科学の分野で世界をリードする情報を発信していくため、教室員全員が国際的な視野で活動できる土壌づくりに精力を傾けている。

  • 【第29回】石松伸一(聖路加国際病院副院長・救命救急センター長)

    救急医の一方で、25年にわたり、山谷で診療し、サリン被害者とも向き合う

    聖路加国際病院の救命救急センター長を務める副院長の石松伸一医師には、四半世紀にわたって続けている院外での活動がある。ひとつは、日雇い労働者や路上生活者のための無料診療。もうひとつは、「地下鉄サリン事件」の被害者を対象にした無料健康診断。どちらもボランティア医師の一人として参加している。

  • 【第28回】石井均(奈良県立医科大学医師・患者関係学講座教授)

    長年の診療経験を生かし、新講座「医師・患者関係学」に打ち込む

    奈良県立医科大学は2019年度から、医学科の学生が実践的な学習をする「医師・患者関係学講座」をスタートさせた。講座の教授を務めるのは、糖尿病と内分泌が専門の石井均医師。石井氏を訪ね、現行の医学教育では新たな試みといえる、誕生から1年の講座にかける思いをじっくりと聞いた。

  • 【第27回】宮尾直樹(日本鋼管病院COPD・SASセンター長・内科総括部長)

    市中病院で「COPD・SASセンター」を開設
    呼吸リハビリテーションに力を入れる

    神奈川県川崎市の日本鋼管病院には、COPD患者が呼吸リハビリテーションや教育入院を行う、全国でも数少ない「COPD・SASセンター」がある。センター長で呼吸器内科医の宮尾直樹医師が、10年前から着々と礎を築き、多職種による呼吸器チームで、独自のCOPD管理プログラムを展開している。

  • 【第26回】柏木秀行(飯塚病院連携医療・緩和ケア科部長)

    診療と並行し経営学修士を取得
    緩和医療専門医として診療科の運営にあたる

    柏木秀行医師の医師としてのキャリアは今年で13年目になる。その間には、ビジネススクールでマネジメントも学んだ。そして、この経営学の大学院修士課程を修めた経験などもぞんぶんに活かし、目下、緩和医療専門医として、若手の常勤医が9人そろう連携医療・緩和ケア科の運営と指導に力を注いでいる。

  • 【第25回】大西秀樹(埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター精神腫瘍科教授)

    「遺族外来」でがん患者遺族の心の治療とケアを続ける

    がん患者の遺族を対象に国内初となる「遺族外来」を開設。以来、精神医学・心理学の知識と診療経験を生かして、がん患者とその家族のみならず、遺族の治療とケアにもずっと力を注いでいる。遺族を診ることが、自身の人生に「大きな収穫をもたらした」と言う大西氏。その深意を教えてもらった。

  • 【第24回】新村浩明(ときわ会常磐病院院長)

    院長の"定番スタイル"はアロハシャツと時代劇の主人公

    新村浩明医師は、手術と診察の時を除くと、ふだんはアロハシャツ姿で仕事をしている。さらに、月に一度、時代劇の主人公などに扮装して、ボランティアで高齢患者宅を訪れ、見回り活動もおこなう。派手で、奇抜で、けれど、ユーモアもたっぷりの"院長スタイル"の内側に隠れた思いや考えについてじっくりと話を聞いた。

  • 【第23回】森田 功(藤田医科大学医学部脳神経外科教授・意識障害回復センター長)

    意識障害治療で世界をリードする脳神経外科医を目指す

    意識障害に陥った自動車事故被害者を少しでも回復に導きたい。患者の家族に対しても希望を見出せるような手助けをしたい。そんな思いを自身の支柱にすえて、森田氏の奔走の日々は、超急性期から慢性期まで一貫して治療する国内初の専門病床が実際に機能するずっと以前から続いている。

  • 【第22回】堀内 朗(昭和伊南総合病院内科診療部長・消化器病センター長)

    2018年イグ・ノーベル賞を受賞し内視鏡医として自身を使い切る覚悟をもつ

    2018年秋、この年のイグ・ノーベル賞医学教育賞を堀内朗医師が受賞した。座った姿勢で大腸内視鏡検査を受けると苦痛が少ないことを、身をもって実証したことが評価された。ユーモアあふれる授賞式から1か月半後、堀内氏を訪ね、日々の取り組みを聞くうちに、受賞の意味合いがより鮮明になってきた。

  • 【第21回】水谷 和郎(神戸百年記念病院心大血管疾患リハビリテーションセンター センター長)

    医療現場の貴重な映像と証言を用い
    阪神・淡路大震災の体験を語り継ぐ

    阪神・淡路大震災の発災時に、兵庫県立淡路病院(現・県立淡路医療センター)で当直をしていた内科医の水谷和郎医師は、被災地の医師として戸惑いながら手探りでおこなった災害医療の体験を医療者らに伝えるため、ビデオ映像と自らが手がける証言集を携え、今も各地に出向いて地道に講演活動を続けている。

  • 【第20回】山梨 啓友(長崎大学病院 総合診療科講師)

    両立を目指す国内診療と国境なき医師団の活動

    山梨啓友医師は、これまでに二度、「国境なき医師団(MSF)」のスタッフとして、途上国での医療活動に参加している。最初はパプアニューギニアで結核の治療にあたった。次がバングラデシュで、ロヒンギャ難民キャンプで集団発生したジフテリアに対応した。

  • 【第19回】勝沼 俊雄(東京慈恵会医科大学附属第三病院 小児科教授)

    クラウドファンディングで臨床研究の再開を実現

    インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る「クラウドファンディング」。この手法を用いて再開にこぎつけた臨床研究がある。勝沼俊雄医師らが、当初は国から研究費を得てスタートを切った、乳幼児喘息の慢性期治療で薬を減らせるかどうかを調べる比較試験だ。

  • 【第18回】齊藤 祐子(国立精神・神経医療研究センター病院 臨床検査部臨床検査科 医長)

    神経病理医としてブレインバンク活動に打ち込む

    国立精神・神経医療研究センターが、献脳生前同意登録による「神経疾患ブレインバンク」の運用を始めて、今秋で11年になる。ドナー登録者は、10年の歳月を経て、250人を超えるまでになった。

  • 【第17回】横山 太郎(横山医院 緩和ケア内科・腫瘍内科医師)

    市民を交えたがん患者への意思決定支援
    その着想がCo-Minkanに結びつく

    横山太郎医師は、腫瘍内科医で緩和ケア医。それまでの勤務医の仕事にピリオドを打って、2018年が始まるといっしょに、実家の横山医院で訪問診療に力を注ぐようになった。ただ、実は、横山氏には"別の顔"もある。「Co-Minkan普及実行委員会共同代表」だ。

  • 【第16回】宗 未来(慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 助教)

    精神医療の現場でAIの応用に挑戦
    薬物療法と同じ比重で精神療法にも取り組む

    人工知能(AI)が驚異的な勢いで進化し、人間の生活に影響をおよぼし始めている。医療への応用も現実的になりつつあるなか、宗未来医師は、「人工知能で、ヒトのこころは癒せるか?」という、とても興味深いテーマを掲げ研究に取り組んでいる。

  • 【第15回】髙橋 康二(旭川医科大学放射線医学講座教授・旭川医科大学病院放射線部長)

    多系統萎縮症を患いながら、
    放射線科のトップとして組織運営に力を注ぐ

    第31回日本腹部放射線学会が、2017年6月30日から2日間にわたり北海道旭川市で開かれた。会長を務めた髙橋氏に会うため、旭川医科大学を訪ねたのは、夏の学会から2か月近くあとのこと。

  • 【第14回】林 和彦(東京女子医科大学 がんセンター長 化学療法・緩和ケア科教授)

    国を挙げて「がん教育」がスタートするなか、
    がん専門医が教員免許を取り出張授業を展開

    2017年度を皮切りに、全国の小・中・高等学校で「がん教育」が本格的にスタートする。学校の教員が子どもたちに座学でがんを教えるだけでなく、がん専門医や学校医、開業医ら医師の登壇も大いに期待される、国を挙げての事業だ。

  • 【第13回】菅原 俊一(仙台厚生病院 副院長・呼吸器内科主任部長)

    免疫チェックポイント阻害薬の副作用に
    多職種チームを立ち上げ、先手を打ちながら対応

    免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの患者に使えるようになった直後、院内に「先端免疫療法チーム」を発足させ、投与を開始した。

  • 【第12回】 中村 朋子(このはな産婦人科 院長)

    地方自治体と大学との連携事業の一端を担う、
    新しいタイプの産婦人科クリニックを運営

    全国的に産婦人科医が足りない状況が続くなか、2016年10月、山梨県甲斐市に新しいタイプの産婦人科クリニックが誕生した。

  • 【第11回】 髙田 哲也(医療法人社団なかよし会 日吉メディカルクリニック理事長・院長)

    開業医のレベルアップにつなげるため
    いくつもの"秘策"を打ち出し手堅く実行

    慶應義塾日吉キャンパスにある協生館の1階。玄関を入りカフェやパブを横目で見ながら進んで行くと、少し奥まった場所に複数の診療科を備えた日吉メディカルクリニックがある。

  • 【第10回】矢吹 拓(国立病院機構 栃木医療センター 内科医長)

    関心が高まる高齢者の「ポリファーマシー」。
    その問題に切りこむため、ポリファーマシー外来の新設を自ら提案。
    多職種チームで活動を展開中

    高齢者を取り巻くひとつの大きな問題として、最近、「ポリファーマシー(多剤併用)」がしばしば取り上げられる。高齢者の場合、年齢とともに抱える慢性疾患の数が増え、ポリファーマシーが生じやすい。

  • 【第9回】石井 正(東北大学病院 総合地域医療教育支援部教授)

    東日本大震災の最大被災地に組織された「石巻圏合同救護チーム」
    そのリーダーが今、取り組むのは、東北地区の地域医療体制の再構築

    石巻医療圏内で唯一の災害拠点病院だった石巻赤十字病院で、医療社会事業部長をしていた石井正医師は、1か月前に宮城県災害医療コーディネーターを委嘱されたばかりだった。

  • 【第8回】武永 賢(中井駅前クリニック 院長)

    合法難民としてベトナムから来日。日本人医師となり、自らのあらゆる経験を糧に、患者の不安を和らげる診療を貫く

    1994年、ベトナム難民として来日していた一人の青年が医師となり、その同じ年、彼は日本国籍を取得した。もともとの名前は「ヴー・ダン・コイ」。

  • 【第7回】岩瀬 博太郎(千葉大学大学院法医学教室教授・法病理医)

    法医学は国を癒すための医学。その目的に向かい、日々、死因究明に取り組み、後進の育成に心血を注ぐ

    医学生のころは、法医学者になろうなどと、考えもしていなかった。本音を言うと、今でも、自分の仕事を辞めたいと思う時がある。

  • 【第6回】勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授)

    腫瘍内科医として、患者ががんとよりよい共存を目指せるような“ナビゲーター役”に徹する

    日本の腫瘍内科医は近年、増加傾向にあるものの、欧米諸国に比べると圧倒的に数が足りず、あらゆる部位のがんを診ることができる腫瘍内科医の少なさも指摘されている。

  • 【第5回】羽田 丈紀(おなかクリニック おしりセンター部長)

    肛門外科医のスキルアップを図り、市民に快適なおしり生活を送ってもらうため「おしり解放運動」にまい進

    初めから肛門外科医を目指したわけではない。大腸がんの開腹手術に明け暮れるうちに、肛門疾患に自分の関心が向いていき、おしりの悩みを抱える人々の診療に「100%のめり込みたくなった」のだという。

  • 【第4回】関根 龍一(亀田総合病院疼痛・緩和ケア科部長)

    多死社会が迫る中、ニードが高まる緩和ケア
    「全入院患者に緩和ケアを」という目標に向かい実践を積む

    超高齢社会の次に来ると想定される日本の多死社会。80歳以上の人口が1000万人を超えた今、この多死社会が現実味を帯びてきている。

  • 【第3回】藤本 直規(藤本クリニック院長)

    認知症専門のクリニックで、患者や家族、専門職への総合的な支援を展開
    院長の強力な伴走者は、看護師とケアスタッフ

    政府が2015年1月に発表した認知症国家戦略「新オレンジプラン」。柱の一つになった若年認知症施策の強化を、滋賀県は全国に先駆けて進めてきた。

  • 【第2回】川名敬(東京大学病院産科婦人科准教授)

    乳酸菌で子宮頸部前がん病変に対する飲む治療ワクチンを開発
    世界に知られるHPV研究者は根っからの臨床医

    2014年9月、医学専門誌『Vaccine』にある臨床研究の成果が発表された。子宮頸部前がん病変に対する飲む治療ワクチンの有効性を示す結果だ。

  • 【第1回】高杉紳一郎(九州大学病院リハビリテーション部診療准教授)

    30代でリハビリテーション医に転身
    エンターテインメントに着目し、異色のリハビリ用ゲーム機を開発

    整形外科医として自分の腕が着実に上がっている――。そう実感していたさなか、高杉紳一郎氏は、リハビリテーション医になる決心をし、メスを捨てた。

ライター

成島香里(なるしま・かおり)

上智大学社会福祉学科卒業。山梨日日新聞社、保健同人社を経て、現在は、医療・健康を中心に取材するフリーライター。著書に「医者は自分の病気を治せるか」、インタビュアーとして「知らなかったあなたへ―ハンセン病訴訟までの長い旅」(ともにポプラ社)がある。東京理科大学非常勤講師。