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泌尿器科クリニック開業のポイント!開業資金や失敗しないための戦略

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「泌尿器科で開業するにはどうしたらよいの?」
「失敗しないために必要なポイントは?」

この記事では、泌尿器科で開業するためのポイントや注意点、戦略を紹介します。これから泌尿器科を開業したい方は、ぜひ参考にしてください。

泌尿器科をとりまく動向

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泌尿器科は、比較的競争相手が少ない診療科の一つです。

泌尿器科クリニックが少ない理由は、以下の2つが考えられます。

  • 診療所に従事する泌尿器科医師が少ない
  • 泌尿器科単体を標榜科目にした開業が少ない

それぞれ解説していきます。

診療所に従事する泌尿器科医師が少ない

厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、泌尿器科医は医師全体(32万7,444人)の2.4%にあたる7,881人と少なく、その内全国で診療所に従事する泌尿器科医は2,045人と報告されています。これは内科医38,907人の約5%です。

泌尿器科単体を標榜科目にした開業が少ない

泌尿器科クリニックは単体よりも、腎臓や透析、内科、皮膚科と合わせて標榜されることが多い診療科です。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」によると、泌尿器科を標榜する診療所は全国で3,851施設、診療所全体の3.7%しかありません。内科を標榜している診療所は各都道府県に平均1,400施設ありますが、泌尿器科は平均80施設の計算になります。泌尿器科クリニックは他科と比較して明らかに少ないといえます。 泌尿器科クリニックが他科と合わせて標榜する理由は、泌尿器科単独では羞恥心を感じて来院をためらう患者さんが多いことや、立ち上がりに比較的苦労するケースが多いことが挙げられます。他科を標榜していれば患者さんも心理的に受診がしやすくなるため、増患が期待できます。さらに泌尿器科に限らない集患も可能になったり、検診や予防接種などもおこなえば増収・増益が見込めたり、他科と合わせて標榜することでメリットが得られる場合もあります。

泌尿器科は尿、陰部、性器にまつわるイメージから「あまり受診したくない」「恥ずかしい」「人に知られたくない」と受診を敬遠されやすい診療科です。

代表的な泌尿器疾患は前立腺がん、膀胱がん、前立腺肥大、神経因性膀胱、過活動膀胱、腹圧性尿失禁、膀胱炎、腎盂腎炎、性行為感染症、尿路結石、頻尿、包茎など多岐にわたりますが、診療科の持つイメージから、特に女性にとっては受診のハードルが高くなりやすいです。また若い男性も受診を敬遠しやすい傾向にあります。患者さんの羞恥心やプライバシーへの細かな配慮を心がけることが泌尿器科クリニックの成功の秘訣です。

男性の場合、一般的に泌尿器疾患の好発年齢は50歳以降で、高齢になればなるほど前立腺肥大や排尿にまつわるトラブルが多くなる傾向があります。高齢化社会の日本では、これからも泌尿器科のニーズは衰えることがないでしょう。

「一定のニーズが見込まれる」「全体の医師数が少ない=開業する医師も少ない」傾向にある泌尿器科クリニックは、将来的にもライバルが少なく、成功する可能性は十分にある診療科と言えます。

泌尿器科クリニック開業の資金調達から収入・資金繰りまでのロードマップ

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クリニック開業を考えるうえで、まず問題となるのが資金面です。開業資金は、「設備資金」と「創業資金」にわけられます。

「設備資金」はテナント契約費や医療機器・設備購入費などです。設計・内装工事費その他を合わせ6,000万円から1億2,000万円が必要で、テナント契約費は賃料の約3カ月分から12カ月分が見込まれます。また、「創業資金」は開業前の人件費や賃料、広告費、医薬品などの購入費用です。

開業資金

開業資金の一例として、下記の項目が挙げられます。

泌尿器科クリニック開業に必要な設備資金

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項目(泌尿器科:テナント開業の場合) 所要資金
テナント契約費(保証金・敷金など) 賃料の3カ月分~12カ月分
設計・内装工事費 2,000万円~6,000万円
医療機器・電子カルテ購入費 2,000万円~3,000万円
什器・備品購入費(待合設備、診察机など) 100万円~300万円
IT設備(PC、院内ネットワーク構築、オンライン予約、資格確認システムなど) 50万円~250万円
その他開業時諸費用(医師会加入、保険加入、広告・広報、医薬品購入など) 150万円~800万円
開業前運転資金(賃料、人件費、手元資金など) 1,700万円~5,000万円

泌尿器科クリニック開業の土地・建物の選定において重視したいのは、患者さんが安心して受診できるかどうかです。

泌尿器科は受診をためらう患者さんも多いため「プライバシーへの配慮」が重要です。都市部では、自由診療での受診が多いため、建物の1階のような患者さんの出入りがわかるような目立つ場所は敬遠される可能性があります。一方で地方になると高齢者の来院比率が多くなる傾向が強く、その場合は1階での開業を検討、もしくは杖や車いすなどで来院する可能性を考慮し、バリアフリー化されている物件を選びましょう。

また泌尿器科クリニックは配置や内装、設備にも患者さんのプライバシーへの配慮が必要です。

泌尿器科は、異性や知り合いに受診を知られたくない患者さんがほとんどです。入口は1つでも、受付・待合室・処置室のすべてを男女別にわけた形にしておくと患者さんにはストレスが少ないでしょう。

高齢患者さんや車椅子で来院する患者さんは、必ず付き添いの方も来院します。「患者数×2倍」の来院数となる可能性も考え、待合室は広めに用意しておきましょう。待合室を広くすることは車椅子で来院した患者さんの移動がしやすくなるだけでなく、プライバシーへの配慮、感染症対策にも繋がります。
その他診察室や処置室、トイレなどの設備もやや広めがおすすめです。受付や診察室、トイレにも手すりを完備しておくとなお良いでしょう。

広いスペースを確保すると賃料が高くなりますが、その分集患でカバーできれば問題ありません。地域の年齢層やターゲットを意識し、幅広い年代の集患を目指しましょう。
その他泌尿器科クリニックで留意したい内装は、トイレの設計です。泌尿器科の診断に「採尿」はかかせません。採尿したらその場で検査に出せるようにしておくと、患者さんは負担感なく検査を受けることができます。

一般的に泌尿器科クリニックでおこなわれる検査としては、超音波検査や放射線検査、尿流量測定検査(ウロフローメトリー)、尿検査が挙げられます。全自動尿分析装置や血液検査機器があれば速やかに結果をフォローすることができますが、同時に機械を設置するスペースが必要になります。採血や膀胱鏡検査などもおこなうため、処置室をつくっておくとよいでしょう。もし膀胱内視鏡検査をおこなうのであれば、専用の処置室があると動線としてはスムーズです。

泌尿器科クリニックは、誰にも知られずに受診したい患者さんが一定数います。患者さんの待ち時間を少なくして混雑を避け、「知り合いに会うのではないか」という不安を解消してあげるようにしましょう。予算が許せば、オンライン予約システム・来院誘導システムを導入することで、患者さんの待ち時間を少なくしましょう。

開業後の運転資金

次に、開業後の運転資金としては、下記の項目が挙げられます。

泌尿器科クリニック開業後の運転資金

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項目(泌尿器科:テナント開業の場合) 概算費用(月額)
人件費 収入の20~25%
医業原価(医薬品、消耗品など) 収入の10~40%
家賃・駐車場など 立地、面積、設備等により異なる
水道光熱費 10万円~30万円
リース料 50,000円~40万円(リース物件による)
その他諸経費(広告費、通信費、保険料、医師会費、租税公課など) 20万円~65万円

泌尿器科クリニックのメインターゲットとなる高齢者は、新聞やチラシ・折り込み広告での広報も有効です。その他の年齢層に対しては、SNSやウェブ広告での広報をおこないましょう。

開業当初は費用を抑えるため、「看護師や事務員の雇用を最小限に」と考えることもあるでしょう。しかし泌尿器科クリニックはおこなう処置も多いため、看護師がいたほうが円滑に診療と処置が進みます。

高齢者には移動やさまざまな場面で介助が必要です。そのすべてを付き添いの方や医師がおこなうと、その分診療できる患者数が減り、待ち時間が発生して、長期的には減収に繋がります。採血や処置の介助などの医療行為だけでなく、高齢者のケアにも慣れた看護師の雇用を検討しましょう。

厚生労働省「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 -令和5年 実施-」によると、看護師1人を常勤で雇用する場合、年収として400万円程度が必要です。はじめは長く働いてくれそうな1~2人の看護師を採用し、忙しい時間帯・曜日のみパートタイムで看護師を雇用すると人件費を抑えることができます。
開業前に資金計画を立て、無理のない経営を目指しましょう。

従業員を必要以上に雇ってしまうと人件費が経営を圧迫してしまいます。開業時は最低限の従業員だけを雇用して、患者さんが増えてきたら従業員の数を増やすようにしましょう。泌尿器科クリニックの収入源や資金繰りについては、次の章で詳しく解説します。

泌尿器科クリニックの収入源と資金繰り

全国の「令和7年度 保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表」によると、泌尿器科クリニックにおける外来診療1件当たりのレセプト(診療報酬明細書)平均点数は1,057点で内科のレセプト平均点数1,119点と大差はありません。

全国の診療科別平均診療点数を比べると、地域によって点数が大きく異なります。最も高いのは埼玉県の2,157点で、大分県の1,452点、静岡県の1,424点が続きます。一方、最も低いのは秋田県の512点、滋賀県の687点、島根県の706点が続きます。
また、「令和5年社会医療診療行為別統計」をもとに患者1人1日当たり平均診療収入を計算すると、泌尿器科の無床診療所外来は8,474円で、内科の8,481円と大差はありません。

個人開業と法人開業における収益

「医療経済実態調査(令和5年実施)によると、泌尿器科個人開業診療所の医業収益は9,344万円、介護収益は15万円、医業・介護費用は6,218万円で、損益差額は3,141万円です。一方、法人開業診療所の医業収益は1億6,544万円、介護収益は456万円、医業・介護費用は1億5,215万円で、損益差額は1,785万円です。

個人開業に比べ法人開業の方が医業収益は高い一方、医療・介護費用も高くなっています。事業規模は一般的に法人開業の方が大きいため、収益は高くなる傾向があります。また、院長給与に相当する役員報酬が費用として計上されるため、個人開業より費用が大きくなる傾向もあります。加えて、事業規模拡大に伴い各経費も増加する事が多く、結果的に法人開業は個人開業に比べて医業収益も医療・介護費用も高いことになります。
また、法人開業には法人設立や決算対応など、様々な手続きが必要ですが、法人化により節税効果を得られるほか、将来の事業継承が有利に働くことが多いというメリットもあります。分院化や業務範囲の拡大など経営計画によって、個人開業、法人開業の選択が必要です。

泌尿器科クリニック開業において注意すべき3つのポイント

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泌尿器科の開業において注意すべき3つのポイントをまとめました。

  • プライバシーに配慮する
  • 口コミを大切にする
  • 幅広い広告戦略に力を入れる

順番に説明していきます。

ポイント1:プライバシーに配慮する

繰り返しにはなりますが、患者さんのプライバシーに配慮しましょう。

「泌尿器科を受診する=尿の病気」というイメージが一般的です。尿だけでなく、包茎や性感染症、ガンなどセンシティブな問題を抱える患者さんも多く来院するため、患者さんの「自分が受診していることを知られたくない」という気持ちに気を配りましょう。

泌尿器科クリニックの待合室は明るさも大事ですが、植物を配置し落ち着いた音楽をかけ、リラックスできる雰囲気にしておきましょう。
また待合室は十分なスペースを取り、患者さん同士が対面になる・密になる配置は避けましょう。

さらに診察室や処置室は、可能な限り防音の部屋が望ましいです。医療従事者が思っているよりも、医療者の会話は患者さんに聞こえています。どの診療科にも言えることですが、待合室にいる時に他の患者さんの話が筒抜けになってしまうクリニックは、患者さんが再来しない可能性が高くなります。特に泌尿器科クリニックは他人にあまり受診内容を知られたくない患者さんが多いため、十分に注意が必要です。

なお、病院の受付で聞かれる「今日はどうされましたか?」は、泌尿器科を受診する患者さんにとっては聞かれたくない質問です。オンライン問診システムを導入すれば予約から診察まで誰にも症状を話す必要がないため、安心して受診できます。

他にも診察室・処置室以外では氏名での呼び出しを避け、受付番号で呼ぶ方法も患者さんのプライバシー配慮には有効です。

プライバシーに十分配慮されたクリニックは受診へのハードルを下げることができるため、男女問わず人気が高くなるでしょう。

ポイント2:口コミを大切にする

厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」(4)によると、医療機関にかかるときに「情報を入手している」人は外来患者の 80.0%にのぼり、その内71.1%の人が「家族・知人・友人の口コミ」を情報の入手先として挙げています。そのため口コミを意識して満足度を高めることも大切です。

ポイント3:幅広い広告戦略に力を入れる

泌尿器科クリニックのターゲットは高齢者だけでなく、幅広い年代にわたるため、さまざまな年代の集患を目指すなら広告戦略が重要です。新聞・折り込みチラシ・インターネットなど、さまざまな媒体で広告を展開しましょう。

若い世代や付添人向けに、クリニックのホームページを充実させることも大切です。その際に注意したいのは、どのようなクリニックか、自分はどのような医師かがわかるようなページを作成することです。

男女別の待合室、診察室、内装のこだわり、プライバシーや患者さんの気持ちに配慮するクリニックの運営方針をアピールしましょう。

泌尿器科の受診を考えている多くの患者さんが、自覚症状から受診すべきか、治療すべきかをインターネットで検索しています。泌尿器科は内科や外科に比べ、受診までのハードルが高い診療科です。そのためホームページには症状や病気、検査、治療をわかりやすく説明したコンテンツがあるとよいでしょう。その際には気軽におこなえる、症状別の簡易セルフチェックも作成してみるとよいかもしれません。「この状態なら受診したほうがいい」などの受診基準を示して受診のハードルを下げるようなコンテンツがあると集患に繋がるでしょう。

泌尿器科クリニックの開業戦略3選

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泌尿器科クリニックの開業戦略は、以下の3つです。

  • 総合病院、専門クリニックと連携を図る
  • 訪問診療に力を入れる
  • クリニックの特徴をアピールする

開業前に把握しておきましょう。

戦略1:総合病院、専門クリニックと連携を図る

悪性腫瘍や重症の尿路結石など、疾患によっては外科手術や化学療法など専門的な介入が必要になります。婦人科や心療内科との連携も必要になる可能性があるため、スムーズに連携できる体制を整えておきましょう。

ホームページにも、当院でおこなう治療・病気と、他院へ紹介する治療・病気をわかりやすく記載し、連携先の病院も明記しておきましょう。

戦略2:訪問診療に力を入れる

高齢化社会における訪問診療のニーズはこれからも衰えることがありません。特に泌尿器に関する問題は年齢を重ねるごとに増えていきます。

地域の内科系クリニック、訪問看護ステーション、ケアマネージャーと連携し、尿失禁や前立腺肥大症の管理に困った場合には紹介してもらえるような連携体制を構築しましょう。

戦略3:クリニックの特徴をアピールする

男性はED、包茎、前立腺肥大、性感染症、女性は頻尿、女性泌尿器疾患など、性別や年齢によって泌尿器系の問題も多岐にわたります。

単に「泌尿器科」というだけでなく「〇〇に特化した泌尿器科」というブランディングで成功したクリニックもあります。その際には他の泌尿器疾患で受診する患者さんが減る可能性があることに注意が必要です。例えば「包茎に特化した泌尿器科」だと女性は受診しにくくなります。

ブランディングの際には、十分なリサーチとマーケティングをもとに戦略的な展開が重要です。クリニックの特徴をアピールする、ブランディングする際には、弊害があることも忘れないようにしましょう。

まとめ

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泌尿器科は今の高齢化社会で一定のニーズが見込まれる診療科です。しかし増患を見込めるのであれば、高齢者だけでなく、若い世代、特に女性患者さんも通いやすい泌尿器科クリニックを目指していくほうが、より患者さんにとって親切なクリニックになるでしょう。

幅広い世代の人が気軽に受診できる泌尿器科クリニックを開業しましょう。開業に関して不明点があれば、ぜひフォームからお問い合せください。

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