開業事例

かかず内科クリニック

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かかず内科クリニックサムネイル
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かかず内科クリニック

開業タイプ 新規開業
科目 消化器内科、内科
所在地 〒901-0205 沖縄県豊見城市字根差部589-5
TEL TEL:098-851-8774
URL http://kakazunaika.okinawa/

インタビュー

開業のきっかけは何でしょうか。

高校3年の時、母が慢性腎不全患者さんのドナーになりました。そのようなドラマティックな医療を目の当たりにしたのを機に、医療を身近に感じ、医師になることを強く志しました。消化器内科に進んだのは、初期研修を受けた沖縄徳洲会中部徳洲会病院の指導医の導きです。同院では救急を含む一般的な消化器疾患に対応していましたが、専門性をもつことを強く意識させられました。大腸や胃カメラなどの内視鏡の手技にどんどんひきこまれました。勤務していた県立南部医療センター・こども医療センター等で、私は消化器内科の中でも特殊手技の胆膵内視鏡を手掛けていました。病院を受診する患者さんは、診断がついている人や重症の人がほとんどですが、そうならないためには、普段の健康管理や病気の早期発見も重要です。専門診療と開業医が担う役割は、対極にあるようだが実は一貫してつながっている、共通点はあると考えるようになりました。自分がどの段階を担うかを考えた時、開業という選択肢もあると思うようになりました。

かかず内科クリニックのイメージ
院長 嘉数雅也 氏

豊見城市で開業した理由は何でしょうか。

両親は豊見城市で保育園を経営し、地域に根差した活動をしています。自分が培ってきた医療技術が、両親の活動とリンクし地域医療に貢献する事ができれば、開業という選択肢もいいのではないかと考えました。豊見城市は、那覇空港に近く、那覇市のベッドタウンとして人口が増加しています。働き盛りの青壮年や子どもも多く、開業後も長く付き合っていける、消化器内科を中心とした内科診療で地域に貢献でさればと考えました。

開業までにどのようなことを準備しましたか。

開業するにあたって重視したのは、内科クリニックでありながらゆったり、落ち着ける雰囲気を作り出すことです。友人のデザイナーに依頼し、床材、壁紙、受付などの内装や椅子などを選定していただきました。息子に病院ロゴの“かかず”の文字を書いてもらい、若い世代へもつながるクリニックを表現しました。もちろんスタッフから患者さんへの気配りが重要と考えています。

総合メディカルには、私か断片的に考えていることを取りまとめてもらい、判断してもらいました。例えば、経営計画の中でも、1日の診察数や検査件数、診察する曜日、開院時間、休診時間などについて、私の考える計画で経営が成り立つのか不安だったので、担当者と繰り返しシミュレーションしながら作っていきました。

かかず内科クリニックのイメージ2

スタッフは、公募した事務職以外は私が声をかけて決めました。看護師は、妻を中心に前の職場でともに働いていた人たちです。開業前から話し合い、私の考え方を理解してクリニックづくりに関わってくれています。

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受付
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待合室
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嘉数院長とともに消化器内視鏡診療で地域貢献に取り組むスタッフ。

クリニックの特色を教えてください。

消化器内科を中心に一般内科にも対応するクリニックです。内視鏡検査を特色にしたいと考え、開業当初から木曜日と土曜日を検査日としています。開業から1年で内視鏡検査の需要が高まり、現在は火曜日も検査日に当てています。

当初の想定よりニーズがあったのが、取り組んでみての感想です。患者さんに聞くと、「内視鏡検査を受けたいけど、身近なところでできなかった」という理由が多いですね。クリニックで内視鏡検査を手掛けているところは少なく、総合病院でなければ検査を受けられなかったといいます。近隣のクリニックからの紹介も増えています。

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腹部だけでなく心臓や甲状腺の検査にも対応している。

循環器科や腎臓内科、神経内科など、内科系のクリニックでは、内視鏡検査を受けたいと希望する患者さんの紹介先に困っていたようです。当院の開業により、受け入れ先ができたと喜んでいただいています。

また、当院で検査後、入院や手術が必要と思われる場合は、豊見城市内や近隣の急性期病院に紹介しています。私自身、開業前に勤務したことのある病院のため、先生方の得意とする疾患を存じ上げていますので、安心して紹介することができます。退院後は、当院で継続して支援できるよう、急性期病院との連携も深めていきたいと思います。

私は、単に内視鏡で施術するだけでなく、検査の目的や結果を丁寧に説明するよう、心がけています。どうして内視鏡検査を受けたいのかヒアリングすることや施術後、薬の処方などを通して患者さんをフォローしていく事が重要です。内視鏡検査の前から後まで、継続してスタッフが関わることの大切さを痛感していますし、検査の質を上げることにもつながります。患者さん一人ひとりを丁寧に診療していきたいと思います。

開業から1年。手ごたえはいかがですか。

内視鏡検査は、新型コロナウイルス感染症拡大の時期は減りましたが、今では予約が戻ってきています。2ヵ月先まで予約がいっぱいで、うれしい悲鳴です。

充実度は、想定していたより高いですね。総合病院時代に比べ、患者さんとの付き合いが濃密なのがうれしいです。私は実は、開業するまで5年くらい悩みました。自分がやっている診療が、地域に貢献できるようにするにはどうしたらよいかを常に考えていました。開業して生活の相談なども受けるようになって、地域に貢献したいという気持ちは、日に日に強くなっています。充実していると感じるのは、これが実践できはじめているのだと思います。仕事をしていく上で基本になることなので、この気持ちを持ち続けていきたいです。

新型コロナ対策はどのようなことをしましたか。

新型コロナウイルス感染症対策としては、診察室にパーテーションを設置しました。次亜塩素酸のドライミストを導入し、換気も十分に行っています。また、発熱患者さんは駐車場で診察しています。発熱患者さんを受け入れると同時に、定期的に通院してくる患者さんや検査希望の患者さんも今までどおり変わらずに診療し、地域に根ざしたクリニックを目指します。

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診察室は、新型コロナウイルス感染に考慮し、患者さんとの間にパーテーションを設置した。

今後の目標を教えてください。

沖縄県はがん検診の受診率が低いという課題があります。どこで内視鏡検査を受けたらいいかと思ったとき、思い出してもらえる場所になるといいなと思います。特にすい臓がんは、見つかった時は進行しているケースが多く、早期発見の為に、エコー検査の機会を増やす事が開業医の役割でもあると考えます。

JA広島厚生連尾道総合病院診療部長・内視鏡センター長の花田敬士先生が、すい臓がんの早期発見を目指す「尾道方式」を提唱されました。尾道市医師会などと協力して取り組んだ結果、同市のすい臓がん患者の5年生存率は、全国平均の約3倍となる20%を達成し、全国的に注目されています。

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患者さんのために安全で苦痛の少ない内視鏡検査を目指している。

先生は、腹部超音波検査の重要性を指摘しています。症状が無くても腹部超音波検査を受けられるチャンスを提供したいですね。

内視鏡や超音波検査、健康相談を通じて地域の方々の健康を支えるクリニックにしていきたいと思います。

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