開業事例

せたがや内科・消化器クリニック

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せたがや内科・消化器クリニックサムネイル
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せたがや内科・消化器クリニック

開業タイプ 新規開業
科目 内科、消化器内科、内視鏡内科、消化器外科
所在地 〒154-0015 東京都世田谷区桜新町1-40-8
TEL TEL:03-3428-1107
URL

https://tokyo-onaka.com

(院長ブログ)https://tokyo-onaka.com/blog

感動体験を与えられる医療をめざし、
消化器疾患と真摯に向き合う

せたがや内科・消化器クリニックは、2019年12月、東急田園都市線桜新町駅から徒歩4分のクリニックモール内にオープンした。
院長の富沢賢治氏は、虎の門病院で長くがん医療に取り組んだ消化器外科医。
医師人生の第2ステージとして開業を決意し、「感動体験を与えられる医療を理想とします」を基本理念の一つに定めた。

インタビュー

虎の門病院消化器外科で
15年間の研鑽ののち、地域に根ざす

「虎の門病院の本院は東京都港区虎ノ門、分院は神奈川県川崎市梶ヶ谷にあって、桜新町はちょうどその真ん中あたりです。どちらにも通いやすいため居住する同僚が多く、在職当時からとても親しみを感じていました。そして、いざ開業の候補地として検討の対象となると、『通いやすさ』がそのまま『連携しやすさ』であるとわかりました。
出身母体である虎の門病院と綿密な連携をとり、地域の消化器医療、がん医療に貢献するには理想的な土地に開業できたと感じています」

富沢氏が開業のために退職する際、所属診療科主催の壮行会がホテルのバンケットルームを貸し切って盛大におこなわれた。上司、同僚に十分に理解を得ての開業であったことがうかがわれる。
「開業の動機に、虎の門病院への不平、不満などは一切含まれません。あくまで、卒後15年目に医師人生の節目を感じた臨床医の、次のステップです。病院にはしっかりと理解していただき、背中を押してもらえたと思っています。
もし理解が得られなかったとしても――私の、虎の門病院への感謝と愛は不動だったでしょう。それくらい、この職場での15年は充実していました」

せたがや内科・消化器クリニックのイメージ
院長 富沢 賢治 氏

「病ではなく人を診る」を実践すべく
「開業は起業である」との覚悟を携えて

では、開業の決意に至ったのはなぜか。
「臨床医の心構えの一つとしてよく言われる一般理念に『病ではなく人を診る』があります。この一節は、私が高校生の時に医師に憧れ、志した際のイメージに合致しました。無自覚ながら、長く心の奥深いところで温めていた理想だったようです。
一方、大きな病院の消化器外科でがん医療に取り組むには、外科治療の専門家として徹底的に疾患と闘うことを求められます。それは、現代の先進医療の担い手としてあるべき姿ですが、私の中でフラストレーションも生んだのでしょう。いつしか、得も言われぬ違和感に心を煩わされるようになりました。
思う存分『人を診る』には、組織人のくびきを外す必要がある。それが同時に外科医としての区切りをつけ、メスを置くことになるのも受け入れられる。そう確信して、38歳で開業に向け、舵を切りました」

際立つのは、開業に際しての考えだ。「開業するとは、起業すること」と宣言した。「起業」は、たとえば「医は仁術」と信じる層からは強い反発も示されかねない一言だろうが、気後れする様子は見られない。
「展開するのは医療であり、診療ですが、そのために必要な環境は座して与えられるものではありません。自ら構築すべき必須要件であることは論をまたない。そこへの覚悟を込めて、『起業』と発言しています。自分は『起業したい』と強く覚悟し、開業したのだと言い聞かせている感じですね」

開業の覚悟についてさらに聞くと、医における師とのエピソードに行き着いた。
「私が師から手術をとおして学んだことの一つに、『折れない心』があります。これから起こりうることに対して、一切妥協をしない、ブレない気持ちでスタートラインに立てるか、つまり覚悟を決められるか否か。これは、手術に限らず万物に通じるのだと気づいたのはつい最近です。そう、開業という難事業が一段落ついて、振り返り、気づき、大きく合点がいったのでした」

せたがや内科・消化器クリニックのイメージ2

自らに求めた覚悟が、開業を起業という言葉に昇華させた。それがまた、医療の最前線で紡いだ修練と地続きになっているのだという富沢氏の理論は、氏の大いなる強みになっているように見える。

徹底したこだわりは
電子カルテの選定にも

富沢氏ならではの思考と実践は同院ホームページに併設されたブログに連綿と綴られている。その日記をめくれば詳細に記されていることだが、「覚悟をもった起業」は、たとえばクリニック開業準備に関しての、徹底したこだわりとなって実践された。

検査機器はもちろん、検査会社選定にも手数をいとわず面談を重ね、産業医資格取得にも、防火・防災管理者資格取得にも挑み、院内設置のイスもシンクも自らショールームに足を運んで選んだ。

それらのこだわりの数々の中で、なるほどと思わされた事例を一つ。
「電子カルテの選定にもかなりの時間をかけ、さまざまな製品をテストしました。そして得た結論は、『院長〝以外″のスタッフが使いやすいものが可』でした。
どんなインターフェイスのアプリケーションであっても、私は毎日使うのですからすぐに慣れますし、使いこなします。けれど、私以外のスタッフはそうではありません。テンポラリーに操作したり、閲覧したりした時にもストレスのないものがよいのです」

せたがや内科・消化器クリニックのイメージ3
温かみのある木材を使用した受付。クリニックのロゴも院長のこだわり

徹底した検証の結果、院内スタッフの目線で結論を出せる院長はそう多くないだろう。富沢氏の資質の一端を垣間見た気がした。

開業準備に関しては、コンサルタント会社の重要性についても触れる。
「開業、開設のサポートをするプロとのコラボレーションは有意義でないはずはありません。私の場合は特に、開業そのものを迷っている時点で総合メディカルに出会えたことを幸運に感じています。
具体的なノウハウもそうなのですが、言葉にさえなっていないような悩みから聞いてもらいました。まるで腕のいいカウンセラーに受診したような効用もありました」

患者さんと直接対峙することが
クリニックの評価につながる

「私は、クリニック体験はラーメン屋の体験と似ていると思うのです。つまり、行ってみて、食べてみなければよし悪しも好みもわからない。クリニックも同様に、医師と対峙した患者さんが実際に医療を享受してこそ、評価できるものだと信じています。ですから広告や雑誌記事での情報発信には頼りません。
毎回、私の臨床技術のすべてを出し切って診察、診断、治療をする。そこに全精力を傾ける方針です」

その方針の成果は、開業半年を経て確信に近いものになりつつあるようだ。
「受診した患者さんの評判を聞いて、来院してくださる患者さんが予想以上に増えています。近隣の、内視鏡を実施していないクリニックからの紹介も日々増えています。これもまた、受診経験のある方からの評判が伝わってのことのようです」

診察室では、臨床医としての信念を貫く。加えて、日本有数の消化器外科を誇る出身母体との連携を機能させてもいる。
「開業に際して、虎の門病院消化器外科との連携チャンネルはしっかりと確立しています。当院の検査でがんが発見された患者さんは、紹介状を書くだけでなく、ただちに手術日程までを確定することができています。もうすでに数人、すみやかな手術実施で、早期発見を早期治療につなげる実績を残せています。
はばかりながら、日本における〝大腸がんの最後の砦〞とまで評された医療機関にほぼダイレクトにつながっているクリニックですので、地域の消化器医療への貢献は決して小さくないはずです」

せたがや内科・消化器クリニックのイメージ4
ガラス窓からの陽光で明るい検査室

これからも全力投球を続ける誓い

開業半年にして、内視鏡検査(上下部)はすでに1000件を達成した。前述のように口コミで初診患者数も日々増加の一途。文字どおりの順風満帆だろう。
「経営指標の数値は、正直心の支えになっています。なんとかやっていけるだろうと思える今現在ですね」

半年経ての感想を問うと。
「つくづく実感するのは、自分のクリニックを持つとすべてが自分で決められること。開院すぐに新型コロナウイルスによる医療の混乱が発生しましたが、当院では遠隔診療の解禁日からさっそくそれを導入・開始しました。こういった施策にはリスクもメリットもあるでしょうが、私はリスクを視野に物事を考え、決定していく作業がむしろ楽しくもありました」

今後のビジョン、抱負について。
「これまで勤務医を15年、全力で走りきった達成感があります。開業を決断した背景の一つとして、それは大きなものです。開業後の私は、同様に全力で走り、投げきる覚悟。その中で具体的な目標や夢も見えてくると信じています」

富沢氏は、同院の基本理念に「感動体験を与えられる医療を理想とします」を盛り込んだ。インタビューの最後に「感動体験を与えられる医療とは?」と質問する予定だったが、「全力で走り、投げきる」の一言が答えなのだと受けとめた。

全力疾走、全力投球を続ければ常に答えはそこにある。医療提供者と享受者が、安心や納得の中で共鳴するその瞬間こそが「感動」なのだと思った。

せたがや内科・消化器クリニックのイメージ5
「感動体験を与えられる医療を理想とします」「健康で美味しく食べることのできる毎日の提供を目指します」「高い診療技術と心をこめた医療を追究し社会に貢献します」の3つをクリニックの理念とする。内視鏡検査は高品質で迅速、丁寧な対応を心がけており、痛みをともなわない方法でおこない、つらい検査という従来のイメージを変えることにも注力している。

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