科目別/医院開業動向情報

整形外科の医院開業動向情報

整形外科の開業に失敗しないための経営戦略!注意すべき3つのポイントも

整形外科の医院開業動向情報のイメージ

「整形外科で開業するにはどうしたらよいのか?」

このように考えている整形外科医の方も多いのではないでしょうか。
整形外科クリニックを開業しても、集患や経営で失敗する可能性はあります。クリニックの開業前に成功のコツ、失敗しないためのポイントを知っておくことが大切です。

そこでこの記事では、整形外科医がクリニックを開業する際に押さえておきたい重要なポイントを解説しています。ぜひ参考にしてください。

整形外科をとりまく動向

整形外科の医院開業動向情報のイメージ2

厚生労働省の「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」では、整形外科医は医師全体(32万7,444人)の約7%にあたる、2万2,560人でした。その内、全国で診療所に従事する整形外科医は7,931人で、診療所に従事する医師全体(10万7,348人)の約7.4%を占めています。整形外科は内科・眼科に次いで3番目に診療所に従事する医師が多い診療科です。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」によると、全国に整形外科を標榜する診療所は 1万2,298施設で、全体の11.7%を占めています。整形外科は診療所の数が多く、地域によっては競合相手が乱立する場合があります。開業の際には、エリアマーケティングやターゲティングが大変重要な診療科といえるでしょう。

また全国の「令和7年度 保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表」によると、整形外科クリニックにおける外来診療1件当たりのレセプト(診療報酬明細書)平均点数は1,202点で、内科のレセプト平均点数1,119点と大きな差はありません。
検査と処方中心の従来の診療スタイルではなく、理学療法士・作業療法士による運動器リハビリテーションの充実を図るクリニックが一般的になってきています。リハビリテーションを併設することで、より専門的な治療的介入をおこなうことができます。

将来的にクリニックの規模拡大を目指しているのであれば、理学療法士・作業療法士を雇用し、通所リハビリテーションの開設を視野に入れた経営をおこないましょう。整形外科は通常、薬の処方や検査目的で月1回(場合によっては2,3カ月に1回)程度の来院頻度となりますが、通所リハビリテーションを設置することで来院頻度は月2.5~4回と大幅に増加します。頻回の来院により無理なく収益を増やすことが可能です。ただし初期投資を抑えるためにも過度な人員配置にならないよう気を付けましょう。

通所リハビリテーションを併設する整形外科クリニックの中には、ケアマネージャーと連携し、ケアプランの一環としてリハビリテーションをおこなっているクリニックも増えています。整形外科クリニックにリハビリテーションが併設されている場合、症状の変化に早期に対応することができるため、患者さんから信頼され、人気が高くなる傾向にあります。

高齢化が進む日本では、体力低下予防やADL維持のためにリハビリテーションは欠かせません。リハビリテーションは高齢者だけでなく、怪我を負ったすべての年代の人に効果が期待できます。リハビリテーションを併設した整形外科クリニックの開業は、今後さらに増えていくでしょう。

整形外科クリニック開業の資金調達から収入・資金繰りまでのロードマップ

整形外科の医院開業動向情報のイメージ3

クリニック開業を考えるにあたり、まず問題となるのが資金面です。開業資金は、「設備資金」と「創業資金」にわけられます。

「設備資金」はテナント契約費や医療機器・設備購入費などです。設計・内装工事費その他を合わせ約7,500万円から約1億9,000万円が必要で、テナント契約費は賃料の約3カ月分から12カ月分が見込まれます。また、「創業資金」は開業前の人件費や賃料、広告費、医薬品などの購入費用です。

開業資金

開業資金の一例として、下記の項目が挙げられます。

整形外科クリニック開業に必要な開業資金

横スクロールでご確認いただけます

項目(整形外科:テナント開業の場合) 所要資金
テナント契約費(保証金・敷金など) 賃料の3カ月分~12カ月分
設計・内装工事費 3,000万円~6,000万円
医療機器・電子カルテ購入費 2,000万円~4,000万円
什器・備品購入費(待合設備、診察机など) 100万円~500万円
IT設備(PC、院内ネットワーク構築、オンライン予約、資格確認システムなど) 50万円~400万円
その他開業時諸費用(医師会加入、保険加入、広告・広報、医薬品購入など) 150万円~1,000万円
開業前運転資金(賃料、人件費、手元資金など) 2,200万円~7,000万円

整形外科クリニックの開業で特に重要視したいのは立地です。開業エリアの候補としては駅から近い場所や、診療圏が広くなる郊外が挙げられます。駅から近ければ仕事帰りの人や、学生も気軽に来院しやすくなりますし、車でアクセスがしやすい郊外の幹線道路沿いでの開業は駐車場の面積を広く取れるため、より広範囲からの集患が期待できます。

いずれの場合でも、患者さんの負担を考え1階に開院することが重要です。クリニック内をバリアフリーにするのは勿論、車椅子での出入りがしやすいように出入り口は広めに確保しておきましょう。廊下や診察室、トイレに関しても車椅子や杖の患者さんが受診しやすいよう、やや広めのスペースが必要です。廊下の幅は盲点になりがちですが、車椅子でもスムーズにすれ違えるくらいの広さで設計しましょう。

リハビリスペースや検査室などに患者さんが休める椅子を設置することも大切です。整形外科クリニックは、高齢者の方や骨折などの痛みにより立って待つことがつらい方も多く受診しているため、待合室以外でもこまめに座れる環境は患者さんにとても喜ばれます。
また骨折のギプス固定など、処置によっては長時間患者さんが診察室に留まる可能性があります。複数の診察室を処置室と兼用するか、診察室と処置室を別々に設けて診察待ちのロスを減らすことが円滑な外来運用には重要です。

次に設備に関して、整形外科クリニックを開業するには、放射線検査や超音波検査などに必要な設備は最低限必要になります。しかし緊急で採血検査をおこなうことはほとんどないため、血液検査機器は基本的に必要ありません。開業時より過度に設備をそろえるのは抑えた方がよいでしょう。一見設備が充実している方が集患がうまくいき、売上アップにも繋がるように思えますが、開院当初は集患が少ないため十分に設備を活用できず、結果的に赤字を招く可能性が高いと考えられます。

開業後の運転資金

次に、開業後の運転資金としては、下記の項目が挙げられます。

整形外科クリニック開業後の運転資金

横スクロールでご確認いただけます

項目(整形外科:テナント開業の場合) 概算費用(月額)
人件費 収入の20~30%
医業原価(医薬品、消耗品など) 収入の5~30%
家賃・駐車場など 立地、面積、設備等により異なる
水道光熱費 10万円~40万円
リース料 5万円~80万円(リース物件による)
その他諸経費(広告費、通信費、保険料、医師会費、租税公課など) 20万円~100万円

開業前に資金計画を立て、無理のない経営を目指しましょう。

従業員を必要以上に雇ってしまうと人件費が経営を圧迫してしまいます。開業時は最低限の従業員だけを雇用して、患者さんが増えてきたら従業員の数を増やすようにしましょう。整形外科クリニックの収入源や資金繰りについては、次の章で詳しく解説します。

整形外科クリニックの収入源と資金繰り

全国の「令和7年度 保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表」を見ると、整形外科の診療所のレセプト(診療報酬明細書)1件あたりの全国の平均点数は、1,202点です。全国の診療科別平均診療点数を比べると、地域によって点数が大きく異なります。最も高いのは鹿児島県の2,450点で、佐賀県の1,515点、東京都の1,510点が続きます。一方、最も低いのは新潟県の914点、鳥取県の920点、山形県の982点が続きます。

社会保険診療報酬支払基金「統計月報(令和7年8月診療分)」によると、整形外科の1件当たり日数は2.0日で、完治のためには複数回の受診が必要な場合が多いのが現状ですが、リハビリテーションを併設することで、受診回数はさらに増える可能性があります。増収に繋がりやすいため、多くの整形外科クリニックではリハビリテーションの充実を図っています。

開業初期は費用を極力抑えたいものですが、複数名の看護師と事務員の雇用は必須です。整形外科クリニックは処置も多いため、可能な範囲で診療体制を万全に整え、安心して受診できるイメージを保っておくことが大切です。厚生労働省「第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 -令和5年 実施-」を確認すると看護師1人を常勤で雇用する場合、平均で年間約400万円の人件費が発生します。整形外科や外科系処置の経験があるスタッフを雇用することができれば、よりスムーズな診療が実現できるでしょう。

またリハビリテーションを併設する場合は、リハビリをおこなうために複数名の理学療法士、作業療法士の雇用が必要になります。雇用するスタッフの数に比例して人件費も増えるため、リハビリテーションスタッフは患者さんが増えて採算が見込めるようになってから雇用するとよいでしょう。

個人開業と法人開業における収益

「医療経済実態調査(令和5年実施)によると、整形外科個人開業診療所の医業収益は1億283万円、介護収益は42万円、医業・介護費用は7,488万円で、損益差額は2,837万円です。一方、法人開業診療所の医業収益は1億4,849万円、介護収益は622万円、医業・介護費用は1億4,719万円で、損益差額は752万円です。

個人開業に比べ法人開業の方が医業収益は高い一方、医療・介護費用も高くなっています。事業規模は一般的に法人開業の方が大きいため、収益は高くなる傾向があります。また、院長給与に相当する役員報酬が費用として計上されるため、個人開業より費用が大きくなる傾向もあります。加えて、事業規模拡大に伴い各経費も増加する事が多く、結果的に法人開業は個人開業に比べて医業収益も医療・介護費用も高いことになります。

また、法人開業には法人設立や決算対応など、様々な手続きが必要ですが、法人化により節税効果を得られるほか、将来の事業継承が有利に働くことが多いというメリットもあります。分院化や業務範囲の拡大など経営計画によって、個人開業、法人開業の選択が必要です。

整形外科クリニック開業において注意すべき3つのポイント

整形外科の医院開業動向情報のイメージ4

整形外科クリニックを開業する際に、注意すべき3つのポイントをまとめました。

  • 開業当初から多角経営をしない
  • 地域との連携を図る
  • 広報戦略をたてる

それぞれ解説していきます。

ポイント1.開業当初から多角経営をしない

整形外科では、脊椎・膝・股関節などの診療部位によって必要な検査も設備も異なります。初めから医療機器を多種揃え、多くの従業員を雇用して、診療領域を広くしたうえで開業したいと思う医師も少なくありませんが、開業当初は患者数が増えにくく、診療報酬も1ヶ月以上遅れて入ってくるため、赤字経営になる可能性が高いです。
開業当初は初期投資を抑えて手堅い経営から始めるのが賢明です。

ポイント2.地域との連携を図る

同じ地域の内科クリニックと連携し、相互に患者さんを紹介し合えるようにしておくと、集患に繋がりやすくなります。
腰痛や肩こり、膝の痛みなどの整形疾患を抱える患者さんに対して内科で加療していることも多いため、慢性的な痛みや長期的な症状に悩んでいる患者さんを紹介してもらえる可能性があります。

その他診療エリア内の総合病院、回復期ケア病棟、脳神経外科クリニックや高齢者施設との連携も重要です。特に介護施設やケアハウスと連携ができれば、入所者さんの慢性疼痛や従業員の腰痛、疼痛にも対応ができるため、増患が期待できます。

ポイント3.広報戦略をたてる

整形外科クリニックは、幅広い年代の患者さんがターゲットです。厚生労働省の「令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況」では、医療機関にかかるときに「情報を入手している」人は外来患者の全体の 80.7%にものぼります。また「医療機関が発信するインターネットの情報」を頼りにしている人は、外来患者全体の 28.8%となっています。

高齢者層やファミリー層、学生層は口コミが集患に繋がる可能性も十分にありますが、口コミに頼るだけでなく、新聞の折り込みやチラシ、ポスティング、ホームページやSNSを活用した広報活動も積極的におこないましょう。

駅前に開院するのであれば、駅への看板設置は効率的な集患に繋がります。

ターゲットに合わせた広報戦略を展開しましょう。

整形外科クリニックが失敗しないための経営戦略

整形外科の医院開業動向情報のイメージ5

整形外科クリニックが失敗しないための経営戦略は、以下の3つです。

  • 自由診療で収益を上げる
  • ターゲットを絞った経営
  • 夜間・土曜診療の検討

開業する前にすべて把握しておくようにしましょう。

自由診療で収益を上げる

整形外科クリニックは自由診療をおこなうことで、リハビリテーションを併設せずとも収益を上げることができます。整形外科でできる自由診療の例としては、ビタミン注射やコラーゲン注射、ニンニク注射などがあります。

また、クリニック独自の方針として肩こり・腰痛のケア、姿勢矯正、リラクゼーションなど、保険診療でカバーしきれない慢性的な不調やメンテナンスに対応可能な「自費マッサージ」を行っているクリニックもあります。ぜひ検討してみてください。

ターゲットを絞った経営

地域の特性やニーズを十分に理解し、ターゲティングに基づいた経営戦略が重要です。どの地域でも高齢者向けの経営戦略が適しているわけではありません。

例えば学生が多い地域に開業する場合、スポーツ外傷やトレーニングを全面に押し出した経営もおすすめです。特にスポーツが有名な大学や高校の近く、最寄り駅近辺であれば、多くの患者さんを集めることが可能でしょう。唯一の注意点としては、将来的に同じような経営戦略で開業する強力なライバルクリニックが出現し得るということです。必要に応じてターゲットを変えることも視野に入れながら、状況に応じて経営をおこないましょう。

夜間・土曜診療の検討

整形外科クリニックのターゲットは高齢者だけではありません。一般的な診療時間は平日の日中ですが、学生や働く人を集患したいのであれば、平日の夜間や土曜日に診療をおこなうことでターゲットとなる患者さんが通いやすいクリニックを目指しましょう。

まとめ

整形外科の医院開業動向情報のイメージ6

整形外科クリニックは競合の数が多く他のクリニックとの差別化も難しいため、開業を成功させるためにはマーケティングの戦略が重要になります。地域の特性や患者さんの傾向などを分析し経営戦略をしっかりと考えることで、集患に繋げることができます。
まずは患者さんが安心して受診できる整形外科クリニックを目指しましょう。開業に関して不明点があれば、ぜひフォームからお問い合わせください。

整形外科の医院開業物件情報を見る

整形外科の開業事例を見る

科目別/開業動向情報一覧へ戻る

クリニック開業ノウハウ

開業計画・ポイント

資金・費用

立地選定・診療圏調査

財務・経営

許認可・手続き