成功する開業テクニック

知っておきたい地域医療の魅力

いま地域医療の可能性に期待が寄せられており、開業医は地域の医療機関と力を合わせ地域住民の健康を支える役割を担っています。開業にあたり地域医療には、どんな魅力があるのかを探ってみます。

日本の医療問題の解決と医師の夢の実現

日本の医療は超高齢社会の到来による医療費の増大、病床機能分化、在宅医療システムの充実など、さまざまな課題が山積しています。これらの問題を解決するために、国は2014年に「地域医療構想」を打ち出して以来、限られた医療資源の有効活用、切れ目のない医療・介護の提供を実現しようとしています。

地域医療は、地域住民の生活に密着した医療を実践することです。開業医になることで「患者さんや地域住民の顔の見える医療」に取り組むことができるようになります。開業医の道を選ぶことは、日本が抱える重要な医療課題を解決し、医師の夢実現につながるものといえます。

一人の患者さんを、時間をかけて診察できる

開業医の魅力の一つが、一人ひとりの患者さんに向き合える時間を確保しやすいことです。病院の外来は、大勢の患者さんを診察しなければならないため、どうしても、一人の患者さんを診る時間が制限されてしまいます。医師を志望したとき、「一人ひとりの患者さんに向き合いたい」と考えた医師は多くいるはずです。

開業医なら、必要に応じて一人の患者さんに時間をかけて診察することが可能であり、自分が医師を志望した原点をもう一度見つめ直す機会にもなるでしょう。
患者さんと向き合い、病歴などをじっくり聞いて、その患者さんに最適な診断をし、健康に対する不安や悩みなどに耳を傾けるゆとりも生まれます。

家族ぐるみの医療と、地域の健康づくりを実現できる

長年診療を続けている開業医で、患者さん、その両親、祖父母など、家族代々のかかりつけ医というケースもあります。患者さんとその家族の体質や病歴などの健康・医療に関する情報から、住環境などの生活面まで、幅広い情報を得ることができれば、病気のバックグラウンドまで目を行き届かせた診察が可能になります。

地域社会を構成するのは、そこに暮らす人々であり家族です。家族ぐるみのかかりつけ医となることは、その地域社会の健康を守ることにもつながります。このような広がりをもった医療を実現できることは医師冥利に尽きるといっても過言ではないでしょう。

家族ぐるみの医療と、地域の健康づくりを実現できるのイメージ

地域連携で人々の健康を守る

自分の専門外の患者さんを他のクリニックに紹介し、逆に他のクリニックからも患者さんの紹介を受ける「診診連携」や、医師会活動などをとおして、地域の開業医同士が連携して、地域の人々の健康を守ることができるのも、開業医の魅力の一つです。

もちろん、開業医だけでなく、地域中核病院や行政、高齢者住宅、保育所、介護施設、薬局、健康教室などとも連携して、地域包括ケアシステムの一翼を担い、地域医療に貢献することもできます。

高齢者医療、在宅医療の担い手として活躍することができる

高齢化の進展に伴い、在宅医療の重要性が認識されるようになっています。国でも地域における効率的かつ効果的な医療提供体制を確保するため、病床の医療機能分化を進め、慢性期患者の受け皿としての地域の介護施設や在宅医療の役割を強化することを基本施策として打ち出しています。

そして、地域包括ケアシステムにおける高齢者医療の中核として在宅医療を位置づけており、これからますます期待が寄せられていくと思われます。 こうした中で、開業医が在宅医療に取り組むことは、かかりつけ医としての役割を果たす上でも非常に意義のあることだといえます。

高齢者医療、在宅医療の担い手として活躍することができるのイメージ

地域の高齢者が安心して暮らすためには、寄り添う医師の存在が必要です。「地域医療は人と人との絆である」ともいわれています。自院に通えなくなった患者さんを訪問診療により最期までかかりつけ医として診続けられた開業医は、まさに人と人との絆を大切にする地域医療の実践者にほかなりません。

地域医療に貢献する開業医に対して、地域住民は信頼を寄せます。最近では、市民と地域医師会などが手を取り合い「○○医療ネットワーク」など、地域独自の組織づくりも行われるようになってきました。これからさらに地域住民の健康づくりに関係する開業医にスポットが当てられていくことでしょう。

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