開業事例

あんどうこどもクリニック

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あんどうこどもクリニック

開業タイプ 新規開業
科目 小児科、児童精神科、リハビリテーション科
所在地 〒669-1134 兵庫県西宮市名塩新町8番エコール・なじお5階
TEL TEL:0797-62-0111
URL https://ando-kodomo.com/

インタビュー

開業のきっかけは何でしょうか。

小児科医、家庭医として、子どもの病気だけでなく、親や祖父母など家族全部を診る必要性を感じたからです。勤務医時代、小児科と内科を担当しており、その中で、子どもの心の問題が関わる病気は家庭環境が重要だと考えるようになってきました。

もともとは新生児科医で、NICU勤務が中心でした。 NICUを退院しても、数ヵ月おきに外来に来てもらったり、脳性麻痺のためリハビリに通ってもらうこともあります。順調に発達しているか、何年にもわたってフォローしていました。子どもの成長を見るのは楽しいし、やりがいもあります。退院患者さんが成長し、成人になった時、病院まで来てもらって成人式をしたこともあり、患者さんや家族と深く関わりたいと考えていました。

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理事長 安藤 康一 氏

他の内科の医師に、家族全部を診る体制づくりを提案しましたが、関心を持ってもらえませんでした。風邪などの一時的な病気でなく、長くかかる病気や心の問題が関わるとき、家族抜きでは成り立たない、開業しなければ自分の構想を実行するのは難しいと感じ、2010年ごろから準備を始めました。

こちらを開業地に選んだのはなぜですか。

両親がクリニックの近隣に住んでおり、この地域が抱えている課題を聞いてきました。小児科医がいないため、少し難しい疾患は宝塚市か神戸市北区まで行かなければならないという現状です。開業候補地はほかにもありましたが、最終的には、地域の役に立つことを考え、ここで開業することにしました。

両親が住むのは1990年代初めに造成された住宅地です。一般的には、住宅地の高齢化に伴い地域も高齢化していくと思いますが、当該住宅地の名塩地区はその後も、周辺の地域で住宅地の開発やマンションの建築が続いています。親元近くにUターンしてくる若年層も多く、小児科の需要は高まると予測できたのも理由の1つです。

開業前は、開業経験を公開している医師の本を読むなどの準備をしました。スタッフはほとんど新規で採用し、小児科に限らず、クリニック勤務経験者を重視しました。立ち上げの時期なので、「こうやったらうまくいった」というノウハウを持ち寄って、築き上げたいと考えたからです。単なるスタッフではなく、経営の一翼を担う意識をもってもらうことが大切です。

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3人定員の病児保育室を完備し、保育士が適切に対応。

クリニックの内装や動線も自分たちで考え、2013年に開業しました。小児科は特に、感染症患者さんの動線が重要ですが、構造上、玄関2つは作れませんでした。そこで、待合室を通らず、別のルートで処置室に行ける動線を確保し、感染症に対応しています。また、換気システムの充実も当院の特色です。強力な空気清浄機を4力所に設置し、短時間で屋内を換気できるようにしています。

クリニックの特色を教えてください。

一般の小児疾患に加え、発達障害に対応できるのが特色です。以前は、脳性麻痺、肢体不自由の子どもは小児科がフォローし、知的障害や発達障害は児童精神科の分野でしたが、20年ほど前から、小児科も発達障害などに対応する ことが増えてきました。知的障害と診断された子どもたちを詳しく診ると、対人関係や特定の分野に課題をもっているケースが多い。知的障害として、おおまかにくくられていたものが、近年は、発達障害の診断がつくようになり、適切な支援が考えられるようになってきました。当クリニックでも、診断と適切な支援に取り組んでいます。

開業後は順調で、外来患者さんは1日60~70人程度です。一般的な疾患や予防接種以外に発達の相談や知的、学習的な相談が全体の2割くらいです。一般的な疾患は、近隣からがほとんどですが、発達の相談などは、宝塚市や神戸市北区、西宮市南部からも来ています。ホームページや口コミで受診する方がほとんどです。

患者さんが1人来ると、その後、同じ小学校に通う子が10人くらい受診してきます。親御さんの口コミで広がっているようで、診断がつくことで安心されるようです。患者さんのプロフィールを細かく分析し、何か困りごとにつながっているか、何が得意かを家族に伝え、日常で困っていることへの支援の考え方や方法をアドバイスしています。  家族には、当院での訓練をもとに自宅や学校で訓練を続けてもらうよう指導します。訓練が生活の中で生かされることが大切で、「クリアできたね」の共有を繰り返すことで、本人だけでなく家族も変わってきます。

学校に対しては、担当教諭に分かりやすいよう、具体的な注意点を明記したレポートを提出しています。協力しようとしてくれる先生は多いのですが、経験がなく、どうしたらいいか分からないということも多いのが現状です。

先日、教員を対象にした勉強会を初開催しました。養護教諭や特別支援学級教諭ら10人が参加してくれました。今後も教員の理解を深めていく機会を設けていきたいと思います。

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一人ひとりの子どもに合わせ、雰囲気の異なる面談室を準備。
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リハビリ施設を新設されました。

クリニックのスペースでは十分な運動ができないので、リハビリや訓練ができる場所がほしいと思い、2018年、「児童発達支援センターゆーかりの森」を開設しました。私のほか、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、保育士が協力し、一人ひとりに合ったプログラムを組んで成長を手助けする施設です。

現在、神戸市、京都府、大阪府などからも1ヵ月に約100人の子どもたちがセンターに通ってきています。発達障害の相談や知能検査は、療育センターや医療機関などが行っていますが、半年から1年待ちというところも少なくありません。当院は、検査も含めて最短2ヵ月で、必要な支援の方向性を示すようにしています。子どもの発達に悩んでいる人は多く、相談窓口や支援拠点は、地域に複数必要だと実感しています。

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リハビリスペースを確保するため開設した「児童発達支援センターゆーかりの森」。

当院では、発達障害が専門の医師と児童精神科医で運営していきたいと思いますが、小児科で発達障害のトレーニングを受けている人は多くありません。興味のある小児科医がいれば、ぜひ受け入れたいと思います。他院で自閉症と診断されたコミュニケーションの取れない子どもに対し、どこでつまづいているかを把握し、発達段階に応じた訓練をすることで約1年後には、コミュニケーションが取れるようになった実績もあります。そういった子どもの成長を見ることができるやりがいのある仕事です。

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思いきり体を動かせる器具を備えたリハビリ室。

今後の取り組みを教えてください。

学校との連携を充実させていきたいと思います。発達障害の子どもが出来ることと出来ないことを把握してもらった上で、担当教諭にその子の能力を伸ばせるような支援についてアドバイスしていきたいと思います。また、就労支援にも取り組みたいですね。学習だけでなく、社会に出ていくためのスキルを身に着け、本人の能力を生かせる場を作っていきたいと考えています。

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「発達障害の診断と適切な支援に力を注ぎたい」と話す安藤康一理事長。

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