開業事例

あだかえたけだクリニック

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あだかえたけだクリニック

開業タイプ 新規開業
科目 内科、循環器内科、泌尿器科
所在地 〒699-0108 島根県松江市東出雲町出雲郷94-4
TEL TEL:0852-52-4177
URL https://a-takedaclinic.com/

インタビュー

開業のきっかけは何でしょうか。

大学卒業から9年間、泌尿器科疾患、慢性腎臓病、血液浄化療法(血液透析、腹膜透析の導入など)に携わりました。県内の地方の病院で臨床を経験するうちに、循環器領域に対する興味・関心が強くなり、循環器内科への転科を考えるようになりました。心血管イベントのリスクが高い透析患者を専門に診る透析クリニックに勤務していたころ、島根大学医学部内科学講座第四の田邊一明教授との出会いがありました。進路について相談したところ、転科の決心に背中を押していただき、循環器内科に入局しました。

以前から、地域医療に携わりたいという思いはありました。透析クリニックに勤務しているとき、病院に比べると患者さんとの距離が近いと感じました。親身になって診ることができるのは開業医だと思いましたが、当時はまだ、開業を決意するまでには至りませんでした。40歳を目前にして、勤務医を続けるか、開業するかを考えるようになりました。総合メディカルの開業セミナーが広島であると聞き、参加したことで本格的に開業の気持ちが固まりました。

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院長 竹田 昌希 氏

開業に苦労したことはありませんでしたか。

セミナー参加後は、開業地の選定から総合メディカルに協力してもらいました。開業した土地は、東出雲町の新興住宅地近くで人口増が見込める地域です。他にも町内で探しましたが、この場所は、住宅地の手前で人通りも多く、一目で気に入りました。また、周囲に循環器内科や泌尿器科のクリニックもありませんので、地域の方のお役に立てる良い場所を選べたと思います。

経営については、独学で知識を身に着けました。スタッフ募集等では、総合メディカルに手伝ってもらい、すべて新規で採用しました。2017年9月に開業し、当初は戸惑うこともありましたが、ようやく軌道に乗ってきたかなという状況です。

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竹田院長とともに患者さんを支えるスタッフ。

クリニックの特色を教えてください。

島根県の高齢化率は33%を超え、全国平均を大きく上回っています。患者さんの中には老老介護の方も多くいらっしゃいます。勤務医時代は、患者さんの生活を意識するほど踏み入っていませんでしたが、開業医になると、生活全般を考えなければいけないと思います。泌尿器科、循環器内科を専門としていますが、領域を限定せず、患者さんの困りごとに寄り添える医療を提供していきたいです。

クリニック名に出雲郷(あだかえ)の地名を入れたのも、地域医療に貢献したいという思いからです。開業後、地域の方々に当院を知ってもらうため、テレビでCMを流したり、ホームページを制作しました。また、松江市立病院でも連携医として、デジタル案内板などで紹介していただいています。

院内は白と木目を基調とした内装で、ロゴを配した壁や待合室のいすは、赤みを帯びた茶色で統一し、アクセントをつけています。処置室や化粧室は広く、落ち着いた気持ちで受診していただけるよう配慮しています。検査等の機器も充実しており、尿流量測定装置や自動血球計数器/CRP測定器、心臓や腹部・泌尿器エコー診断装置などをそろえています。循環器、泌尿器ともに、当院での検査が可能ですが、侵襲的な検査が必要な場合は、地域の基幹病院へ紹介しています。

循環器内科、泌尿器科を専門とするため、患者さんは高血圧、脂質異常、糖尿病の方や前立腺疾患の方が多いですね。やはり、高齢者が多いのが特色です。外来は1日平均50~60人。当初の予定通りで、順調だと思います。患者さんは東出雲町だけでなく、安来市、矢田町、竹矢町など周辺からの受診も増えています。口コミを聞いて受診される患者さんが多い印象ですが、松江市立病院や松江赤十字病院などから逆紹介をいただくことも増えてきました。

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木目を基調に落ち着いた雰囲気を醸す受付。
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排尿するだけで尿流率と尿量を測定できる尿流量測定装置。
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充実した検査機器で診療をサポートする検査室。

患者さんを診る際に気をつけていることはありますか。

患者さんの目を見て話すなど、患者さん一人ひとりとじっくり向き合うことを大切にしています。他愛ない会話を重ねるうち「先生の顔を見たら元気になった」という声をいただいたこともあります。どんなに技術が進んでも、医療は「人対人」です。診察を終えた患者さんの安心した様子を見ると、開業してよかったと思います。ふれあいを大切にしていきたいですね。

当院は、禁煙外来やED/AGA治療、アンチエイジング外来も取り入れています。東出雲町を中心とした地域には、これらを治療する医療機関は、多くありません。アンチエイジング外来は、今後需要が増えてくると思いますので、これから力を入れていきたいです。

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「患者さんとじっくり向き合うことを大切にしたい」と話す竹田昌希院長。

フィットネスジムを併設している理由は何ですか。

開業にあたって、高齢者のフレイル対策や働く世代の生活習慣病予防にも力を注ぎたいと思い、クリニック2階にフィットネスを併設しました。フレイルは、加齢に伴い、筋力や認知機能などが低下し、要介護手前の状態になることです。厚生労働省も2018年から、本格的に対策に乗り出しており、運動や口腔ケア、栄養指導など複数のアプローチが必要だと言われています。

当院のフィットネスには、筋力トレーニングと有酸素運動のマシンを設置しており、30代から85歳まで、約250人が会員登録しています。高齢者には、筋力を低下させないよう「貯筋」が大切と声をかけています。高齢者は運動習慣がない人も多いため、生活に根差したところでの意識付けが大切です。定期的にABI(血圧脈波測定装置)検査を実施し、利用者に運動の効果を実感してもらっていますので、健康意識は向上していると感じています。

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筋トレマシンを充実させ、高齢者には「貯筋」を勧めている。

今後の取り組みを教えてください。

今後は、医療法人化し、医療法第42条施設(疾病予防施設)としてフィットネスジムを拡張していきたいです。そのために、現在の駐車場は広めに設定しています。拡張した際には、骨密度や体組成の検査なども取り入れ、本格的に健康管理ができる施設にしたいですね。

まずは、多くの患者さんに笑顔になってもらうことが目標です。そのためにも、外来で患者さんを待つだけでなく、在宅医療にも取り組んでいきたいと思います。今は、往診のほか、施設の嘱託医として施設にいる高齢者の診療を行っていますが、今後は、訪問看護ステーションなどの事業も視野に入れ、在宅医療の充実を図っていきたいと思います。

当院の目標は、高齢者の予防、治療、看取りまでを担う医療機関に育っていくことです。まず、最初の1年は無事に終わりましたので、自己評価は120点です。自分がやりたい医療は少しずつ実現しています。目標に向かって充実していると思いますので、今後も継続していきたいですね。

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