開業事例

なごみ泌尿器科クリニック

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なごみ泌尿器科クリニック

開業タイプ 新規開業
科目 泌尿器科
所在地 〒900-0005 沖縄県那覇市天久1丁目8-1
コーポ杜201号室
TEL TEL:098-866-7531
URL http://www.nagomi-clinic.okinawa/

インタビュー

開業のきっかけを教えてください。

学生時代に腎臓移植の患者さんやドナーと接し、移植そして泌尿器科に興味を持つようになりました。

金沢医科大学では、専門医をとるなど腎移植に取り組みました。2000年に沖縄に戻ることを決め、専門分野が泌尿器科でもあることから、人工透析を学ぶため、琉球大学の血液浄化部に籍を置き、その後、泉崎病院で泌尿器科を新規で立ち上げ、透析も同時に担当する事になりました。

その後、10年ほどは、外来と入院、手術、透析を担当していたのですが、年々患者さんの数は増えていき、自分の時間はほとんどなく、患者さんに接する際も十分に話が聞けず、もどかしさを感じるようになりました。外来のみの担当であれば、患者さんとの接点も増やせたと思いますが、病院勤務医では、なかなか自分の思い通りにはいきませんでした。

なごみ泌尿器科クリニックのイメージ
院長 城間 和郎 氏

自分の考える医療を実践するのなら、開業しかないと考えるようになりました。思い立ったら、すぐにでも行動したい性格ですので、開業場所を現在の地に決め、半年以内で開業のめどを立てました。

開業にあたって気をつけたことはありますか。

建物自体にはお金をかけないと決めていました。総合メディカルの開業支援セミナーに参加し、銀行融資や事業計画などの相談に乗ってもらうようになりました。現在のクリニックは、以前小児科だった物件を居抜きで入手しました。自己資金が少なく、開業までの時間も短かったので、開業支援のパートナーをきちんと作るのはとても大切だと思います。

また、病院時代に一緒に勤務していた看護師がついてきてくれたことも大きいですね。新規のスタッフに、泌尿器疾患の看護を一から教えるのは大変です。スタッフが一緒に来てくれると決めたことが、開業を後押ししてくれたように感じています。

なごみ泌尿器科クリニックのイメージ2
マンションの2階にあるため、気軽に受診しやすい。

どのようなクリニックを目指していますか。

泌尿器科クリニックの多くは、腎臓内科や皮膚科なども標榜していますが、当院は、排尿障害への支援をきちんとできるクリニックにしたいと考え、泌尿器科のみを標榜しています。排尿障害は、加齢とともに誰もが経験しますが、年のせいだとあきらめて、行動的になれない人が多く存在します。私は、排尿障害を適切に治療し、その人たちがいきいきと暮らせるきっかけとなるクリニックにしたいと考えています。

排尿障害は、投薬のほかに生活指導が重要なため、泌尿器疾患に精通した看護師の存在を心強く感じています。排尿障害は、身体の機能面だけでなく、トイレまでの距離や位置など、家の中の状態も影響します。訪問看護の経験のある看護師が、生活の様子などを上手に聞き出してくれることが、診療にとても役立っています。また、看護師二人は、排尿機能検査士の資格も取得しています。当院では、看護師が検査も担当しますので、資格取得により、看護師のスキルや意識も高まっていると感じています。

なごみ泌尿器科クリニックのイメージ3

クリニックの特色を教えてください。

建物にお金をかけない一方、検査機器は病院と同等もしくは、それ以上のものをそろえました。当初は収益を見込めないと考え、安価な機器からスタートする選択肢もあるでしょうが、私は、やるからには低侵襲検査を第一に考え、また他の医療機関と違うことをしたいと考えました。超音波検査機器は前立腺がんの診断に有用なエラストグラフィー搭載機種、軟性膀胱ファイバースコープは痛みが少なく画像が鮮明な機種、普通のトイレで尿流率・尿量が測定できる装置、フローサイトメトリー法により1分で解析できる検尿装置も導入しています。

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院長の名前の「和」をクリニック名に。あえて名字、地名を入れず、永続性を求めた。

他科を標榜せず、泌尿器科専門に取り組むことに対し、友人の多くは経営的に不安なのではないかと心配してくれていましたが、那覇市内の泌尿器科開業医は当院を含めて4件のみで、人口に対する数は少なく、患者数も順調に推移しています。

15年の開業以来、新患は、初年度は1850人、16年度は1800人で、順調な滑り出しだと思います。病院に比べ、若い女性の患者さんが増えています。若い人はインターネットで見つけて来られるようです。一方、高齢者は、沖縄特有の「模合(もあい)」という友達同士の集まりで話題に上ることが多いようです。模合仲間から聞いてきたという方が多いですね。

当院は、マンションの2階にありますが、それも良かったようです。泌尿器科受診は恥ずかしいという方も多い中、建物に入るのも、エレベーターに乗るのも、マンションの住人に溶け込んで目立たないので、若い方は特に受診しやすいのでしょう。

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排尿機能検査士による膀胱部エコー検査。
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経直腸的にエラストグラフィー可能な機器。
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痛みが少なく画像が鮮明な軟性膀胱ファイバースコープ。
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体に無理なく検査できるレントゲン。
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普通のトイレで尿流率・尿量が測定できる装置。
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測定装置の操作盤。

今後の目標を教えてください。

診療だけでなく、患者さんの私生活も含めて支援していけるクリニックにしていきたいですね。病院時代から、かかりつけにしてくれている患者さんから、「先生変わったね」と言われています。勤務医時代に比べ、患者さんと話す機会が増えたと思います。

私は50歳で開業しましたが、開業して良かったと感じています。勤務医時代は、昼食も取れず、夜も遅くまで仕事をしていました。忙しいのが美徳と思っていたこともあり、心に余裕がなかったと思います。今は、自分の時間も大切にしており、その分、患者さんにも親身に接することができるのではないかと思います。

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患者さんとのお話も、一人だけに時間を取るわけにはいきませんので、当院は予約制を徹底しています。「時間を守る」というルールを患者さんにも守っていただいています。中には、自分のルールを通そうとする人もいましたが、他にも待っている患者さんがいることを理解してもらい、今ではみんなが気持ちよく受診できるようになりました。

今後は、当院の特色である排尿障害の検査や診療のレベルをさらに磨いていきたいと思います。学会に参加し、スタッフとともに最新の情報を収集するほか、検査内容の充実も図っていきたいと思います。また、医師や看護師の中には、排尿障害をきちんと理解できていない人も多くいます。内科の開業医向けの講演会なども企画するほか、市民公開講座の講師も引き受け、啓蒙活動にも取り組んでいく計画です。

私は仕事を明日に持ち越すことは嫌いで、「今日できないことは明日もできない」という考え方です。今できることを精いっぱい取り組んでいきたいと考えています。

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