練馬高野台駅メディカルゲート(東京都)の医院開業事例


外観

開業タイプ 新規開業
所在地 東京都練馬区
科目 内科、神経内科、小児科、耳鼻咽喉科、アレルギー科、皮膚科、美容皮膚科
病床数 なし

わだファミリークリニック
〒177-0035 東京都練馬区南田中3-7-29
診療科目:内科、神経内科、小児科
TEL:03-6915-9156
http://www.wada-family-clinic.jp/

高野台いいづか耳鼻咽喉科
〒177-0035 東京都練馬区南田中3-7-28
診療科目:耳鼻咽喉科、アレルギー科
TEL:03-6913-3366
http://iizuka-jibika.com/

サマンサクリニック
〒177-0035 東京都練馬区南田中3-7-27
診療科目:皮膚科、美容皮膚科
TEL:03-6913-1670
http://samantha-clinic.com/

地域医療連携を実現する医療モール

いま、“地域医療連携”が求められている。地域の人たちが安心して暮らせる街づくりに必要な要素でもある地域医療連携とは、いったいどんなものなのか。
それを探るべく、大学病院と連携しつつ地域医療を支える医療モール「練馬高野台駅メディカルゲート」を訪ねてみた。

求められる地域医療連携

地域では、幅広い分野にまたがって人々に寄り添う、切れ目のない医療が求められている。しかし、医療が高度化し専門化していくなかで、「町のお医者さんだから、専門外でも何でも診る」と気軽に言える時代ではなくなった。

いくつもの医療機関が、それぞれの専門や機能に応じて役割分担をしながら、手を取り合って切れ目のない地域医療を作り上げていく。いま求められているのは、そんな地域医療連携だ。この連携は同時に「自分がこれまで培ってきた専門能力をいかしつつ、地域の人に貢献したい」。そんな医師たちの望みもかなえている。

気軽に相談できるクリニックとして幅広い診療をおこないながら、入院・手術など、より高度な機能が必要になったら大病院に紹介する。軽快したらまたクリニックに戻って来てもらい、こまめに行き届いたフォローをする。大病院に行くほどではないけれど、より専門的なスキルが必要だと判断したら、ほかのクリニックへ紹介し合う。

そんな医療連携の担い手として期待されているのが、医療モールだ。診療科が異なるいくつかのクリニックと、調剤薬局、介護施設などが隣接したエリアにまとまって存在することで、相互に補いながら機能していく。

いま、次々とオープンし始めた医療モールは、地域でどのように機能しているのか。2013年にオープンして以来、地域医療に大きな役割を果たしつづける医療モール「練馬高野台駅メディカルゲート」の事例を見てみよう。

  • サマンサクリニック
    院長 貞政 裕子氏
  • 高野台いいづか耳鼻咽喉科
    院長 飯塚 崇氏
  • わだファミリークリニック
    和田 万里子氏

わだファミリークリニック~地域とのつながりを増やしていきたい~


温かみのある内装。受付の脇にはお子さんの絵が飾られている。


小児科の診察室

わだファミリークリニックは、内科・神経内科を担当する院長の和田圭一郎氏と小児科を担当する和田万里子氏夫妻が二人で診療をおこなう、文字どおりのファミリークリニックだ。

扉を開けると待合室が広がり、目の前に受付カウンターがある。受付の左が圭一郎氏が内科・神経内科を診療する第1診察室で、右側には万里子氏が小児科診療をおこなう第2診察室がある。第2診察室の向かいには感染症対応などに使える第3診察室があり、左奥には処置室がある。木目調の内装はやわらかく温かい雰囲気で、壁には夫妻のお子さんの絵が飾られている。

練馬高野台駅近くの順天堂大学医学部附属練馬病院(以下、順天堂練馬病院)で神経内科医として勤務していた圭一郎氏は、練馬高野台駅前の医療モールの募集広告を目にして、ふと興味をもった。それまで具体的に開業を考えたことはなかったが、大学病院は混雑して待ち時間が長く、患者さんに申し訳ないという気持ちはずっともっていた。開業すれば、もっと患者さんにじっくりと向き合う医療ができるかもしれない。もし開業するとしたら、こんな好立地には二度と出合えないだろう。圭一郎氏の心が動き、順天堂大学医学部附属順天堂医院で小児科医として働いていた万里子氏も乗り気になった。

「大学病院では、紹介されて訪れた患者さんを月1回診るという形が多かったのですが、開業してからは、一人のお子さんをゼロから診られます。生まれたての赤ちゃんがどんどん成長していくのを間近に見られるのは、うれしいですね。ちょっと心配だったら『明日、もう一度来てくださいね』と、こまめに診療できるのはクリニックのいいところです」と万里子氏は言う。

「いまは自分が育児中なので診療時間を少なめにしていますが、今後はもう少し診療時間を増やして、保健センターでの健診など地域の活動も広げていきたいと思っています。私はアレルギーが専門なので、例えば栄養士さんと一緒に何かできれば面白いかもしれません」

内科・神経内科の圭一郎氏の患者さんは、どちらかというとお年寄りが多い。万里子氏の小児科と共同の待合室は、赤ちゃんからお年寄りまで、地域のすべての世代が集う場になっているようだ。

高野台いいづか耳鼻咽喉科~信頼されるクリニックにしたい~


診察室には聴力検査用の個室や耳鼻科専用器具などが並ぶ。



高野台いいづか耳鼻咽喉科の院長・飯塚崇氏は、練馬高野台の隣の町・富士見台で生まれ育った。卒業した中学校は練馬高野台の駅前で、根っからの地元っ子だ。順天堂練馬病院に勤務していたときに、練馬高野台駅メディカルゲートの計画を知り、「地元で開業するには絶好のチャンスだ」と開業へ踏み切った。

広い診察室には、さまざまな検査機器やPCが並ぶ。患部の写真を保存し、必要に応じて閲覧できる画像ファイリングシステムは、「変化が目で見てわかる」と患者さんに好評だ。しかし、機器ばかりの無機質な空間かというと、そんなことはない。待合室にはキッズスペースが用意され、診察室では、アンパンマンのキャラクターが迎えてくれる。

「小さな子どもが多いので、楽しく過ごせるように工夫しています。最初はお母さんの膝に抱かれて泣き叫んでいたお子さんが、だんだんと慣れてきて、ひとりで座れるようになり、処置をしても泣かずにいてくれるようになる。子どもたちが元気になり、大きくなっていく姿を見るのが、大きなやりがいになっています」と飯塚氏。得意分野は中耳炎などの感染症とのことだ。

飯塚氏は、人間の身体の不思議に惹かれて医学部を選んだ。耳鼻咽喉科へと進んだのは、一人の患者さんを最初から最後まで診られることに魅力を感じたからだという。「例えば外科は手術が中心ですし、内科は手術が必要になると外科に送ることになります。でも耳鼻科なら、一人の患者さんを、内科的なことも外科的なことも責任をもって診療できます」と飯塚氏。一人ひとりの患者さんに向き合って診療していくために、クリニックの開業は自然な選択だったのだろう。

地元ということもあり、昔の同級生が来てくれて、「久しぶりだなあ」と会話がはずむことも。いまは生まれ育った土地で地元の人たちに貢献できることが、とてもうれしいという。

開業前は不安があったが、蓋を開けてみるとみるみる患者さんが増え、いまは忙しすぎるのが悩みのタネだ。あまり混雑して患者さんを待たせるのは申し訳ないとの思いから、月曜日の午後には後輩の応援を頼んで、二診体制にした。

「あそこに行けば安心と思ってもらえるような、地域でいちばん信頼されるクリニックをめざしたいですね」と飯塚氏。すでに地域で大きく頼られる存在になっているようだ。

サマンサクリニック~患者さんの喜ぶ顔が見たい~


やわらかな雰囲気の受付。


まるでサロンやホテルのようにデザインされた洗面台。

練馬高野台駅から行くといちばん手前にあるサマンサクリニックの院長は、サマンサこと貞政裕子氏だ。クリニックの名前は、自身のニックネームから取ったという。

院内に入ってみると、花柄などをモチーフにした明るく穏やかなトーンの壁紙に、天井にはシャンデリア。壁には花のアート作品が飾られ、オシャレな洗面台は、居心地のよい美容サロンという印象だ。内装はすべて、インテリア好きな貞政氏が自ら選んだ。患者さんの緊張感をやわらげるように、自然をモチーフにした壁紙を選んだという。

貞政氏は、もともとお化粧が好きでスキンケアに興味があったことから、皮膚科を選択。ところが、研修後に8年間勤務した順天堂大学医学部附属静岡病院は3次救急の医療機関で、あらゆる病気とケガへの対応を求められた。皮膚科医として鍛えられて、順天堂練馬病院に転勤。自分は皮膚科医という矜持をもって診療に臨んでいたところ、週末に美容クリニックでアルバイトを始めたことで、転機が訪れた。

「最初は、いままでやってきた医療と美容皮膚科との違いに違和感がありました。でも、美容皮膚科を学ぶにつれて、幅広く患者さんの悩みにこたえられることが、面白くなってきました。患者さんは皮膚がきれいになると、とてもうれしい顔をされます。それが、私にとってはなによりの喜びです」

美容皮膚科で患者さんの笑顔に出会ううちに、大学病院での診療にストレスを感じるようになってきた。
「例えば、患者さんの痛みをやわらげるため、注射針をより細いものに変えたいと思っても、大学では簡単に使わせてもらえません。それに大学病院では自費診療をできないので、患者さんからしみや皮膚のたるみの悩みを打ち明けられて、いい治療法があるとわかっていても、やってあげられません。フラストレーションがどんどんたまっていきました」と貞政氏は言う。

もっと患者さんの気持ちに寄り添った診療をしたいという思いが開業につながった。
「コンセプトは、“自分がかかりたいクリニック”です。自分が患者さんだったらと考えて、使ってほしい機器を世界中から集めました」と貞政氏。

受診者数は順調に伸び、うれしい悲鳴をあげている。勤務医のときとは異なり、診療のほかに経営者としての雑務や事務仕事もこなすのは大変だが、自分のやりたい医療ができている達成感がある。ずっとこの土地で、患者さんと一緒に歳をとっていけるような皮膚科のホームドクターをめざしている。

練馬高野台駅メディカルゲートの成功を支えるもの

医療モールなら、連携がしやすい

開業時に医療モールを選ぶメリットは、どこにあるのだろう。
まず相乗効果で地域に周知しやすい点がある。クリニックは、地域の人たちに存在を知ってもらうことが大切だ。ビルの中に一つだけポツンとできたクリニックよりも、複数のクリニックがまとまってできるほうが、認知度の高まりは圧倒的に早い。工事の段階から目立つので、通りすがりの人の目にとまりやすい。そして開業した後もクリニックを訪れた患者さんが、ほかのクリニックの前を通る。

練馬高野台駅メディカルゲートでも、「『皮膚科や内科に来たのでついでに来ました』という患者さんが多いんです」(飯塚氏)、「先に開業されたクリニックが流行っていたので、工事中から『皮膚科開業予定』という看板を見て、『皮膚科もできるんだ』と思ってくださったようです」(貞政氏)といった声を聞く。

クリニック同士が協力しやすく、切れ目のない医療連携を実現しやすいところも、医療モールの魅力だ。
「小児科医でもひととおり診察するように心がけておりますが、専門の医師のほうがやはりしっかり診てもらえます。これは耳鼻科で診てもらったほうがと思っても、1日に2科で診療を受けるのは、患者さんには負担ですよね。でも、ここなら気軽にお隣さんを紹介できます」(和田万里子氏)、「お隣は神経内科が専門ですから、頭からくるめまいの鑑別をするのに、よく紹介させていただいています」(飯塚氏)という声は、医療モールの連携のしやすさを表している。

連携できるのは診療面だけではない。同地に開業した医師同士、運営上のちょっとした悩みや疑問も、相談したり情報交換したりしやすい。仕事仲間が近くにいれば、単独で開業するよりも不安が少ないだろう。

中核病院との連携も、成功の鍵

隣接するそうごう薬局 練馬高野台店

練馬高野台駅メディカルゲートの成功理由の一つには、順天堂練馬病院との密接な連携も挙げられる。

クリニックの院長はすべて順天堂練馬病院の勤務医だったため、開業前から互いに顔見知りで、気心が知れていた。同じ大学病院に勤めていたので、診療の手順もある程度統一が取れていて、患者さんはそれほどの違和感がなくクリニックを複数受診できる。

「医師によって薬の好みがあるので、開業前に確認をして、モール内であまり違いが出ないように心がけました。また、だいたいの患者さんは隣の薬局に行かれますから、薬局では薬の重複等のチェック、調整をしていただいています」と和田万里子氏は言う。

元の勤務先なので、当然、大学病院との連携もスムーズだ。
順天堂練馬病院は、練馬高野台駅メディカルゲートから徒歩約5分のところにある。クリニックの医師たちは、開業後も週に1回程度、順天堂練馬病院での診療もつづけている。職員とは顔なじみなので安心して紹介し合える。重症の患者さんは順天堂練馬病院に紹介し、軽快したらまたクリニックに、という病診連携が自然におこなわれている。
「大きな病院だと受診の仕方がわからないという方もいらっしゃいますが、まずクリニックに来ていただければ、必要性を判断して病院への紹介状をお出しします。紹介先の先生も存じ上げているので、私も安心です。退院されたら、抜糸などはクリニックでおこなうこともできます」と貞政氏。

大学病院の側でも、高度な医療機能を最大限に発揮できる。混雑を緩和するために、クリニックが軽症の患者さんの受け皿になってくれることは、大きなメリットだ。わだファミリークリニックでは、承諾を得た患者さんについては、順天堂練馬病院のカルテをクリニック内でも参照できるシステムになっている。

医療モール開設のサポート体制

医療モールには、大きなメリットがある。しかし、医療モールは、ただクリニックを集めればよいというわけではない。
練馬高野台駅メディカルゲートは、高架下の土地の有効活用について西武鉄道から相談があり、総合メディカルが医療モールの構築をプロデュースした。

鉄道の高架下という環境から騒音と振動の問題が懸念されたが、専門業者の調査により問題ないと確認。中核病院との連携、立地条件、賃貸料、診療圏など、さまざまな条件から医療モールに適した土地と判断した。地域の人のニーズに合い、互いに補い合える診療科を慎重にコーディネートし、建設段階から関わった。クリニックの開業に関わるいっさいを支援して、医療モールとして順調に滑り出せるようサポートした。

練馬高野台駅メディカルゲートを担当した総合メディカル東日本支社医療モール開発部の行徳ゆかりは、「ともかく契約を取ろうといったことは考えません。その医療モールが、長い目でみて成功するために、どうするかを考えてコーディネートしています」と言う。

ところで、医療モール成功のためにはそれぞれのクリニックの成功も重要だ。練馬高野台駅メディカルゲートに開設されたクリニックは、すべて総合メディカルが提供する開業支援を受けている。

開業支援は、経営理念・診療方針の作成から始まり、事業計画の策定、資金調達の支援、企画・設計・施行、医療機器などの選定・アドバイス、リスクマネジメント(保険の総合判断)、税理士・公認会計士などの紹介、職員の求人・採用・研修、広報支援、開設手続きなど。開業後も定期的に点検して、新たな課題が生まれていれば相談にのる。医師が診療に集中しながら、自分のめざす医療を実現するために手厚くサポートしていく。ベテランの医師でも事業主としての経験はゼロの場合がほとんどなので、開業支援は非常に好評のようだ。

「何も経営の勉強をしていなかった状態で急に開業を決めたので、支援は本当に助かりました。とくにスタッフの採用では 一緒に面接をしてアドバイスしていただいて、おかげで開業時のスタッフから 一人も欠けることがなく、やってこられています」(和田万里子氏)、「大病院とは使用する機械やシステムが異なるので、さまざまな機械やシステムの紹介を受けられたのは、非常によかったと思います」(飯塚氏)、「資金の借り方を教えていただいたのは、すごく助かりました。何も知らなくても、言われたとおりにしていたらクリニックを開業できるという安心感がありました」(貞政氏)といった声があがっている。

綿密なコーディネートと手厚いサポートによる医療モールが、これからも続々と登場していきそうだ。

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