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山梨大学医学部附属病院の研修ゲンバ

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※下記掲載内容は、2017年6月現在の情報です。

板倉 淳 先生(研修センター長)

板倉 淳 先生(研修センター長)

1986年山梨医科大学卒業。同年山梨医科大学第一外科学教室入局。都立府中病院、共立蒲原病院、日立戸塚病院などでの勤務を経て、93年山梨大学医学部 助手。95~98年文部省在外研究員としてカリフォルニア大学に留学。99年山梨医科大学 学内講師、09年同大学医師キャリア形成センター 特任准教授、11年同大学医学部臨床教育センター センター長。

山梨大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください。

前身の山梨医科大学附属病院は、一番新しい医科単科大学として始まりました。
山梨の地域医療を担いつつ、県内唯一の医育機関として、山梨の将来を担う医師を育成し、この地域の医療の最後の砦として、高度医療を提供しています。地域柄、肝臓病が多いことから、肝臓病のエキスパートが集まっているのも特徴といえます。
2003年に山梨大学と統合し、工学部、生命環境学部、産官学の連携で医療工学を中心とした新しい医療開発も進めています。

山梨大学医学部附属病院の初期研修の特徴を教えてください。

山梨県唯一の医育機関として、県全体で医師を育てていくための中心的役割を担っています。県内の他の4つの臨床研修病院や関連病院を含めた県内全域を、医師を育てるフィールドととらえ、私たちはその協力体制をアライアンスと呼んでいます。できるだけ広く県内の病院とアライアンスを結び、多様な研修を行うことを目指しています。

初期研修のカリキュラムは、1年目は必修科目を中心に、2年目はほぼすべてを自由選択期間として、自分の志望やキャリアプランにあわせて自由に選択できます。これまでの研修医が選択したカリキュラムは、大きく3つに分けられます。

1つ目は「診療科探索型」で、初期研修2年間を掛けて、マイナー科目を中心に自分に合った専門領域をゆっくり考えたい人。2年目は、1か月単位で、学内外の複数の診療科を回ります。


2つ目は「専門医ストレート型」で、すでに目指すスペシャリティが決まっている人。2年目は、県内の他の医療機関を含め、専門医取得に必要な症例の経験できるところを中心に回ります。


3つ目は「救急医療、総合診療型」で、専門領域を決めず、初療能力や総合診療など、医師としての基盤をしっかりと身に付けたい人。県内外の他の医療機関を含め、救急・プライマリケアの症例数が多いところを回ります。


2年目のカリキュラムは、1年目の11月に各自の希望を提出し、2月末までに、研修医長を中心として研修医の間で調整します。3月に採用予定者、各診療科と最終的な調整をして決定しますが、必要に応じて、研修開始2か月前までに届け出れば、年度の途中でカリキュラムを変更することも可能です。1年目に専門が決まっていなかった人も、2年目の後半には決まりますので、進路に応じてカリキュラムを変更する人もいます。


平成16年に臨床研修制度が始まりましたが、年々、マッチング者が減ってしまいました。そこで、研修制度に対しての取り組みが不充分であったという反省から、あらたに臨床教育センターを立ち上げ、様々な改革に着手しました。その中で浮かびあがってきた「自由度」というキーワードをもとに研修内容の見直しを進めました。


本来、大学病院の担っている役割を考えれば、大学は初期研修より専門医研修にとってより優れた環境にあり、地域の他の病院とアライアンスを組むことで、大学に所属しながら、総合診療、在宅、家庭医療といった、大学ではなかなかできない研修も行えるようにしています。


もちろん、最初から目的があって、ある分野に集中して取り組みたいのであれば、市中病院に籍をおくのもいいでしょうが、大学に籍を置くことで、「循環器は専門医のいるところで研修したい」「外傷救急の症例の多い病院で研修したい」「プライマケア、地域医療も勉強したい」といった多様なニーズに対応することができます。


山梨県では県全体で若手医師を育成することを目指しており、地域医療支援センターがそのコントロール機能を担っています。山梨では県と大学に地域医療支援センターの拠点が置かれていますが、医師会、行政、病院協会等、県内の医療関係者、組織すべてが同じ立場で目的達成のため協力しています。

研修医の受け入れ態勢や研修中のサポート体制で工夫されていることはございますか。

広くアライアンスを形成している分、その教育の質を担保する事が重要で、年に2回臨床研修管理委員会を開催し、研修のコンセプトを確認するとともに、臨床研修の到達目標のチェックシート、研修の評価、レポートの形式・評価等、院内と共通の研修ツールを利用できるよう情報交換を行っております。

研修医のメンタル面のサポートについては、平成23年度の当初からメンター制度を採用して、原則研修医1人に対して1人のメンターがつきサポートを行っています。また、ローテーションごとに、研修の始まる前、研修の終わった後に「メンタルチェック」を行い、結果は保健管理センターの精神科医が解析し、異変があればすぐにインタビュー等の介入を行っています。


メンタルチェックを導入する前は、異変が顕著化してからの対応でしたが、客観的評価を行うことで可視化され、明らかな症状が出てしまう前に、気になる兆候があればその時点で介入できるようになりました。取り組みを始めて明らかになったことですが、1年目の研修医は半数強が大なり小なり強いストレスを感じていて、それが2年目になると3割ほどに低下するものの、遷延させると重篤化する傾向があるという事でした。従って、早期の介入とストレスの軽減が重要であると考えています。


データを分析した結果、例えば、ある診療科に行くとメンタルトラブルが頻発するという傾向が分かれば、指導医にフィードバックすることもできます。メンタルトラブルの原因は、研修医本人にある場合も指導者にある場合もありますが、指導者にあることが分かれば、指導の仕方に踏み込んで改善します。厚労省のデータでは、臨床研修の中断、休止の原因のほとんどがメンタルトラブルだとされています。その他にも、改善できる点はきちんと改善し、よりよい研修ができるよう環境を整えています。

研修センター長として大切にされていることはなんでしょうか。

研修医それぞれの「主体性」を重んじています。


研修医は学生ではなく、一人の医師としての責任があります。やらされてやる、言われたからやるのではなく、責任を持って判断し、将来チームをまとめていく存在となる必要があります。そういった、技術や知識以外で身に付けなければならない、医師の担うべき役割を学んでほしいと思います。


まじめな研修医に多いのですが、言われたことを素直にしているようでも、それで満足しているかというと実はそうではないことがあります。無意識であっても、自分のやりたいことと実際との間に乖離があれば、ストレスになります。それを認識して伝えられればいいのですが、自分で抱え込んでしまうと、結局、あきらめて言われたことだけするようになってしまいます。そこで必要なのが、自分たちが責任を持ち、「主体性」を意識することです。


一例として、毎週金曜日の朝、Morning Conferenceという研修医の勉強会があるのですが、今年からは運営をすべて研修医に任せています。各学年に2名ずついる研修医長を中心として、自分たちでテーマを決めて、それに合った講師の先生に依頼してもらうようにしています。


また、研修医長には、臨床教育センターの運営委員会にも参加してもらっています。上で決めてしまうのではなく、当事者である研修医の意見も重視しています。

研修医に「これだけは言いたい」ということは。

外科医として特にお伝えしたいのは、一つの手技に関しても、できるだけ多くの人の手技を見なさい、同じ病気の勉強をするにしても、複数の施設、複数のDr.のもとで学んで引き出しを増やしなさい、ということです。同じ手術でも、教科書的には同じでも、人によって違う部分があります。そこにその人なりのコツや工夫があります。


実臨床では、ブラックジャックやTVにでてくる天才外科医のような神の手を持つDr.はいりませんし、昔のように我流が通じる時代ではありません。様々なガイドラインがあり、基本的な診療はある程度決まっていて、そこから大きく逸脱したことはできません。それでも、基本的なところに加えて個々人が工夫できるところ(引き出し)はたくさんありますし、それは実際に一緒に仕事をしてみないと分かりません。その引き出しをどれだけたくさん持っているかということが、医師としての総合的な技術力になると考えています。


同じ手術であっても、患者さんによって病態は異なりますし、注意すべき点も変わってきます。それに対して臨機応変に対応できるのが、いいスキルを持っている、ということです。考えてできることではありませんし、いろんな現場でどういった治療をしているか、どういったトラブルシューティングをしているかを体験していないと、咄嗟には出てきません。ですから、できるだけ多くの人に師事しなさい、引き出しを増やしなさい、と言いたいですね。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生へメッセージをお願いします。

これから医師になる皆さんは、新専門医制度や、人口減少社会における医療ニーズの変化など、先行き不明瞭な時代に、不安を抱いているかもしれません。しかし、求められる医療の形態は変化していっても、医療の需要が飽和するということはないと思います。現に、医師数は充分ではありませんし、医師が増えれば増えた分だけ、よりきめ細やかな医療の提供が求められるようになります。医療がすべての人にとって必要なものである限り、自分たち医師は必要な人材として求められているのですから、自信を持って医療の道に進んでほしいです。

当大学のプログラムについていえば、地域唯一の医育機関として、地域のアライアンスを生かして、地域全体で研修医を育成しています。また、卒前教育、初期研修、後期研修、生涯教育、それぞれは独立したものではなく、シームレスに連動しています。どの段階からであっても、大学に来てもらえれば、医師としてのキャリアを築いていける環境を提供しています。

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