1. ネパールの医療が今変わる!米国非営利団体「Field Ready」のチャレンジ

海外医療トピックス

2017.06.27

ネパールの医療が今変わる!
米国非営利団体「Field Ready」のチャレンジ

ライフラインや医療が未発達のネパールでは、マラリアや感染性胃腸炎を含む感染症やその他の病気、怪我で毎年多くの人々が亡くなっています。そして生活環境や医療設備の整っていない地域で治療を行う医師たちの仕事は、決して楽なものではありません。そんな医師たちの助けとなるべく、3Dモバイルプリンティングの技術を生かした活動をしている団体を紹介します。

Field Readyとは

米国の非営利団体「Field Ready」は、ヘルス・水・公衆衛生の3つの分野で3Dプリンターやレーザーカッターなどの最新テクノロジーを活用しながら、人道的なさまざまな問題の解決を試みています。自分たちの技術を人々に伝授したり、難易度が高い課題の解決のために革新的なアプローチを開拓したりすることで、人々のニーズに素早く低コストで対応しています。

Field Readyは、人道救助(ヒューマニタリアン・リリーフ)、テクニカル・サービス、デザイン、エンジニアリングなどバラエティーに富んだ分野のプロによって設立されました。これらの人々は、発展途上国や災害地域での経験が豊富にあり、さまざまな技術を持っています。そこに米国シリコンバレー発の技術を掛け合わせることで、現地の人々にとって役立つサービスを提供しています。

地震の爪痕残るネパールでの活動

2015年4月に発生した「ネパール地震」は、2017年になった今でも、その爪痕を地域に残しています。道路状況の悪さや資金不足、政府の官僚的形式主義などが要因で、地域によってはピンセットのような初歩的な医療器具すら入手が困難な状況です。また入手に数ヶ月を要するという現実にも悩まされていました。そこで活躍しているのが、ネパールの山中など辺鄙(へんぴ)な場所でもこういったマテリアルを素早く作り出すことができる、モバイル3Dプリンターです。

ネパールの悪環境の中では、耳が感染を起こしているかの確認も容易ではない状況でした。そこでField ReadyのMr. Thapaが製造したのが、3Dプリンターを使って作るプラスチック製のオトスコープ。現地の医療スタッフはこのオトスコープの完成度に満足しているそうです。Mr. Thapaの当初の目的は、地震によってダメージを受けた機械のスペアパーツを作ることでした。しかし現地に出向いた彼は、すぐに3Dプリンターを医療物資の供給プロセス向上にも役立てることができると感じ、プラスチック製の胎児鏡、リストブレイス(手首固定器具)、臍帯(さいたい)クランプといった物資のプリントへと動き出したのです。

Field Readyでは「Design Challenge」という企画も行っています。これはField Readyが挙げた課題に対し、団体外部の人々もデザイン案を出したり問題への解決策を提案したりすることができるものです。世界中の人々の知恵を合わせることで、より多くの人の役に立つ製品やサービスの開発に努めているそうです。

Field Readyのウェブサイトにある「Design Challenge」のページを開くと、デンタルチェアやネブライザーをはじめとしたさまざまな医療アイテムが並んでいます。各写真をクリックするとそのアイテムが抱える課題についての解説や動画を見ることができ、もし解決策やデザイン案があれば提出することができるようになっています。(注:2017年5月現在はアイデア募集中のオープンアイテムはありません)

まとめ

低価格で素早くマテリアルを作り出すことができる3Dプリンターは、すでに医療分野において多彩な活躍が注目されているものです。今回ご紹介したネパールのように、医療設備未発達地域や震災地域、または戦争による被害を受けている地域などでの活用にも、ますます期待がかかります。3Dプリンターで生み出された物がどういった場所で使われているかといった情報にも、ぜひ注目していきましょう。

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