1. 喘息を過剰診断するケースが多すぎると話題に カナダの調査結果「3人に1人が誤診」

海外医療トピックス

2017.06.16

喘息を過剰診断するケースが多すぎると話題に
カナダの調査結果「3人に1人が誤診」

喘息(ぜんそく)患者にとって、冬は服や毛布など発作の引き金となるほこりの多い季節です。早くその脅威から解放されたいと、春の到来を待ち遠しく思っている人もいることでしょう。しかし、そんな患者さんたち全員が本当に喘息を持っているとは限りません。オタワ大学の新しい研究によると、なんと既存の患者さんのうち33%以上が過剰診断であったことが判明したようです。

喘息患者の3人に1人が過剰診断という結果に

今回カナダのオタワ大学が米国医師会雑誌に発表した研究では、既存の喘息患者に詳しい呼吸検査をおこない肺専門医と相談した結果、33%以上が喘息ではなかったとしています。被験者となったのは、いずれも過去5年間に医師から喘息と診断された患者さんで、カナダの10都市から無作為に選択された613人です。

喘息ではないと判明した被験者のうち80%が喘息の治療薬を服用しており、毎日服用していた人も35%いました。診断された当時に喘息であった患者さんが回復した可能性もあるため、厳密には誤診の割合を特定することはできません。しかし、少なくとも、研究時点で喘息ではない多くの被験者が喘息患者として薬を飲み続けていたことは確かです。

また、今回の研究によって、喘息の疑いがある患者さんに対して医師が肺機能検査をおこなわずに診断しているケースが多々あることも判明しました。検査は医療ガイドライン上は必要とされていますが、被験者のうち530人の診療録を調べた結果、49%の患者さんが診断前に検査を受けていなかったとのことです。

被験者の症状をモニタリングし喘息の誤診を確認

再診の結果、アレルギーや胸やけなど、喘息に罹患(りかん)していないことが判明したほとんどの患者さんの状態は軽く、まったく問題のない人も28%いたことがわかりました。また、逆に肺高血圧症や心臓病などの疾病にかかっているのに喘息と誤診されていた患者さんも2%いたそうです。

研究者の話によると、喘息ではないと告げた患者さんの多くは驚いた様子を見せず、中には自分なりに慢性的な鼻づまりを症状として認識していた人や、喘息ではなくより深刻な病気にかかっているのではと懸念している人もいたといいます。

さらに、研究チームが被験者の症状をモニタリングした結果、喘息ではない患者さんのうち90%以上が喘息薬の服用をやめ、1年間の経過観察中も問題なく過ごせていました。不要な薬剤投与の停止は、患者さんにとっても金銭的な負担や副作用の危険がなくなるなど、とても有意義なことです。

喘息の誤診を少しでも減らしていくために

喘息の過剰診断については2008年にも同研究者によって指摘されており、今回はその内容をさらに深めた研究でしたが、やはりまだ多くの患者さんが誤診を受けている結果となりました。2010年のカナダ統計調査によると、12歳以上のカナダ人のうち喘息と診断された人は8.5%も存在し、誤診が多くの人にとって身近な問題であることがわかります。

これについて研究者は、医師だけでなく患者さんも喘息の診断について知識を高めるべきであるという見解を述べています。呼吸に問題が見られる患者さんには、喘息や慢性閉塞性肺疾患の有無を調べるために呼吸機能検査(スパイロメトリー)が必要です。また、処方されている薬を患者さんが自己判断で服用停止するのは危険であるため、喘息の症状がなくなったと感じた場合も同様に呼吸機能検査を受けるべきだとしています。

大きな手術の前や深刻な病態でない限り、セカンドオピニオンを取る人はなかなかいません。そのため、1人の医師の下す診断が、多くの患者さんにとって唯一の診断結果となります。誤診に注意することはもちろん、医療費を増大させている1つの原因として過剰診断がしばしば問題視される現代医療においては、今後さらに慎重な診断が求められそうです。

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