1. 脳卒中後のコミュニケーション力を回復するために 実際の患者さんの言葉から探る有用なヒント

海外医療トピックス

2017.06.12

脳卒中後のコミュニケーション力を回復するために
実際の患者さんの言葉から探る有用なヒント

冬場に脳卒中で運ばれてきた患者さんが徐々に退院しはじめる春先。脳卒中の患者さんから、コミュニケーション力の回復について質問や相談を受ける機会が増える季節です。

英国脳卒中協会によると、脳卒中後のコミュニケーションの問題は3人に1人が経験するとのことで、海外の医療系情報サイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」が取り上げた回復のヒントが話題となっています。

脳卒中後のコミュニケーション力低下と回復の必要性

発症した場所や重症度によって、脳卒中の患者さんが経験する後遺症の内容は異なります。突然現れるものもあれば、徐々に出てくるものもあり、主に影響を受ける部分は以下のとおりです。

  • 運動能力
  • (痛みに対する反応を含めた)感覚
  • 言語
  • 思考と記憶
  • 感情

また、顔面やのどなどの筋肉が麻痺した場合は表情を作ることもままならず、発声すら困難となるケースがあります。そのようにコミュニケーション力が大きく低下すると、たとえ後遺症が知性にはまったく影響のない患者さんでも、周囲からは「別人になった」かのように扱われ、精神的な苦痛を強いられることも珍しくありません。

そのため、退院してからも、低下してしまった生活の質を少しでも上げるという長期的なリハビリに取り組む努力が必要です。

コミュニケーション力回復を目指す患者さんの要望

コミュニケーション力のリハビリに取り組むうえでは、後遺症を抱えた患者さん本人でなければわからない問題がたくさんあります。そこで、メディカル・ニュース・トゥデイが目下リハビリ中の患者さんにインタビューをおこない、コミュニケーションにおける彼らの要望をまとめています。

  • あれこれと話題をふらず、トピックは1つに絞って話してほしい
  • テレビや音楽など、話し相手の声以外の音を流さないでほしい
  • こちらの間違いをすぐ訂正したり、言わんとしていることを先に言ったりせず、こちらのペースで伝えるチャンスがほしい
  • 自動車の運転と会話など、普通の人には容易なマルチタスクでも難しいということを理解してほしい
  • 後遺症で理解力が落ちていても、知性を失ったわけではないということを理解してほしい
  • 子ども相手のような話し方をしないでほしい

患者さんのなかには、家族を含めリハビリに付き合ってくれる相手に要望を出すことに抵抗を感じる人もいます。こうしたヒントを参考に周囲が気を配り、患者さんには少しでも快適にリハビリに取り組んでもらいたいものです。

患者さんの回復を支援するために周囲ができること

今回のインタビューでは、患者さんからの要望だけでなく、ご家族や周りの方へのアドバイスに有用なポイントも数多く登場しました。ここでは、その一部をご紹介します。

  • 話しているときは患者さんを見る
  • なるべく1対1で話す
  • ゆっくりはっきりと話す
  • 普通の声で話す
  • 話すときは1文を短くする
  • 患者さんがコミュニケーション力の低下に苦悩していることについて理解を示す
  • 患者さんとのコミュニケーションがより円滑となる場合は筆談を交える
  • 脳卒中前に患者さんがしていた仕事や興味のあったことに関連付けたことも話す
  • 患者さんにあまり無理をさせない(プレッシャーをかけない)
  • 運転中には話しかけない
  • 不平を言わない
  • どんなに患者さんが努力しても回復には時間がかかって当然であると理解する
  • 回復過程には浮き沈みがあることを理解する

何が必要で、何が不要か、周囲が最初からすべてを正しく把握できているケースはなかなかありません。リハビリを支援する人には、基礎的な確認はもちろん、良かれと思ってやることが逆にリハビリの妨げや患者さんのストレスにつながるケースもあるのだと、理解してもらう必要がありそうです。

危険にさらされた命を救うだけでなく、その後も続いてゆく彼らの生活の質を高めるためにも、今回の事例の中に役立ちそうなものがあれば助言に加えてみてもよいかもしれません。

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