1. 戦争から子どもたちの健康を守るためにできること イエメンの現状

海外医療トピックス

2017.05.22

戦争から子どもたちの健康を守るためにできること
イエメンの現状

世界各地で続いている内戦……そうした戦争が原因で体に傷を負った負傷者のケアや、精神的にダメージを受けてしまった人々のメンタルケアは、社会全体の大きな問題となっています。しかし内戦が起きている国々では、そのほかに、人々の生活状況や衛生状況の悪化や食物不足といった問題も生じています。こういった状況のなか、我々大人が見逃してはいけないのは、こうした環境が子どもたちの日常生活にどのような影響を与えているのかということです。

子どもたちの多くが栄養不良状態に…

2017年1月にユニセフが行った発表によると、イエメンで続いている内戦や財政危機の影響により、過去10年間で培ってきた「人々の公衆衛生上の利益」が喪失してしまったといいます。それにより、多くの子どもたちが「栄養不良」に陥り、2016年だけで推定6万3千人の子どもたちが命を落としています。

イエメンでは深刻な栄養不良に陥っている人口が330万にも上っており、そのうち220万人は子どもたちです。そういった子どもたちのうち50万人は5歳未満の小児で、重度の栄養失調状態で日々の生活を送ることを余儀無くされています。2014年から2016年の間に栄養不良の子どもたちの数は3倍にも増加しています。

このような状況下で暮らしている子どもたちは、当然ながらさまざまな病気にかかりやすくなります。マラリアや下痢、呼吸器感染など、普通の健康状態であれば予防しやすい病気でも、栄養状態が悪く健康状態や体の成長状態に問題があるためにかかりやすくなってしまうだけでなく、それが死亡という悲しい結果につながってしまうのです。

現状把握と改善策の模索

現在イエメン国内にある「麦」の在庫は、あと3ヶ月で底をついてしまう……国際連合のJamie McGoldrick氏はそう警告します。もしこのまま何の対処も行われなければ、現状はさらなる悪化をたどることになってしまうでしょう。

ユニセフのモバイルチームでは、イエメン内部の現状をより詳しく把握するための調査の一環として、2017年度に約32万3千人の重度の栄養不良状態にある子どもの健康状態をスクリーニングする予定です。これは2016年度の対象人数約23万7千人と比較し、大きな増加です。このように、より多くの子どもたちを対象にスクリーニングを行うことでより正確に現状を把握し、何らかの対策や改善策へとつなげていくことが必要でしょう。

募金活動で人々の生活の質向上サポート

上記で挙げたスクリーニング以外にも、ユニセフはパートナーと協賛して、イエメンでさまざまな活動を行うことを予定しています。2017年度の目標として挙げられているのは「約450万人の5歳以未満の小児に微量栄養素治療介入を実施」「約530万人の5歳未満の小児へのポリオワクチン提供」「約400万人に対する安全な水の供給」などです。こういった保健衛生に関する活動のほかにも、仮設の学習スペースを設けたり必要な教材を購入したりする資金や、人々が暴力に触れることで引き起こされる長期にわたる精神的ダメージの予防を行う予定です。

ユニセフのウェブサイトによると、現在こういった数々の活動目標を実現するために募金を募っており、2017年度の目標金額は約2億3,650万ドルとなっています。

まとめ

戦争が人々の生活や地球の環境に与える影響は計り知れないものがあります。そして幼い子どもたちが日々の食事や健康の心配をしながら毎日の生活をしなければならないという現状は非常に悲しいことです。こういった現状があるということを把握すると同時に、自分たちには一体どんなことができるかを考えていきたいものです。

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