1. 脳の活性には「サウナ」が良い!フィンランド発の耳より情報

海外医療トピックス

2017.05.12

脳の活性には「サウナ」が良い!
フィンランド発の耳より情報

認知症やアルツハイマーにかかっている患者さんは世界中におり、その数は今後も増えると考えられています。脳の仕組みというのはまだまだ解明されていない部分もあり、多くの医師や科学者がその解明に日々勤しんでいます。「脳を健康に保つ」ための食べ物や生活習慣といったトピックは見かけることの多いものですが、今回は少し目線を変え、サウナと脳の関係を調査した事例を紹介しましょう。

平均約20年と長期に渡ってデータ採取

Alzheimer's Disease International(国際アルツハイマー病協会)の発表によると、現在世界で認知症にかかっている人口は4,680万人。このまま予防法や治療法が発見されなければ、その数は2050年には1億3,150万人まで増えると予想されています。

今回ご紹介するのは、東フィンランド大学で実施された「サウナの使用とアルツハイマー予防」に関する調査とその結果です。「サウナ」と「心臓血管の健康状態」の関係を示す調査は過去にも行われていましたが、サウナは脳の記憶障害に対しても何らかのメリットをもたらすのではないかということを調べるのが、当調査の目的でした。

調査の対象となったのは、42~60歳の外見的に健康な男性、2,315人。この被験者たちをサウナの使用頻度により、3つのグループに分けて調査を行いました。ベースラインのデータが採取されたのは1984年から1989年の間で、当試験は調査期間約20年(18.1年~22.6年)と、長期間にわたりデータ採取が行われたのが特徴です。調査期間中に認知症と診断されたのは204症例。アルツハイマーと診断されたのは123症例でした。解析結果は調査対象者の「年齢」「アルコール摂取量」「BMI」「収縮期血圧」「喫煙状況」「心筋梗塞の既往歴」「2型糖尿病の有無」を含む、多数のパラメーターを考慮したうえで行われました。

サウナの使用頻度と記憶障害発生率の関係

調査の結果によると、週に1回しかサウナに行かない男性のデータと比較した場合:

  • 週に2~3回サウナに行く男性:認知症の発症率=78%(95% CI*: 0.57–1.06)、アルツハイマーの発症率=80%(95% CI*: 0.53–1.20)
  • 週に4~7回サウナに行く男性:認知症の発生率=34%(95% CI*: 0.16–0.71)、アルツハイマーの発症率=35%(95% CI*: 0.14–0.90)
  • *CI = 信頼区間

となりました。
4~7回サウナに通った被験者のデータを見ると、週に1回しかサウナに行かない男性と比較して、認知症にかかる可能性が66%低く、アルツハイマーにかかる可能性が65%低いという結果が出ています。

心拍数のアップが脳に良い影響を与える?

この研究について、論文の筆者は「今回の男性被験者対象の調査では、中程度の頻度~高頻度でサウナに入った場合、認知症やアルツハイマーの発症リスクが低かったという結果が出たが、サウナの使用と記憶に関する病気の関係についてのメカニズムを解明するためには、さらなる調査が必要である」と述べています。

研究者たちは、サウナに入ることで心拍数が上がり、運動をするのと同じようなメリットが心臓にもたらされるように、脳の記憶の機能にもメリットをもたらすのではないかと考えているようです。また、「サウナで人々はリラックスし幸せな気分になることができる」というのも、脳のはたらきに良いのではないかとも述べています。

今回の調査は特定の年齢の男性のみを対象に実施されました。真の意味で「サウナと脳の関係」を解明するためには、女性に関する調査を行ったり、サウナを全く使用しない人に関する調査を行ったりする必要もあるため、今後どのような調査が行われてどのような結果が出てくるのかが興味深いトピックです。

まとめ

フィンランド人の日常生活にサウナが欠かせないように、日本にも「お風呂」という文化があります。しかし一般家庭にもシャワーがあるのが当たり前となった今、「お風呂よりシャワー」という人も増えているのではないでしょうか。もし体を温め、リラックスすることが脳の活性につながるということが証拠付けられれば、お風呂の良さを人々に再確認してもらう良いきっかけになりそうです。

海外医療トピックス バックナンバー

この記事を見た方はこんなコンテンツも見ています