1. 呼吸で17種類の病気を診断!AI搭載のブレスディテクター開発情報

海外医療トピックス

2017.04.26

呼吸で17種類の病気を診断!
AI搭載のブレスディテクター開発情報

体内で病原菌が発生していると、体臭や口臭に変化が起こるケースがあることは知られています。この現象を利用して、実際に吐き出された息の臭いで何の病気にかかっているかを診察できたらいいな……そんな理想をかなえてくれるブレスディテクター(呼気測定器)の研究に取り組んでいる科学者たちがいます。今回はその研究内容を紹介していきましょう。

人工知能が特定の病気を学ぶシステム

今回の研究に取り組んでいるのは、American Chemical Society(米国化学学会)と呼ばれる、化学に関する研究を支援する学術専門の団体です。テクニオン・イスラエル工科大学のHossam Haick 教授を含む、イスラエル、フランス、アメリカ、ラトビア、中国といった国々の科学者が集結。ナノベースの知能技術を使うことで、人々の口から吐き出される息から、その人が持つ病気の察知と診断を行うブレスディテクター「Na-Nose」の開発に挑んでいます。

当研究の対象となった被験者の数は1,404人。被験者は「健康な人」と、ブレスディテクターが察知できる対象とされた17種の病気のいずれかにかかっている人でした。実験初期段階では、まず被験者の情報を使って、ブレスディテクターが診断を行うために必要な情報を採取しながら、人工知能(AI)のトレーニングを実施しました。情報を採取して人工知能をより賢くすることで、正確に病気を察知したり、診断したりできるようになるという仕組みになっています。

それぞれの病気が放つ「臭い」

今回の研究では「質量分析」と呼ばれる解析法が使用されました。Na-Noseでは被験者の口から吐き出された息中の揮発性分子をディテクター内のセンサーが解析し、人工知能がそのデータを基に、その人がどのような病気にかかっているかの判断を行います。

今回の研究で診断可能であった17種類の病気には、複数の種類のがん、パーキンソン病、クローン病、子癇前症(しかんぜんしょう)、肺高血圧などが含まれていました。これらの病気はそれぞれ特有の臭いを放つ(13の揮発性有機化合物の構成が病気によって異なり、そのことにより臭いに違いが出る)ことが分かっており、当ディテクターはその臭いの違いをかぎわけることで、その人がどの病気にかかっているかを察知するわけです。

複数の病気も一度に探知可能

もちろん患者さんによっては、複数の病気を併発しているケースもあります。今回の研究結果では各病気が生み出すBreathprint(息に含まれる物質の構成)は異なることが判明しているため、Na-Noseでは複数の病気を同時に察知することも可能だそうです。実際、当ブレスディテクターを使用し病気の診察を行ったところ、その正確性は86%と高いものでした。 Haick教授は研究に関する情報を解説する動画の中で「AI搭載のNa-Noseは(さまざまな情報をインプットすることで)トレーニングを行うことができるし、これを使えば、人がいま病気かどうかだけでなく、将来病気になる可能性が高いかどうかを知ることができるようになる」と述べています。

もしこれが実現すれば、ガンやその他の病気を早期段階で発見できるようになり、人々の生存率を上げることができると考えているそうです。例えば生存率が10%の肺ガンも早期発見することによって、その生存率を最高70%まで引き上げることが可能になると考えられています。Na-Noseの研究が進んでより多くの病気が早期発見できるようになれば、これまで生存率の低かった病気での生存率向上が見込めるようになるかもしれません。

まとめ

「病気の患者さんの口臭を確認する」というのは、大昔の時代から医師が使っている診察方法のひとつです。人が昔から持っている知識と、新たなテクノロジーが融合することによって、医療が進化していく……これからの医療界は、このようなケースもどんどん増えて行くのではないでしょうか。非常に楽しみです。

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