1. AI(人工知能)がお答え!イギリスの「NHS111」アプリの挑戦

海外医療トピックス

2017.03.17

AI(人工知能)がお答え!
イギリスの「NHS111」アプリの挑戦

ちょっとした症状が気になっている……これは医師にかかるべきなのかな……そんな疑問を感じたことはだれしもあるのではないでしょうか。英国ロンドンには、こういった疑問を持ったときに電話をかけることができる「NHS111」という特別な電話番号があります。とても便利な当サービスですが、電話に答えるオペレーターの人手不足という問題が浮き上がってきました。その対策として現在試験的に導入されているのが、今回ご紹介するAI搭載アプリです。

国民保険で無料サービス提供

健康に関するアドバイスや情報を、電話を通じて提供してくれるNHS111。救急車を呼ぶ必要がある……生命に関わる症状を発している……などの緊急を要する連絡とは別口で設けられている電話番号です。NHS111を運営しているNHSとは「National Health Service」の略語で、英国の国営保健サービスを指します。運営費や医療費は国がまかなっており、国民であれば基本的に無料でサービスを受けることが可能です。

NHS111は365日24時間体制でサービスを提供しており、通常の電話での対応以外にも、ビデオ通話を使った手話でのサービスがあったり、会話の流れで緊急を要すると判断された場合に救急車を要請してくれるサービスがあったりと、きめ細やかなケアを実施しています。

NHS111の抱える問題

このように国民にとって役に立つサービスですが、「Care Quality Commission(英国の医療機関等を評価指導する組織)」が2016年に行った調査により、実は問題を抱えていることが発覚しました。調査結果に基づくと、当サービスは人々の健康を守るためのサービスとしては不十分だということです。

その要因は人手不足であり、電話をかけた人の待ち時間が長すぎたり、適切なアドバイスが返ってくるまでに時間がかかりすぎていたりするなどの問題が浮き上がりました。それに伴い、NHS111サービスで働いている職員の労働環境も低下しており、「長時間労働」「離職率が高い」「職員が病気にかかる率が高い」といった問題も挙げられています。

AI搭載アプリでより正確な情報を素早く提供

こういった問題への対策として2017年1月より6ヶ月に渡り、一部の地域で試験的導入が行われているのが、NHS111の代わりとなるAI搭載アプリです。当アプリを開発したのはBabylonというスタートアップで、GP(General Physician:一般医)とのビデオ通話といった機能やAI(人工知能)を駆使したデジタルヘルスケアのアプリを開発している企業です。

試用期間に当アプリへアクセスすることができるのは約120万人。これらの人々はNHS111サービスに電話をかけてスタッフと会話をする代わりに、アプリへ気になる症状を入力します。その内容によってAIが「症状はどの程度、重度なのか」「症状の原因に思い当たることはないか」など、より詳しい情報を引き出すための質問をその人に返し、患者さんはそれに回答……このプロセスを繰り返すことで、患者さんに適したアドバイスができる仕組みとなっています。

Babylonは当アプリを使うことで、人々が医師の予約を不必要にとるケースを減らしたり、病院へ行ったり、医者に会ったりといった時間のかかる手続きなしに、患者さんが直接薬にたどり着けるようになるのではないかと考えています。また、現在NHS111電話サービスを利用している人々の一部がアプリへ移行することにより、電話サービスの質の向上にも期待がかかっています。

まとめ

現代の社会はインターネットで多くの情報を検索することが可能となり、とても便利になりました。しかし、人々は気になる症状があるとネットサーチを行い、たどり着いた情報が正しくなくてもそれを信じてしまう……といったケースに陥ることも少なくありません。今回のアプリのような信頼できる医療サービスを提供することは、人々の健康を維持し、医療機関への負担を減らしていくための大切なステップとなっていきそうです。

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