1. 肥満を解消するカギを桑の実から発見!「ルチン」が褐色脂肪組織を活性化

海外医療トピックス

2017.02.28

肥満を解消するカギを桑の実から発見!
「ルチン」が褐色脂肪組織を活性化

連日の忘年会や新年会で、どうしても太りがちになる年末年始。新陳代謝を高める褐色脂肪組織(BAT)を活性化させるスイッチがあるなら、いっそ押してしまいたいと考える人もいることでしょう。そんななか、桑の実(マルベリー)から抽出した天然化合物に褐色脂肪組織を活性化させる効果が認められ、話題となっています。

桑の実から抽出した「ルチン」に認められたダイエット効果

北京の中国科学院が米国実験生物学会連合ジャーナル(FASEBジャーナル)に発表した今回の研究は、桑の実から抽出した天然化合物「ルチン」についてです。この物質を用いてマウス実験をおこなったところ、褐色脂肪組織の働きに変化があったといいます。
褐色脂肪組織といえば、近年の研究でようやくその重要性が明らかになってきた注目の組織です。冬眠する動物とは異なり、人間の体内には少ないものの、褐色脂肪組織は代謝に深く関係しています。
今回の研究では、ルチンが褐色脂肪組織を活性化し代謝を上げ、減量を促すという結果が出たそうです。また同時に、マウスの皮下に褐色脂肪組織のようなベージュ色の脂肪細胞の生成も誘導していることが判明しました。
代謝の改善は、肥満や糖尿病、またそれらの合併症などにおいて非常に重要なこともあり、この研究が進めば有効な治療法の発見につながるのではと広く注目されています。

肥満マウスの新陳代謝が上がり脂肪が減少

今回の実験において、研究者は「遺伝的に肥満となったマウス」と「食生活コントロールによって肥満となったマウス」を用いました。いずれにも通常のエサを与え、飲料水にルチンを1mg/ml添加したとのことです。
その結果、両方のマウスにおいて以下のような著しい変化が見られました。

  • 脂肪症の低減
  • エネルギー消費の増加
  • グルコース恒常性の改善

減量はだれにとってもしばしば大きく立ちはだかる壁であり、マウス実験とはいえ、この結果を有効な手段の発見に大きく前進したと心強く感じる人はたくさんいることでしょう。医療業界においては、患者さんに生活習慣の改善を促すことはときとして非常に困難であり、ご本人の努力だけではなかなか改善されない問題もあるためなおさらです。
また、人間にはそもそも褐色脂肪組織が少ないため、皮下脂肪組織に褐色のような(ベージュ色)脂肪細胞の形成を促すというルチンの効果についてもさらなる研究が期待されます。

ルチンが褐色脂肪組織を活性化させるメカニズム

代謝を上げることで減量を促してくれる褐色脂肪組織は、寒さによって活性化します。それに対し、ルチンも特殊な働きをすることがわかりました。その具体的なメカニズムの簡易な解説は以下の通りです。
ルチンはまず、「長寿遺伝子」や「抗老化遺伝子」の名でも知られるサーチュイン遺伝子の一種「SIRT1」を直接結び付け安定させます。それにより、エネルギー代謝とミトコンドリアのバイオジェネシスに関与する遺伝子の発現を促す「PGC1α」タンパク質に働きかけることになるのです。そして、最終的には、褐色脂肪組織内のミトコンドリアの数が増え、白色脂肪組織における熱産生に関与する脱共役タンパク質「UCP1」の働きがより活発になります。
褐色脂肪組織が寒さで活性化することから、研究者はこのルチンの機能を「コールドミメティック(冷模倣)」と称しているようです。環境に関わらず、摂取すればいつでも褐色脂肪組織が活性化できるというのもルチンの強みと言えるでしょう。
今回の発見を礎(いしずえ)に安全で効果の高いBAT活性剤の研究が進めば、食事療法や運動療法とともに、太り過ぎを改善するための補助薬として役立てられるかもしれません。

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