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海外医療トピックス

2017.02.10

皮膚にペタリと貼って食物アレルギーを改善?
ピーナツアレルギー用パッチの最新研究

近年子供たちの間で増加傾向にあり、しばしば深刻な症状が出ることで知られる食物アレルギー。アレルギーを持つ小児の保護者は、そのアレルゲン回避だけでなく、治療法についても関心を示す人が多いようです。そんななか、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によるピーナツアレルギー改善法についての研究が注目されています。今回は、手軽なパッチを使ったその免疫療法の研究をご紹介しましょう。

ピーナツアレルギー改善用パッチの効果は良好

今回、アレルギー臨床免疫学会誌においてピーナツアレルギー改善に対する有効性が発表されたパッチは、「皮膚に貼り付けることで皮膚を通してピーナツ(落花生)のタンパク質を少量ずつ与える」というものです。開始から1年が経過し現在も進行中の臨床試験は、米国立衛生研究所(NIH)内の米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の資金援助により、マウントサイナイ・アイカーン医科大学のヒュー・サンプソン博士率いる研究チームがおこなっています。

臨床試験はピーナツアレルギーを持つ若者や小児を対象としており、1年間におよぶ試験結果では、幼い子供ほどより高い効果が見られました。皮膚を介しておこなうこの免疫療法はEPIT(epicutaneous immunotherap)とも呼ばれ、安全性や忍容性が高く、ほぼすべての被験者が管理下において毎日パッチを使用したとのことです。

食物アレルギー発症の予防についての研究と可能性

海外の医療系ニュースサイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」によると、ピーナツアレルギーの有病率は増加しており、米国をはじめとした数カ国では過去10~15年で3倍にも膨れ上がっているといいます。

食物アレルギーの対策として、一時期は「食物アレルギーを持っている小児はその食物を避けるべきである」という考えが主流でした。しかし、米国では、600人以上の子供たちを研究対象とした2015年のランダム化比較試験の結果などを受け、指導方針が変化しています。ハイリスクの幼児において、早期にピーナツを摂取させることがピーナツアレルギーの予防につながるというのです。

こうした背景から、米国では現在、子供たちがアレルギーを発症するリスクを軽減する方法について、「小児のうちから慎重にアレルゲンを使って免疫を鍛える」という方向性で研究が進んでいます。

4~25歳を被験者としたランダム化比較試験の結果

今回の研究では、臨床試験への参加を志願した4~25歳のピーナツアレルギー患者合計74人を、5カ所の研究施設で以下のいずれかに割り当てました。

  • 高用量パッチ(ピーナツのタンパク質250マイクログラムを投与)
  • 低用量パッチ(ピーナツのタンパク質100マイクログラムを投与)
  • プラセボパッチ(他の群と同じ外見のパッチだが、ピーナツのタンパク質を含まない)

3つの群は、毎日それぞれのパッチを腕か肩甲骨の間に貼り、1年後の食物アレルギー症状を試験開始前の症状と比較することで改善度の評価を受けました。 その結果、参加者たちは試験開始前と比べて少なくとも10倍のピーナツタンパク質を消費する力がついており、治療の成功率はそれぞれ「高用量パッチ群48%」「低用量パッチ群46%」「プラセボパッチ群12%」だったということです。

また、今回の試験で使用したパッチは、他の治験における食物アレルギーの免疫療法と似た免疫応答を誘発し、とりわけ4~11歳の小児の間で大きな治療効果が見られました。その一方で、12歳以上の参加者における効果は著しく低かったことから、このパッチによる免疫療法が幼い子供たちにより有効であることがわかります。

今回の結果を受け、研究チームはさらに長期的な安全性と効果について研究を続けているとのことです。子供たちが食物アレルギーという危険を回避できるよう、このパッチという手軽な免疫療法の一般化を心待ちにしている保護者も多いことでしょう。

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