1. マヌカハニーの抗菌作用研究 バイオフィルムの発生を防ぐ効果発見

海外医療トピックス

2017.01.06

マヌカハニーの抗菌作用研究
バイオフィルムの発生を防ぐ効果発見

2012年に実施された研究で、その抗菌作用が有名となったマヌカハニーですが、実は1980年代よりその抗菌作用に関するさまざまな実験が行われていました。そして、今回ご紹介する英国サウサンプトン大学による新たな研究では、尿道カテーテルによる尿路感染を引き起こす大腸菌やミラビリス変形菌に対し、マヌカハニーがどのような影響を与えるかが調べられました。マヌカハニーはこれらの菌のバイオフィルム形成を防げるのでしょうか?実験の結果をみてみましょう。

マヌカハニー基礎知識

マヌカハニーは、ニュージーランドに生息するマヌカと呼ばれる植物の花から作られるはちみつです。マヌカはニュージーランドの先住民、マオリ族が薬として使用していたことでも知られている植物で、マヌカハニーには食物メチルグリオキサール(MGO)という成分が豊富に含まれています。そして、この成分が強力な抗菌作用をもたらしていると考えられているのです。

微生物関連の研究論文が収録される「Microbiology」と呼ばれる学術誌で、2012年に発表された「Manuka honey inhibits the development of Streptococcus pyogenes biofilms and causes reduced expression of two fibronectin binding proteins」では、マヌカハニーの化膿(かのう)連鎖球菌に対する抗菌作用についての研究報告が行われました。当研究では希釈したマヌカハニーと化膿連鎖球菌をガラス器に入れ、バイオフィルムの形成への影響が調べられました。その結果、化膿連鎖球菌が入った傷口において、マヌカハニーが抗菌効果を発揮する可能性があることがわかりました。

尿路感染症における抗菌作用研究

2016年9月にJournal of Clinical Pathologyにて発表された今回の実験を行ったのは、英国サウサンプトン大学のスタッフです。
実験はマヌカハニーを3.3 %、 6.6 %、 10 %、 13.3 %、16.7 %の濃度に希釈したものを使って行われました。抗菌作用を調べるために使われた菌は、尿路感染症の原因菌となる大腸菌とミラビリス変形菌の2つ。この2つの菌を計96個のプラスチック・ディッシュ内で培養し、そこへ上記濃度に希釈済みのマヌカハニーを加えました。

各ディッシュは密封され、24時間、48時間、72時間のタイムポイントが来るまで培養され、それぞれのバイオフィルム形成についてモニターされました。また別の実験では、培養開始後24時間経過したディッシュにマヌカハニーを加え、その後4時間または24時間観察することで、一度形成されたバイオフィルムの成長にどのような影響を与えるかも調べられました。

形成にも成長にも大きなインパクト

実験開始48時間後の時点で、最も薄い濃度3.3%に希釈されたマヌカハニーで大腸菌やミラビリス変形菌による粘り気が35%減少していました。この結果は、マヌカハニーにはバイオフィルムの形成を防ぐ働きがあるということを示しています。また72時間後には、最も濃い濃度16.7%に希釈されたマヌカハニーで、バクテリアによって発生する粘り気が77%減少。その他の濃度のマヌカハニーでも、粘り気は最低でも70%減少していたそうです。

バイオフィルムの成長に関してみてみると、すべての濃度において4時間経過後の時点で成長の程度が抑えられていました。濃度16.7%では4時間後に成長の程度が38%落ち、24時間後にはその率は46%になりました。10%以上の濃度のマヌカハニーでは、48時間後にはバイオフィルムの成長に対してさらに強い抑制がみられましたが、3.3%と6.6%ではそのような結果はみられませんでした。

まとめ

今回の研究を終え、研究に参加したスタッフは「今回の実験の条件下のように、ラボ内ではマヌカハニーがバイオフィルム形成や成長に影響を与えることがわかったが、実生活における効果を計るためにはさらなる実験が必要だ」と述べています。残念ながら現時点では「マヌカハニーを食生活に取り入れるだけ」で尿路感染の予防にはならないであろうとのことです。今回の研究結果をもとに、新たな予防や治療法へのきっかけにつながっていくことを願いましょう。

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