1. Boston Medical Centerの試み アプリを通じての皮膚科検診

海外医療トピックス

2016.12.02

Boston Medical Centerの試み
アプリを通じての皮膚科検診

「診察を行うにあたり、医師と患者さんは同じ空間にいなければならない……」。そんな当たり前のコンセプトも、テクノロジーの進化により変わりつつあります。物理的に医師の前にいなくても患者さんの診察が行える「テレメディスン」の技術は、医療の行き届かない地域に住む人々や、自由に通院することができない人々に対して、多くのメリットを与えてくれるものです。今回はその1例として、Boston Medical Centerが行っている、アプリを通じた検診サービスを紹介します。

アプリとウェブの両方でサービス提供

今回ご紹介する「BU Dermatology at BUC」と呼ばれるアプリは、患者さんが自分の肌で気になる症状の写真をスマートフォンで撮り、それをアプリ経由で送ると、皮膚科医が診断を行ってくれるというものです。診察の対象となるのは緊急対応を要さない症状のみですが、ニキビ、乾癬(かんせん)、湿疹(しっしん)や酒(しゅ)さを含む、3,000種を超える肌や髪、爪に関する症状の診察が可能となります。

診察にかかる基本費用は79ドル。患者さんは病院を訪れることなく、個々人の症状を診断してもらったり、必要な処方せんを発行してもらったりすることができます。写真をアップロードしてから診断結果が出るまでにかかる期間は3営業日以内と設定されていますが、多くの場合、24時間以内に結果を受け取ることができるそうです。同様のサービスはウェブサイトでも提供されており、患者さんは一度診断を受けた症状に関しては、その後30日間にわたり、カウンセリングを受けることが可能です。

アプリの仕組みは?

当アプリを使った診察はステップも少なく、スマートフォンさえあればいつでも簡単にシステムを使うことができます。基本動作は「アカウント設定」「写真のアップロード」「診察結果の受け取り」の3つのみ。症状を入力する際に、診察が可能な医師の一覧表が写真や住所とともに表示されるので、患者さんは自分でどの医師の診察を受けたいかを選べます。医師の選択が終了したら、次は症状が発生している部分の写真を2枚から9枚アップロードするよう指示されます。1回の診察で相談できる症状は1つのみとなっており、患者さんは写真の下に症状の説明を追加することができます。

このようにして提出された情報をもとに医師が診断を行い、その結果がアプリに送られてきます。患者さんは病名のほか、どのような治療法をとるべきかの指示や、治療に必要な薬の情報を得られます。また、症状によってはバイオプシー生検の採取が必要であったり、実際に病院を訪問する必要があったりもするので、そういった指示を受け取ることもあります。

米国ではテレメディスンは今後ますます成長

米国内でのテレメディスンのニーズは高く、2015年の時点ですでに全50州中、半数を超える29州がテレメディスンを健康保険適応の対象にしています(2016年9月時点では今回紹介したBoston Medical Centerのサービスは適応外)。また、人事系雑誌「Workforce」が2016年1月に掲載した記事によると、大手健康保険会社のAflacやBlue Cross Blue Shield、Anthemなどに所属する会員は、テレメディスンでの診察を受けることができるそうです。

テレメディスン・テクノロジーを提供するAmerican Well社が2015年に行った調査によると、64%の患者さんは「ビデオ通話で医師に診察を受けてもよい」と回答しています。また、Cisco Customer Experience Reportでは、2013年にはわずか35万人だったテレメディスン患者数も、2018年には700万人に成長すると予想されています。

まとめ

診察に要するコストや時間を軽減できるテレメディスンは、病院と患者さんの双方にとってメリットが多いサービスです。テレメディスン・サービスの提供はもちろん、保険への適応や患者さんのユーザビリティーを考えた使いやすいアプリの開発など、アメリカではテレメディスンのさらなる発展に向けて、国全体が一丸となりさまざまな取り組みを始めています。

海外医療トピックス バックナンバー

この記事を見た方はこんなコンテンツも見ています