1. 痛風発作の予防には高血圧用DASH食が有効と判明!ただし有効性と塩分の関係は意外な結果に

海外医療トピックス

2016.11.11

痛風発作の予防には高血圧用DASH食が有効と判明!
ただし有効性と塩分の関係は意外な結果に

働き盛りの男性に発症しやすい痛風。とりわけ、冷え込む季節になると発作に悩まされる患者さんも急増します。医師もその例外ではなく、足の親指の付け根の痛みに突然悩まされるケースもあることでしょう。

そんな「痛風」の予防に、なんと高血圧症の改善を目的とした食事療法が有効であるという研究結果が発表されました。アメリカ科学振興協会 (AAAS)の運営するウエブサイト「EurekAlert!」の情報を中心に、その研究の詳細をご紹介します。

米国では成人男性の5.9%が痛風に

痛風は、高尿酸血症によって引き起こされるリウマチ性疾患のひとつとして知られています。米疾病管理予防センターによると、2007年から2008年には、米国人の成人男性のうち5.9%にあたる610万人が痛風を患っていたとのことです。また、同センターはその発症率について、過去20年間で1.2%増加しているとも報告しています。

痛風の発症原因については、これまで嗜好品(しこうひん)や食生活、高血圧症の有無などさまざまな危険因子が想定されていますが、正確なメカニズムは解明されていません。そこでジョンズ・ホプキンス大学は、食生活が痛風に及ぼす影響を明らかにするための研究に乗り出しました。

痛風と尿酸の関係に着目した研究チームが尿酸の血中濃度を下げる食事法を調査した結果、たどりついたのが「DASH食」。DASH食は、米国立衛生研究所が過去におこなった研究の「高血圧を下げるための食事アプローチ(Dietary Approach to Stop Hypertension)」の頭文字を取ったものです。具体的には、果物や野菜、全粒穀物、低脂肪の乳製品を豊富に摂り、塩分や赤身肉、菓子、飽和脂肪を控えることが中心の食事法になります。

高血圧症用のDASH食で尿酸が最大1.3mg/dl減少

「尿酸値を下げる食事」という今回の新たなテーマを明らかにするため、研究チームは1997年に発表されたDASH研究の臨床試験データの二次分析をおこないました。

当時の試験では、ナトリウム量が低・中・高3パターンのDASH食と平均的なアメリカ食の4種類の食事で人体に及ぼす影響を比較しており、試験前後の血液サンプルも採取しています。それらの血液サンプルから分析した当時のデータには、尿酸値も含まれていたとのことです。

それらを二次分析した結果、尿酸値はDASH食によって総体的に0.35mg/dl低下していたことが判明しました。これは、あまり大きな変化とは言えません。ただし、試験を始める時点で尿酸値が高かった被験者に注目すると、より大きな影響が出ていることがわかりました。たとえば、試験開始時に7mg/dlという最も高い尿酸値であった被験者は、DASH食試験後の尿酸値が1.3mg/dlも下がっていたのです。

痛風の治療に処方するアロプリノールは通常、患者さんの尿酸値を約2mg/dl下げる効果があります。それと比べても、1.3mg/dlは決して小さな数字ではありません。今回の二次分析をおこなった研究者は、本格的なDASH食による食事療法をおこなえば、薬に匹敵する効果が得られるだろうと考えているようです。

DASH食の塩分摂取と痛風予防効果の意外な関係

高血圧症の改善において重視するナトリウムの摂取量は、尿酸値にさほど大きな影響を及ぼしません。しかし、影響が小さいながらもDASH食試験における結果は今回の研究者の予想に反するものでした。ナトリウム摂取量「低」のグループと比べ、「中」「高」のグループのほうが尿酸値の低減にやや有利だったのです。

その一方で、研究者は痛風の患者さんの70%以上が高血圧症であることを指摘したうえで、より効果的に尿酸値を下げるために塩分を増やすという安易な考えは、そうした患者さんにとってリスクが高いと警告しています。たとえそれで痛風の症状を改善できたとしても、高血圧症を悪化させる可能性が大きいと考えられるからです。
また、今回の二次分析の参照データは痛風患者のものではなかったため、研究者は痛風患者におけるDASH食と尿酸低減の関係をより明確にし、痛風の再発防止効果の有無など、さらに詳しく調べる必要があると述べています。

「尿酸値を下げる」という点においては、DASH食による痛風予防の効果は期待できることでしょう。ただし、個々の患者さんにとって最も有利な食事療法は、各人の疾患を仔細(しさい)に把握したうえで慎重に考える必要がありそうです。

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