1. 温暖化の影響がここにも…「ブタクサアレルギー被害拡大」の予想

海外医療トピックス

2016.11.08

温暖化の影響がここにも…
「ブタクサアレルギー被害拡大」の予想

世界各国で進んでいる地球の温暖化。気温の上昇により、自然環境や生物へのさまざまな影響が心配される、大きな課題です。この「温暖化」という課題が人間の健康に与える影響の研究を目的として、イギリスのUniversity of East Anglia(イースト・アングリア大学)が、花粉症と温暖化についての調査を行いました。今回は、その調査結果を見てみましょう。

ヨーロッパでは2060年までにブタクサアレルギーの患者数が2倍に!

今回イースト・アングリア大学が行った調査の結果によると、ヨーロッパ地域では今後35年以内に、ブタクサアレルギーの症状を発症する患者数が2倍になる可能性があることが発覚しました。2016年現在、3,300万人がブタクサに対して敏感だと考えられていますが、この数は2041年から2060年までの間に7,700万人にまで増えるとされています。

ブタクサアレルギー患者数の増加は温暖化のみが原因ではありませんが、温暖化によりブタクサ花粉の濃度が濃くなったり、ブタクサ花粉のシーズンが伸びてしまったりするため、アレルギーの症状がより悪化するという懸念も出ています。そして、現在すでにブタクサ花粉の影響を大きく受けているハンガリーやバルカン諸国で悪化するだけでなく、今後は現在それほど影響を受けていないドイツやポーランド、フランスへと拡大していくと考えられています。さらに、地球の温暖化によってブタクサの生息地域が北上することで、フランスやイタリアの北西部で7月中旬から8月中旬という早い時期にブタクサ花粉が空中に浮遊するようになるという予測が立てられています。

花粉症は世界各地の人々の健康に影響を与える

花粉症は世界的な健康問題ではありますが、「地球の温暖化との関連はこれまで調査されたことがない」とイースト・アングリア大学は述べています。そこで同大学は、温暖化と花粉症の関連性を考える初の調査として、ブタクサの分布、花粉の生産量、花粉の散布などの情報に注目し、それがヨーロッパにどのような影響を与えているのかを調べました。

今回の調査対象となったブタクサは1本の草が生み出す花粉の量が多いことで知られています。また、ブタクサは侵襲性が高く、1本が作り出す種の数は最多で年間6万2千粒。ヨーロッパ地域でどんどんその生存地域を広げています。ブタクサ花粉症の発生は夏の終盤にピークを迎え、ヨーロッパの特定の地域では、発生する花粉症の50%がブタクサによるもだということです。ブタクサはアメリカでも自生しており、人口の26%がブタクサに対して敏感であるそうです。

私たちができる対策とは?

地球の温暖化が進むにしたがって、花粉症の悪化を引き起こす可能性を示唆する調査結果が発表されたわけですが、私たちはこの調査結果をもとに、どういったことを考えていく必要があるでしょうか。

当調査発表の結論部分では、「人々の健康を維持していくためには、ブタクサの生息を管理することが重要だ」と述べられています。ブタクサのように侵襲型の植物は、放置する時間が長いほど対処を行うのが困難になってしまうので、なるべく早い段階でブタクサの侵略を抑えるために私たちができることを始めなければならないと言えます。

また、今回の調査対象となったブタクサ以外にも、温暖化により人間にとって悪影響となり得る植物が、地球上にたくさん存在しているということも考えていかなければなりません。当調査発表の結論部分でも「今回の調査は、ブタクサ以外の種に関して温暖化と花粉症の関連を調査するためのフレームワークとなる」と述べられています。

まとめ

現代病の代表とも言われる花粉症は、すでに世界で多くの人びとの健康状態に影響を与えています。地球の温暖化に伴いその被害が拡大する可能性を示唆した今回の研究は、医療関係者にとって非常に興味深いものと言えるでしょう。未来に向けて、人々の健康をどのように維持または改善していくかを考えるうえで、地球の温暖化と花粉症の関連例をしっかり把握し、その対策を考えていく必要があると言えるでしょう。

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