1. アルツハイマーのワクチン生成方法がついに明らかに!2021年までに抗体をヒトに試用する見込み

海外医療トピックス

2016.10.25

アルツハイマーのワクチン生成方法がついに明らかに!
2021年までに抗体をヒトに試用する見込み

認知症の一般的な原因であるアルツハイマー病は、とても身近な疾患ですが、残念ながらこれまで決定的に有効な治療法は明らかになっていませんでした。加齢とともに、「明日は我が身か」と不安を感じている人もいることでしょう。ところが今、米国とオーストラリアの研究チームによって、アルツハイマー病の予防と治療に役立つとされるワクチンが完成に近づいているようです。豪フリンダース大学の発表から、その詳細をご紹介します。

待望のアルツハイマー病ワクチン生成に成功

年間750万人のペースで新たに発症しているというアルツハイマー病。その治療法発見やワクチン開発の必要性は日ごとに高まっています。2002年から2012年までの10年間で244種もの化合物が研究され、世界中で413回におよぶ臨床試験が実施されたものの、結果的に新薬として承認されたのはたったの1種類。その新薬の効果も一時的な症状の軽減にとどまっています。

海外の医療系ニュースサイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」によると、米アルツハイマー病協会が推定している米国内のアルツハイマー病患者は約540万人。仮にこのまま効果的な治療法が見つからない場合、その患者数は2050年までにおよそ3倍に膨れ上がるだろうと予測しています。

こうしたなか、ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)のサイエンティフィック・レポート(Scientific Reports)で、アルツハイマー病に有効なワクチン生成の研究成果が発表され、脚光を浴びました。今回の研究に携わったのは、米分子医学研究所(IMM)と米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)そして豪フリンダース大学の3機関です。

アルツハイマー病を予防するワクチンの潜在的な効果

今回研究チームが生成に成功したワクチンの標的は、脳に蓄積するベータアミロイドとタウタンパク質の2種類。ベータアミロイドは、沈着物であるプラークを形成し、アルツハイマー病を進行させるタンパク質として知られています。また、タウタンパク質の異常蓄積はアルツハイマー病患者の認知症発症と相関関係があります。

抗体の効果を高めるため、研究チームはワクチンにアジュバント技術(生体の免疫機能を活性化させる強力で安全な補助剤の技術)を組み合わせました。その結果が示唆するアルツハイマー病ワクチンの潜在的な効果は、以下のとおりです。

  • アルツハイマー病初期や発病前の人に抗ベータアミロイドワクチンを投与すると、アルツハイマー病に対する免疫をつけられる
  • すでにアルツハイマー病が進行している人には、抗ベータアミロイドワクチンに抗タウタンパク質ワクチンを併用することで効果を高められる

アルツハイマー病ワクチンのFDA承認に向けて

研究室でおこなわれた試験では、アルツハイマー病患者から採取した脳組織中のタンパク質をワクチンの標的とすることに成功。さらに、アルツハイマー病のマウスモデルを用いた実験においては、ワクチンの有効性と認容性が高水準を示すという良好な結果が出ているとのことです。

しかし、アルツハイマー病に有効とみられるワクチンを生成できても、それが実際に一般の人々の手に渡るまでには長い道のりが待ち構えています。米国食品医薬品局(FDA)にこの新しいワクチンを申請するためには、まず米国政府の安全基準を満たさなくてはいけません。

研究チームは、今後3年から5年かけて4社の専門家と協力し、アルツハイマー病ワクチンの安全性と毒性について調べる前臨床試験をおこないます。それに無事成功し、ワクチンの安全性が証明できた場合は、ヒトに試用し免疫原性と有効性の研究に進むとのことです。

2021年という近い将来、果たしてアルツハイマー病のワクチンは米国で一般の人の手に届くようになるのでしょうか?
ヒトへの試用について、今後の結果発表が楽しみです。

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