1. 経鼻投与型インフルエンザ生ワクチンの効果に疑問!米国CDCの発表と2016-17シーズンへの影響

海外医療トピックス

2016.10.14

経鼻投与型インフルエンザ生ワクチンの効果に疑問!
米国CDCの発表と2016-17シーズンへの影響

秋になると、インフルエンザの予防接種シーズンが始まります。近年は、「フルミスト」という製品名で知られる経鼻投与型のワクチンも登場していますが、その利点に着目し早速取り入れた医師も、日本で認可されるまでは利用を控えている医師もいることでしょう。

その一方で、2016年の秋を控え、米国では専門家が「今シーズンは『経鼻ワクチン』の利用を避けるべき」と発表し、世間に大きな波紋が広がっているようです。今回は、米国疾病予防管理センター(CDC)の発表内容を中心にご紹介します。

2016-17シーズンは経鼻ワクチンを避けるべきとの見解

2016年6月22日、CDCの予防接種実施諮問委員会(ACIP)が、鼻腔(びこう)に噴霧する弱毒化したインフルエンザ生ワクチン(LAIV)について、「今シーズンの利用を避けるべき」との見解を発表しました。CDCのトップがこれを承認した場合、この推奨内容が正式なポリシーとなります。

注射針が必要ないため小児科を中心に支持され、米国で子どもたちが受けるインフルエンザ予防接種のうち、3分の1はLAIVの鼻腔噴霧が占めるとのことです。しかし、予防接種を受けたにもかかわらず子供がインフルエンザにかかったり、それにより死亡に至ったケースも報告されており、米国内ではそうしたニュースが流れるたびに経鼻ワクチンの有効性を疑問視する声が上がっていました。

そのため、今回ACIPが示した見解に対する人々の注目度は非常に高く、たちまち米4大ネットワークのひとつであるNBCニュースをはじめ多くのメディアに取り上げられ話題となっています。事前にワクチンの供給量を見極めなくてはいけない製薬会社はもちろん、多くの子供たちやその両親、病医院をも巻き込む大きな問題です。

2015-16シーズンの有効性の推定値は、わずか3%

今回のACIPの勧告は、2013年から2016年におけるLAIV予防接種の有効性データに基づいています。なかでも、米国インフルエンザワクチン有効性ネットワークが提供した予備データを用いたCDCの研究が、「2015-16シーズンにLAIVを接種した2歳から17歳の子供たちにおいて、LAIVの有効性はわずか3%であった」と結論付けたことに目を疑った人も多かったことでしょう。

鼻腔噴霧と筋肉注射、両者のワクチンの有効性(推定値)の比較は以下の通りです。

LAIV(弱毒化インフルエンザ生ワクチン経鼻投与)
推定3% [信頼区間95%(-49%~37%)]
IIV(不活化インフルエンザワクチン筋肉注射)
推定63% [信頼区間95%(52%~72%)]

また、2013年から3シーズンにわたる有効性の結果を見ても、残念ながらLAIVの有効性は期待以下であったといいます。

有効性が証明されるまで他国で使用を続ける意向

理論上は、LAIVのように生きたウイルスを含むワクチンは、IIVよりも強い免疫応答を引き起こすことが可能とされています。LAIVが2003年にアメリカで承認された当初提示していたデータによると、LAIVの有効性はIIVと同等かそれ以上あるとのことでした。

フルミストを製造する米バイオテクノロジー会社メドイミューン(英医薬品大手アストラゼネカの子会社)は、今後も他国への輸出を続けデータを得ることで、LAIVの有効性について理解を深める方針です。

日本では第一三共株式会社が国内におけるフルミストのライセンス契約を締結しており、日本経済新聞もその承認申請予定を報じたことで、世間では2017年には実用化されるのではとささやかれていました。

今回の一連の情報公開は、果たして日本での承認に影響してくるのでしょうか。昨シーズンまで個人輸入によって経鼻ワクチン接種を提供してきた医院の中には、すでに今シーズンの利用を取りやめる意向を示す動きが見受けられます。

医師という立場である以上、インフルエンザワクチンはメーカーが提供するものを使うほかありません。しかし、少なくとも、予防接種を受けられる患者さんの健康を守るため、より慎重にワクチンを選ぶ必要がありそうです。

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