1. 世界の平均寿命が5年延びた:WHO調査結果

海外医療トピックス

2016.09.09

世界の平均寿命が5年延びた:WHO調査結果

さまざまな研究による新たな情報の発見により、病気の治療に役立つ新薬やテクノロジーが開発され、医療は年々進化してきました。そしてそれに伴い、人々の寿命は延び続けています。

WHO(世界保健機関)が発表した「World Health Statistics 2016(2016年度版世界保健統計)」によると、2000年以降世界の平均寿命は著しく延びています。2000年から2015年の間では5年長くなり、世界の平均寿命は71.4歳にまでなっています。

最も寿命が延びたのはアフリカ

1950年以降、世界の平均寿命は10年ごとに3年以上伸びてきました(1990年代はアフリカでのHIVの流行やソ連の崩壊が原因で伸びが停滞)。

今回の調査で、最も寿命が延びたとされた地域はアフリカです。2000年~2015年の間にアフリカの平均寿命は9.4年延び、平均寿命は60歳に。これは、子どもの死亡率の低下やマラリアへの対応の向上、HIVをコントロールする抗レトロウィルス薬へのアクセス向上などが影響していると考えられます。2000年のデータと比較すると、アフリカとヨーロッパの平均寿命の差は4.9年も狭まっています。

2015年生まれの子どもが最も長生きするのは日本

次に知っておきたい情報は、2015年に生まれた子どもたちの、寿命に関する予測データです。世界平均をみると、2015年に生まれた子どもたちの予測平均寿命は71.4歳(女子73.8 歳、男子69.1歳)。国と性別で比較した場合、予測寿命が最も長いのは日本で83.7歳(女子86.8歳、男子80.5歳)となっています。

平均寿命が80歳以上であった29か国は、すべて平均年収が高い国でした。平均寿命60歳以下の22か国は、サハラ以南のアフリカ地域に集中しており、世界の抱える課題が浮き彫りになっているといえるでしょう。

SDGs(持続可能な開発目標)のプログレス追跡

SDGsのロゴ(画像参照:国際連合広報センター)
「SDGsのロゴ(画像参照:国際連合広報センター)」
画像をクリックすると拡大します
2015年8月、国際連合は、世界の貧困緩和などを目的とした「持続可能な開発目標(SDGs)」の合意に至りました。

SDGsには途上国の開発に加え、先進国が自国で取り組むべき課題も多く含まれている、2016年から2030年の間の国際目標です。

今回WHOが発表した調査結果をみると、SDGsを達成するには、以下のデータが示すようにまだまだ多くの壁が立ちはだかっています。

  • 590万人の子どもたちが5歳になる前に死亡
  • 30万3千人の女性が妊娠・出産で死亡
  • 200万人が新たにHIVに感染したほか、960万人が結核に、2億1,400万人がマラリアに感染
  • 17億人が顧みられない熱帯病に対する治療を必要としている
  • 1,000万人以上が70歳までに心血管疾患やがんで死亡
  • 125万人が交通事故で死亡
  • 80万人が自殺
  • 47万5千人が殺人の被害者に(うち80%は男性)
  • 430万人が屋内の空気汚染で、300万人が屋外の大気汚染で死亡

ほかにも、喫煙(11億人)、発育不全(1億5千6百万人)、水質汚染(180億人が清潔な飲料水を確保できていない)といった問題も世界に蔓延しています。

WHOの事務局長、Dr. Margaret Chanは次のように述べています。
「世界は、予防や治療が可能な病気によって引き起こされる、不必要な苦しみや時期尚早の死を減らすことについて、大きな前進をみせています。しかし、それはどの国でも同じように進んでいるわけではありません。取り残される国が出ないようにするために私たちができる最善のことは、よりしっかりとしたプライマリーケア(一次医療)に基づいた国民保健制度の確立に向けて各国を支援していくことです」

世界各国の状況を平等に近づけるには、今後SDGsがどのようなプログレスをみせていくか注視し、それに合わせた対策を練っていく必要があるのです。

途上国との差を縮めるために…

世界的にみて人々の寿命は延びているものの、先進国と発展途上国の医療の間には、まだまだ大きな格差があるのも事実です。この格差を縮めるために医師としてできることとは一体何か、社会全体で取り組むべき課題とはどういったものかと考えていきましょう。

海外医療トピックス バックナンバー

この記事を見た方はこんなコンテンツも見ています