1. 激務に耐える医師も悩まされる片頭痛 循環器疾患のリスクが50%高いという結果に

海外医療トピックス

2016.09.02

激務に耐える医師も悩まされる片頭痛
循環器疾患のリスクが50%高いという結果に

激務のなかストレスを抱える医師は、何らかの慢性的な頭痛に悩まされているケースが多いようです。なかでも、ひどい片頭痛はしばしば生活に支障をきたしますが、そんな片頭痛と循環器疾患との関係性を調べた研究が、英国医師会雑誌(BMJ: British Medical Journal)で発表されました。

アメリカでは5人に1人が経験している片頭痛

海外の医療系ニュースサイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」によると、アメリカでは5人に1人が一生に一度は片頭痛を経験しているといいます。また、理由は明らかになっていませんが、女性では男性の3~4倍も多くみられるとのことです。

片頭痛患者のなかには、痛みが始まる直前や最中に閃輝暗点(片頭痛オーラ)が現れる人もいます。閃輝暗点は、「閃光が見える」「視野が欠ける」「視覚的に混乱する」「バランス感覚を失う」などの症状を伴うものです。これまでの研究において、片頭痛は脳卒中のリスクと何らかの関連があることを示す結果が出ており、閃輝暗点が現れたときは特に危険だとされています。

ただし、片頭痛が血管と関係していることは知られているものの、脳卒中とどのようにリンクしているのか、その明確なメカニズムは依然不明です。一方で、片頭痛がほかの循環器疾患とも関連していると考える科学者もおり、今回、トバイアス・トビアス・クルト博士の率いるドイツとアメリカの共同研究チームがコホート研究を行いました。

片頭痛がある人は循環器疾患のリスク50%増?

研究チームは今回の調査にあたり、1989年にアメリカ人医師ウォルター・ウィレット博士が行った、看護師健康調査II(the Nurses' Health Study II)に登録されている女性115,541人分のデータを分析しました。
看護師健康調査IIの登録者である女性たちは25~42歳で、1989~2011年の健康状態を記録しています。また、調査を開始した時点では、いずれの被験者も狭心症およびその他の循環器疾患はみられなかったとのことです。

登録者のうち、調査開始時に片頭痛があると報告したのは17,531人、調査過程で1,329人が脳卒中をはじめとする循環器系の発作を経験し、223人が循環器疾患で死亡しました。さまざまな交絡変数を調整してもなお片頭痛と循環器疾患リスクの関連性は顕著で、年齢とは関係なく、片頭痛を持っている人はそうでない人に比べて循環器疾患を発症するリスクが50%高かったとのことです。

片頭痛を循環器疾患と単純に結びつけて考える前に

今回の研究結果をみると、確かに片頭痛は循環器疾患と関連していると考えられるでしょう。しかし、この論文の発表と同時に英国医師会雑誌に掲載された編集記の筆者らは、「このリスク評価を過大にとらえるべきではない」と慎重な姿勢を示しています。ただ、彼らも、晩年の循環器疾患発症リスクのマーカーとなる若齢期の健康状態リストに片頭痛を加えることには同意しました。

メディカル・ニュース・トゥデイで報じられている通り、片頭痛と循環器疾患の関連性を確かめるには「男性を研究対象に含めた場合」「片頭痛の重症度」「閃輝暗点の有無」など、今回の研究でカバーしていない情報を含めた調査が必要です。また、片頭痛は喫煙や肥満など他の危険因子と相互作用している可能性もあります。

将来的な疾患発症のリスクが高いといわれると、早くから気を付けられることがあるなら知っておきたいというのが片頭痛患者の本音に違いありません。しかし、片頭痛と循環器疾患のリンクやそのメカニズムがはっきりと解明されないうちは、具体的な対処を図ることは難しそうです。

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