1. 消化器内科で誤診に注意したい5つのポイント アメリカでは2015年で5%が診断ミス!

海外医療トピックス

2016.08.05

消化器内科で誤診に注意したい5つのポイント
アメリカでは2015年で5%が診断ミス!

米国医学研究所(IOM:Institute of Medicine)が発表した、2015年の誤診の統計によると、アメリカ人患者全体の5%が診断ミスを経験しているとのことです。その結果を受け、医師向け情報サイト「Medscape」が専門家たちに調査を行いました。東バージニア医学校の消化器医学教授デビッド・ジョンソン氏がまとめた5つの誤診パターンを、早速見てみましょう。

1. 完治したかどうかの判断を誤る

症状が治まった患者さんに対しては、経過観察を促し必要に応じてフォローアップするのが一般的です。
ところが、ジョンソン氏はクロストリジウム・ディフィシルの感染症について例を挙げ、医師が「完治した」と判断するタイミングを誤る場合があると指摘しています。

そこでは、下痢の症状が治まった患者さんに対して、2週間後にグルタミン酸デヒドロゲナーゼ検査を行い「完治した」と判断した誤診のケースが紹介されています。
クロストリジウム・ディフィシルは6週間症状が出なかったり、治療が成功したあとも数か月間は陽性反応が出たりするため、患者さんに合わせた個別の対処が必要です。

2. 腹部痛の原因について判断を誤る

腹部の痛みの原因を断定するのは非常に困難です。原因不明の腹痛を抱えた患者さんを誤診するパターンを紹介しています。

右上腹部の痛みを理由に内科を受診されたある患者さんに、超音波検査を行ったところ、結果は正常であったため、医師は急性胆のう炎と診断。しかし、患者さんは、右肩を上げて腹部の筋肉が動くとひどく痛むと訴えていたそうで、実際の原因は腹壁にありました。患部を温めて経口非ステロイド性抗炎症剤を処方するか、局所鎮痛薬が推奨されるケースだったのです。

3. 余計なスクリーニングをする

予防医療の重要性は周知の事実ですが、不要な検査やスクリーニングを避ける、医師の正しい判断が前提になります。ジョンソン氏の分析によると、ルーチン化しがちなスクリーニングにも思わぬ落とし穴があるようです。大腸内視鏡検査で、前がん状態のポリープはなく軽い憩室症と痔という結果が出た患者さんのケースが、例として紹介されています。

上記の患者さんに対し、ある医師は毎年行うスクリーニング検査に加え便潜血検査が必要であると判断しました。しかし、実際は大腸内視鏡検査を受けた患者さんには便潜血の観察を続けるべきではありません。また、アメリカでは便潜血検査に代わる、便の免疫組織化学的検査が推奨されています。

4. 考え方は合っているが、検査選びを間違う

どの治療を行えばどのような結果がもたらされるかという、考えの方向性は正しくても、結果を確認する検査の選定を誤る場合があります。

その一例として紹介されているのが、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した患者さんを治療したのちに血清検査を行ってしまったケース。ヘリコバクター・ピロリ菌は、撲滅したあとでも血清検査では陽性になります。このため、ここでは便中抗原測定や尿素呼気試験が適切です。

5. 検査結果を取るに足らないものと判断する

高齢になるにつれ、定期健診を受ける患者さんは多くなります。ただし、検査結果に表れた異常値の裏にいったいどれほどの危険が潜んでいるのか判断判断する際には注意が必要です。

ジョンソン氏はその例として、2型糖尿病や高脂血症を患っている肥満の患者さんに肝酵素異常が見つかったケースを紹介しています。医師は肝臓のエコー検査を行った上で脂肪肝と診断し、6か月様子を見て再検査を受けるようすすめました。ところが、実際は進行性の非アルコール性脂肪肝疾患だったということです。

以上、アメリカ人医師が分析した、消化器内科で誤診しがちな5つのポイントでした。これらのポイントを踏まえた上で、診断に臨むと、誤診防止に役立つことがあるかもしれません。

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