1. SPF30の日焼け止め剤で、メラノーマの発症に遅延効果 遺伝子操作されたマウスで実験 ―米研究

海外医療トピックス

2016.07.19

SPF30の日焼け止め剤で、メラノーマの発症に遅延効果
遺伝子操作されたマウスで実験 ―米研究

本来は季節を問わず年中対策が必要といわれる紫外線。それにもかかわらず、やはり人々の関心が最高潮に達するのは、日焼け止め商品が店頭にずらりと並ぶ夏の行楽シーズンです。

今回は、アメリカ科学振興協会(AAAS)の運営するウェブサイト「Eurekalert!」より、日焼け止め剤の使用によって皮膚がんの発症に影響が見られたという最新の研究をご紹介します。

日焼け止め剤のがん予防効果を調べる初の試み

オハイオ州立大学のクリスティン・バード氏が中心となっておこなっているこの研究は、ルイジアナ州ニューオリンズで開催された米国がん学会(AACR)の年次総会で発表されました。

研究目的は、皮膚がんの一種であるメラノーマ(黒色腫)に対し、日焼け止め剤がなんらかの効果をもたらすかどうかを調べることです。これは、一見すると「効果があって当たりまえ」と思われるテーマかもしれません。しかし、日焼け止め剤で皮膚がんを防げるかどうかを調べた研究はこれまでになかったといいます。

日焼け止め剤は、陽射しによる皮膚のやけどを防ぐ目的で化粧品業界が作ったものです。紫外線を跳ね返す効果については、ボランティアによる臨床試験や合成皮膚を使った試験で調査済みです。ただし、メラノーマに限っての影響については確認されていません。

遺伝的にメラノーマを発症するマウスモデル

紫外線は、メラノーマを発症させる最大の要因のひとつとして知られています。そこで、バート氏の研究チームは、特殊なマウスを使って日焼け止め剤とメラノーマ発症についての実験をおこないました。

ここで使われた特殊なマウスとは、バード氏らの前研究で開発されたものです。皮膚に4-ヒドロキシタモキシフェン(4OHT)を与えると、およそ26週間でメラノーマを自然に発症するよう遺伝的に操作されています。
研究チームは、それらのマウスに4OHTを与えた次の日、外皮を損傷するとされているUVB(短波長紫外線)を一用量照射しました。その結果、メラノーマが発症するまでの時間が早まり、約5週間マウスがメラノーマを発症せずに残る確率は80%低下したといいます。

次のUVB照射前のマウスに日焼け止め剤を塗るという実験では、複数のメーカーによるSPF30 (Sun Protection Factor 30)の日焼け止め剤が使用されました。メーカーによって効果に多少の差があったものの、いずれの日焼け止め剤も、メラノーマ発症を遅らせ腫ようの発生を減らすことが示されました。

SPF30の日焼け止め剤によってメラノーマの発症が遅延

今回の研究結果より、日焼け止め剤を塗布するとメラノーマの発症を遅らせる可能性があることがわかりました。ただし、がんの予防効果があるのかを確かめるためには、引き続き研究が必要です。

まず、SPF値の表示は各メーカーにより異なります。同じ「SPF30」と表示された日焼け止め剤でも、あらかじめそれよりもずっと高い効果を見込んでいながらあえて「30」と書かれた製品もあることが後に判明したのです。したがって、バード氏は、現時点では日焼け止め剤の効果を比べることは困難だと話しています。

また、実験で短時間に照射している1回分のUVBは、1週間ビーチで過ごした程度の線量です。そのため、実際に1週間かけて海辺で太陽光線を浴びた場合とは、結果が異なる可能性も否めません。さらに、自然の太陽光線にはUVB以外のものも含まれているため、その影響についても調べる必要があります。

以上のような課題を指摘した上で、バード氏はさらに研究を進めるための資金を募っているそうです。
こうした動物実験については賛否両論ですが、がん予防法の確立に寄与する可能性があるだけに、今回の研究には多くの人々が関心を寄せているのではないでしょうか。

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