1. 病院同士の情報交換を実現:米国コロラド州の試みの成果は?

海外医療トピックス

2016.04.28

病院同士の情報交換を実現
米国コロラド州の試みの成果は?

患者さんの健康に関する情報をひとつの病院内にとどめず、多数の病院をつなぐ中央システムにまとめると、どのようなメリットがあるでしょうか。

こうしたシステムに患者さんの情報を保存すれば、どの病院に勤める医師でも、診察や治療を施す前にその患者さんに関する過去の病歴・治療歴に関する情報に、簡単にアクセスできるようになります。
今回は、このようなシステムとして効果を発揮している、米国コロラド州のHIE(Helathcare Information Exchange)というネットワークについてご紹介しましょう。

HIEとはどんなシステム?

米国・コロラド州で導入されているHIE (healthcare Information Exchange)とは、州内の病院で採取された患者さんの医療情報をシェアできるネットワークです。情報を病院間で共有することで、医師や病院スタッフは素早く正確な患者さんの情報にアクセスでき、適切な診察や治療によって患者さんの健康状態を向上させることができます。


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例えば、患者さんが新しい病院に通い始めたとします。中央システムに情報が集められていれば、ほかの病院でこれまでに受けた検査の結果を共有できるので、重複して検査を行う必要がなくなります。これにより患者さんへの負担はもちろん、病院が検査を行うために費やす人材や時間の負担も軽減することが可能です。
次の動画では、医師たちがこのHIEのメリットについて意見を述べています。

救急隊員も情報を活用することでさらに効率アップ

コロラド州では、「緊急の患者さんを病院に運ぶ救急隊員が、このデータにアクセスできるようにする」という試みも行っています。救急隊員と病院の情報交換は、電話や無線といった限られた方法で行われていました。仮に病院がその患者さんに関する重要な情報を持っていたとしても、それを救急隊員は効率よく活用できていなかったのです。

もし、患者さんを救急車に運び込んだ段階で、救急隊員がその患者さんに関する情報を得られれば、病院に搬送するまでの限られた時間でも、より適切な救急処置を施せるようになります。HIEのシステムを救急隊員が活用できるようにすれば、患者さんのケアの質を大きく向上させることが可能となるのです。

HIEの活用事例

このシステムを導入しているThe Urology Center of Coloradoでは、病理検査、放射線検査の結果やトランスクリプションなどのデータをHIEのシステム経由で入手することで、新規患者さんの受け入れ準備の効率化を図っています。
患者さんの診察や治療を開始するにあたり、健康状態やこれまでの通院歴といった情報を一から集めるのは手間暇がかかるものです。このシステムを使えば、患者さんから情報収集したり、検査を行ったりといったことにかかる時間を節約できます。

また、このシステムでは欲しい情報の設定をカスタマイズできるので、不必要な情報があふれてしまうこともなく、新規の患者さんが病院を初めて訪れる前に、必要な情報がそろっている状態になります。また、The Urology Center of Coloradoを去った後も、HIEにコネクトすればその患者さんに関する情報をフォローアップできます。情報を効率よく収集できることで、その後のケアを行うのにも役立っているそうです。

地域全体の医療の効率化

過去に通院歴や手術歴のある患者さんに関する情報を、多くの病院や医師がアクセスできるひとつのシステムにまとめることで、地域全体の医療の効率化に取り組んでいるコロラド州。医師やスタッフ、そして患者さんへの負担を減らすためのアイデアの一例として参考にしましょう。

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