1. 生体活性ガラスを歯の詰め物に!オレゴン州立大学の研究とは

海外医療トピックス

2016.03.08

生体活性ガラスを歯の詰め物に!
オレゴン州立大学の研究とは

人々の生活に欠かせない食事。1年間に人が食べ物を噛む回数は60万回を超えると言われており、現在虫歯の治療に使用されている詰め物の平均寿命は6年という研究報告があります。また、詰め物と歯の隙間にバクテリアが入り込むことで、二次カリエスが発生してしまうという問題も抱えています。こういった課題の解決策として、オレゴン州立大学が研究を進めている生体活性ガラスの利用に注目してみましょう。

生体活性ガラスとは?

今回の研究で使用されている生体活性ガラスは、生体との適合性が高いと考えられており、すでに移植や組織治療の材料として世界各国で注目を浴びているのです。生体活性ガラスの原料となるのは、ケイ素、カルシウム、ナトリウム、リンといった物質。これらのようにすでに体内にある物質を使うことで、体が拒否反応を示すことなく体の一部として「生体活性」が行われるのです。
生体活性ガラスのメリットとして、抗菌性や抗炎症性が挙げられます。こういった特質を持つ物質を歯の詰め物として活用できれば、バクテリアによる詰め物への攻撃を減らすことが期待されます。また、生体活性ガラスには、虫歯になって減少してしまった歯のミネラルを補給する働きもあると言われています。

研究内容

今回オレゴン州立大学が行った研究は、虫歯の治療を行った患部に発生する生体膜(口腔バイオフィルム)に対し、生体活性ガラス(BAG)がどのような効果を発揮するかを調査するためのものでした。実験には、最近抜歯された臼歯から作成したサンプルを使用。臼歯を約3mmの厚みを持つ象牙質のディスクにし、そこに1.5~2ミリメートルの深さのコンポジット修復を施しました。その際、修復箇所の半分には歯科用接着剤を使用しないことで、象牙質とコンポジットの間に15~20マイクロメーターの隙間を残しました。
今回の研究では、72wt%のコンポジットが2種類使われ、1種類は「15wt%BAGフィラー(15BAG)とシラン処理ストロンチウムガラス」で、もう1種類は「BAGを使用せず、シリカエアロゾルとシラン処理ストロンチウムガラスのみ(0BAG - コントロール)」。用意されたサンプルは、表面にミュータンス連鎖球菌のフィルムを生息させ、2週間の間バイオリアクターの中におかれました。これによりサンプルの状況を実際の口内の状態に近づけ、経過を見守ったのです。
2週間後、サンプルには生物膜ができていることが確認され、グルタルアルデヒドに入れられグラム陽性を確かめるための染色が行われました。その後、樹脂を使って固定され、象牙質とコンポジットの間の隙間の状況を調べるために横断されました。15BAGと0BAGのサンプルにおける、隙間の状況の差がt-検定によって比較されました。

研究結果

今回の研究のコントロールサンプルでは、全サンプルでバクテリアの侵食が確認され、サンプルによってはコンポジット修復を施した箇所の下にまで侵食が進んでいたそうです。
これに対して、15 wt% BAG filler(15BAG)のコンポジットを使用したサンプルは、コントロールサンプルと比較した場合、隙間にバクテリアが侵食した深さが最高61%程度抑えられたという結果が出ました。
この結果を受け、オレゴン州立大学ではBAGを含んだコンポジットを歯の詰め物として使用した場合、コンポジットと歯の隙間へのバクテリアによる侵食を抑えられ、これによって二次カリエスが発生しにくくなるであろうという結論を出しています。また、詰め物自体の寿命が延びる可能性も示唆されています。

生体活性ガラスのこれからに注目を

すでに医療の分野で活用されている生体活性ガラス。その特性を歯の治療に生かせれば、治療後の健康状態の向上が期待できそうであることがわかりました。この研究結果をもとに、今後、どのような新素材や新技術が開発されるのか注目していきましょう。

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