1. 「予防接種は危険」という誤解を解くには?インターネット情報の罠を逆手に取るアプローチ -米研究

海外医療トピックス

2016.02.23

「予防接種は危険」という誤解を解くには?
インターネット情報の罠を逆手に取るアプローチ -米研究

どこかでワクチンの危険性を耳にすると、多くの人は不安になり、しばしばインターネットで情報を収集しようとします。果たして、それらの情報はどれくらい正しいのでしょうか?
また、間違った情報による患者さんの誤解を解くには、どうすればいいのでしょうか?
今回は、海外の医療系情報サイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」より、それらの疑問に答えてくれる、ジョンズ・ホプキンス大学が中心になって行った研究をご紹介します。

2014年にアメリカで麻疹が大流行した裏側

2014年の年末に、米カリフォルニア州にあるディズニーランドから麻疹が広まったというニュースが、大きく報道されました。米疾病管理予防センターの発表によると、アメリカにおける2014年の麻疹患者数は、2000年に麻疹の撲滅が宣言されて以来、最多にのぼったとのことです。後の調べにより、このとき麻疹にかかった人々の大半は、麻疹の予防接種を受けていなかったことがわかりました。

麻疹は、予防接種を受けている人が全体の92%を下回ると、流行する可能性が跳ね上がるといいます。
しかし、ワクチン接種は危険をともなうとして、子どもに予防接種を受けさせない保護者もいるのが現実です。彼らは、そうしたワクチンの危険性に関する情報の多くを、インターネット検索を通してウェブサイトから手に入れています。
そこで、研究者は、予防接種反対の意向を示すウェブサイトを研究対象に定め、そこで述べられている情報が正しいかどうかを調査し、さらに、閲覧者に予防接種反対の意見を受け入れさせる秘訣を探りました。

予防接種の反対を唱えるウェブ情報を分析した結果

研究者は、予防接種に反対の意向を示す480のウェブサイトを分析し、その結果を以下のように発表しました。
予防接種反対を唱えるウェブサイトではかなりの確率で誤った情報が公開されており、消費者の誤解につながっていることがうかがえます。

サイトが提示する誤った主張内容
ワクチンは危険である⇒65.6%
ワクチンは自閉症の原因となる⇒62.2%
ワクチンは脳に損傷をもたらす⇒41.1%
予防接種反対の主張を裏付けるために公開している情報
科学的根拠⇒64.7%
逸話⇒30%
予防接種反対の主張を閲覧者に受け入れてもらうために示している価値観
予防接種を受けるかどうかは、ひとつの「選択」である⇒41.0%
予防接種を受けるかどうかは、「自由」である⇒20.5%
予防接種を受けるかどうかは、「個人」による⇒17.4%

研究結果から学ぶ、消費者にワクチン接種をすすめる方法

公開している情報が何であれ、支持されるサイトは、それを閲覧者に信じさせる力を持っているということに変わりありません。よって、研究者は誤情報がインターネットに蔓延している現状を逆手に取り、予防接種反対を唱えるサイトから「説得力を生む手法」を学べるのではないかと考えています。

今回の研究において、閲覧者の支持を得るポイントとして注目されたのは、相手の目線に立った情報伝達を行うということです。研究対象のウェブサイトでは、科学的根拠だけでなく逸話を用いたり、人々の支持を得やすく健康の常識ともいえる事柄(健康的な食事や母乳育児など)をあわせて推奨したりしています。人々を共感させ、「そこに掲げた主張は理にかなっている」と判断してもらうためです。

したがって、ワクチンを危険視する患者さんに予防接種をすすめる際は、「わかりやすく臨場感のある逸話」や「(健康的な食事や母乳育児など)相手が支持するほかの話題」も絡めてみると効果的かもしれません。
インターネットに流れる誤った情報の修正や、人の心に1度根付いた考えを変えることは、とても難しいことです。それでも、必要な予防接種に対する誤った認識は、どうにかして払拭したいものです。

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