1. 冬は元気が出ない?知っておきたい季節性情動障害(SAD)のこと

海外医療トピックス

2016.02.16

冬は元気が出ない?
知っておきたい季節性情動障害(SAD)のこと

寒い季節も元気に乗り切りたいのに、どうしようもなく気持ちや体調がダウンしてしまった経験はありませんか?
それはもしかしたら、季節性情動障害(SAD:Seasonal Affective Disorder)の兆候かもしれません。今回は、海外の医療系情報サイト「メディカル・ニュース・トゥデイ」が発表している、SADについての基本情報をご紹介します。

軽度のSADに悩むアメリカ人は全人口の1割以上

季節性情動障害という病名は、1984年に初めて登場しました。米国のノーマン・ローゼンタール博士が「特定の季節に起こりうる気分の落ち込み」をそのように表現したのがはじまりです。SADの患者さんの多くは冬にこれを経験することから、「季節性」といっても冬を連想される方が多いのではないでしょうか。

人々のメンタルヘルスをサポートする英国組織「マインド」のベス・マーフィー氏の話によると、2~3年症状を経験してようやく診断されることはしばしばで、診断に至らないケースも多く、SADの潜在的な患者数の把握は難しいとのことです。なお、北ヨーロッパで症状が重めのSADにかかっている人は人口の2%、症状の軽い人は10%にものぼると推定されるそうです。

また、米名門病院クリーブランド・クリニックも、季節性情動障害と診断されている患者さんは米国だけでも約50万人いるとしています。そして、軽い症状の人は、やはり、全人口の10~20%になるだろうということです。

季節性情動障害の症状と、考えられる原因

マーフィー氏によると、SADはすべての年齢層に起こりうるといいます。特にかかりやすいのは21歳未満の人で、男女比は1:2だそうです。したがって、冬になると気が沈むという女性には、特に注意すべきかもしれません。
季節性情動障害には、不安を感じる、情緒が不安定になる、パニック発作が起きるなど、一般的なうつ病と似た症状のほか、以下のような症状も見られます。

季節性情動障害の症状例
日常的な作業に対するエネルギーの不足
免疫力の低下
いらだち
集中力の欠如
過食・体重増加
アルコールや薬物の乱用
罪悪感・不安感
睡眠障害
性欲の減退
社会性や人間関係の問題

なお、SADの正確な原因は現在のところ明らかになっていませんが、これまでの研究により以下のような事柄が原因になっている可能性があると考えられています。

季節性情動障害の考えられる原因
外界の光の変化
体内時計の混乱
生活の激変(トラウマになるような出来事、身体的な病気、食生活の変化など)

SADによく効く「光」は室内照明の約10倍

気分に関係する脳内の物質は強い光によって正常化されると考えられています。そこで、SADと診断された患者さんの治療にしばしば用いられるのが、光線療法です。英国のSADA(Seasonal Affective Disorder Association:季節性情動障害協会)は、光線療法が最大85%のSADの症例に有効であったとしています。

光線療法に用いられるのは、自然光を模した人工光です。それは一般的な室内照明の約10倍の強さとなっており、患者さんは毎日2時間ほどその光にあたります。
人工光を放つ装置は個人で購入が可能ではあるものの、医療スタッフ監督のもとでセラピーを行ったほうが高い効果が得られる場合もあるとのことです。

仕事をしているとどうしても室内にこもりがちになってしまい、医師もSADにならないとは限りません。寒い時期に混み合う外来の対応を元気にこなすためにも、なるべく窓から自然光を取り入れて冬場を乗り切りたいものです。

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