1. メディカルトレーニング最前線:Spectaclesで世界に情報発信

海外医療トピックス

2018.04.24

メディカルトレーニング最前線:
Spectaclesで世界に情報発信

IoT(モノのインターネット)やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)といった新たなテクノロジーは、医療関連のさまざまな分野を進化させています。その恩恵にあずかっているのは、こうしたテクノロジーをいかした診療や治療を受ける患者さんはもちろんのこと、医学生や医師を含む医療関係者でもあります。今回はSpectaclesという動画配信用ハイテクアイテムを、医師の教育・育成といった場で活用している事例をご紹介します。

ハイテク外科医の挑戦

英国の下部消化管外科医Shafi Ahmed氏はデジタルテクノロジーを早くから取り入れ、「the planet's most-watched surgeon(世界で最も注目されている外科医)」として知られています。2017年には、Snap Inc社のハイテクアイテム「Spectacles」を使ってヘルニア手術の様子を配信し、新人医師や一般のビューワーに手術の手順や内容を公開しました。

Ahmed氏は2016年に、360度動画を使ってバーチャルリアリティー手術をライブ配信したことでも有名です。この動画は142か国で計55,000人に視聴され、YouTube上のダウンロード回数は20万回にのぼりました。Ahmed氏は2018年には「イマーシブテクノロジー(没入型テクノロジー)」を使って手術室にアバターを投影し、次世代の医師たちの教育や監督をリアルタイムで行うことを考えているそうです。

知識を世界に届け、医療従事者不足の解決を図る

今回Ahmed氏が使用した「Spectacles」はカメラが搭載されたサングラスです。このカメラで撮影した動画はSNSの一種であるSnapchatを通じて配信できます。この技術には、大掛かりなセットを必要とせず、また、高額の撮影・配信費用をかけることなく世界中の人々に動画を届けることができるというメリットがあります。また、撮影用カメラがサングラスについているため、視聴者が撮影者の目線で捉えた映像を見ることができるのも魅力です。

現在、深刻な医師不足に悩んでいる地域は多く、2030年までに医療従事者が世界的に1,500万人程度不足すると予想されています。Ahmed氏は、医療従事者不足を阻止するためにも、こういった技術を活用して高度かつ斬新な教育を行っていくことは有効であると考えています。また、シンガポール南洋理工大学Lee Kong Chian School of Medicine准教授のJosip Car氏も、医療従事者だけでなく、医療従事者を育てる教育者も不足していると述べています。

デジタルヘルス市場は今後も成長継続

Transparency Market Research社が2017年9月に発表した調査結果によると、世界のデジタルヘルス市場は今後もさらなる成長を遂げる見込みとなっています。2017年には1,963億ドルだった市場が、今後CAGR(年平均成長率)13.4%で拡大し続け、2025年末には5,366億ドルまで膨れ上がると予想されています。地域別に見ると、2016年に市場をリードしたのは北米でした。

世界のデジタルヘルス市場は、「新興国におけるヘルスケアインフラの規模の小ささ」「メンテナンスのコストの高さ」「セキュリティやプライバシーの問題」「高額な設備投資」など、さまざまなマイナス要素の影響を受ける可能性もあります。しかし、患者さんを遠隔地からモニターできるという利点は、デジタルヘルス市場に追い風となると考えられています。糖尿病やガン、その他の病気にかかっている患者さんや、増加傾向にある独り暮らしの高齢者にとってそうしたサービスが必要となるためです。

まとめ

医療分野のデジタル化は今後もますます進み、それにより多くの医療関係者がさまざまな分野でその恩恵を受けることが予想されています。雑誌やインターネットサイト、SNSでの情報収集や、医療関係者との情報交換の機会を意欲的に持ち、医療機器テクノロジーやヘルスケア分野で注目を浴びている人物などに関する最新情報を取得していきましょう。

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