1. 発展途上国の医療用品:市場の約1割は規格外・偽造品…

海外医療トピックス

2018.04.20

発展途上国の医療用品:
市場の約1割は規格外・偽造品…

「病気が良くなる」……そう信じて購入した薬や機器が、実は何の効果もない偽物だったとしたら? 偽物を誤って使うと、健康状態はどうなってしまうのでしょうか。WHO(世界保健機関)の発表によると、発展途上国の人々の手元に渡る医療用品の約1割は、予防や治療の効果が期待できない規格外の粗悪品や偽造品であることがわかったそうです。その調査結果を見てみましょう。

生命にも関わる問題

粗悪な医療用品が市場に出回ると、人々の健康状態を悪化させるだけでなく、経済的にも無駄な出費を増やすことになります。この影響は発展途上国で特に強く出てしまいます。

「母親が食べ物や日用品を買うのを我慢して病気の子供のための薬を買ったものの、もしその薬が実は治療効果のない粗悪品で、結果的に子供が死んでしまうとしたら……このようなことは決して許されるべきでない」と、WHOの事務局長、テドロス・アダノム氏は言います。

2013年9月、パラグアイで44人の子供たちが地元で作られた咳止め薬の服用後に呼吸困難に陥り、そのうち6人は集中治療室にはいるほどの重症となりました。その10か月前に、パキスタンで薬物中毒の成人60人が咳止めシロップを大量摂取したのちに死亡したケースがあったことから、原因が特定され、パラグアイでは手遅れになるのを防ぐことができました。このように、粗悪品や偽造品の医療用品の問題は世界的な広がりをもっています。

物流のグローバル化で問題が拡大

グローバルサプライチェーンが確立され、eコマースで世界中どこからでも医療用品を入手しやすくなった現代。一見便利になったように見えますが、実は、安全基準を満たしていないものや偽造品が世界中に出回りやすくなったという問題が潜んでいます。一度市場に出てしまった医療用品の全てを追跡するのは不可能であり、それらに問題があることが発覚した後に回収を行うのも、決して容易ではありません。

このように「市場に出回る医療用品の品質が安定していない」という問題への対策としてWHOは、「Global Surveillance and Monitoring System」という制度の中で、2013年7月より低品質の医療用品などについての調査に乗り出しました。品質に疑いのある薬やワクチン、医療機器を発見するために141か国550人の調査官のトレーニングを実施し、調査を開始した結果、現在では多くの国々から医療用品に関する問題が報告されるようになりました。

低品質・偽造品の報告数は4年間で1,500件

今回発表されたGlobal Surveillance and Monitoringの初回リポートは、2013年から2017年6月30日までに蓄積されたデータをもとに作成されました。WHOは4年間で1,500件の低品質・偽造医療品の報告を受けました。被害報告の件数を地域別に見ると、アフリカが42%でトップ、南北アメリカが21%、ヨーロッパが21%。なかでも最も頻繁に被害報告があるのが抗マラリア薬と抗生物質です。さらに、報告された1,500件は実際に出回っている粗悪品のごく一部である可能性も高いと考えられています。

またWHOは、88カ国の低所得・中所得国を対象に48,000種の薬について調査した100の研究論文を参考に、医療用品の品質に関するデータを割り出しました。このデータによると低所得・中所得国で使用されている全医療製品のうち10.5%は基準を満たしていないと推測されています。WHOは、より正確に現状を把握するためにも、今後さらなる調査が必要であると考えています。

まとめ

低品質の医薬用品が市場に出回ることは、人々の健康を脅かす大きな問題です。世界全体が協力し、医療品の製造、支給、配給の各段階できちんとした品質管理のシステムを作り上げ、人々が安心して医療品を購入・使用できる社会を作っていきたいものです。そのために私たちができることは一体何か、考えてみましょう。

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