1. 医療サプライのリサイクルで世界を救え!米国メーン州のとある女性のチャレンジ

海外医療トピックス

2018.02.22

医療サプライのリサイクルで世界を救え!
米国メーン州のとある女性のチャレンジ

世界にはさまざまな形で医療分野を発展させるためのボランティア活動を行っている人々がいます。そうした人々の中から今回は、使用されなかった医療サプライのリサイクルシステムを作り上げることで、これまで処分されたり、放置されたりしていた「医療廃棄物(Medical Waste)」を減らす……そんなミッションを掲げたNPO(非営利団体)の代表者、Elizabeth McLellanさんの活動をご紹介します。

米国の医療廃棄物の現状とは

米国メーン州ポートランドを拠点とする「Partners for World Health(PWH)」というNPO団体は、使用期限切れの未使用の医療サプライをリサイクルし、それらを必要としている国々へ送る事業を行っています。PWHは、「医療廃棄物をリサイクルし、環境への悪影響を減らす」「地域コミュニティーにおいて世界の医療問題の認知度を上げる」といったミッションの下、こうした活動に取り組んでいるのです。

米国の現在の規制によると、手術室やその他の患者治療エリアで使用されなかった医療サプライは、再利用することができません。つまり、一度こういったエリアに置かれた医療サプライは、たとえ未開封・未使用の状態であっても、医療廃棄物として処分しなければならないのが現状です。そして、1年間に処分される医療廃棄物はおよそ7,650億ドルにも上ります。

プロジェクトの始まりは一看護師の自宅から

PWHの創立者、Elizabeth McLellanさんは、医療廃棄物を集め始めた2007年当時は看護管理者として働いていました。Elizabethさんは、勤めていたメーン州ポートランドのMaine Medical CenterのCEOに許可をとり、廃棄された医療サプライを自宅に集め始めました。そして、家中に回収したサプライが溢れるようになった2009年にPWHを正式に発足させ、集めたサプライを他の国に送る事業を開始したのです。

現在では、小さな医療サプライだけでなく、レントゲン撮影機や心電図計測器、麻酔器などの大きなものも保管しています。まだ使えるサプライを廃棄してしまう無駄を減らすと同時に、これらを必要とする国へ送ることで、その地域に住む人々の医療環境の改善を図っているのです。

ボランティアによる社会貢献の重要性

PWHでは、大学とボランティアパートナーを組んだり、インターンを雇ったりもしています。PWHで働く人々の実に98%はボランティアであり、年齢や能力を問わず、多くの人々がボランティアとして働いています。(※PWHでのボランティア活動を行う際には、15歳未満の場合、成人を伴う必要があります)

PWHでは大学にチャプター(支部)を置き、学生にボランティアの魅力や重要性を伝える活動を行っています。チャプターに参加する学生は、地元の病院から医療廃棄物の回収を行ったり、倉庫での活動を手伝ったり、サプライの輸送費を集めるための募金活動を行ったりしながら、社会人として必要なさまざまなスキルも身につけています。

また、PWHが手がけた企画の1つ「Project 10,000」でも、ボランティアたちが活躍しています。このプロジェクトはアフリカの産婦や乳児の死亡率を下げることを目標としたもので、無菌状態の出産用医療器具や、生まれた乳児を温かく保つために必要なもの(ニット帽など)が含まれるキットを1万人の女性に届けるというミッションを掲げています。

まとめ

世界各国で生じている医療問題の解決は大きな課題であり、1人の力ではどうにもならないことも確かにあります。しかし今回ご紹介したElizabethさんの活動は、小さな思いつきも周りの人々を巻き込んでいくことで、問題の認知度向上や新たな解決策の発案につながっていく可能性を秘めていることを教えてくれます。チャレンジ精神や情熱を持って課題解決に挑戦し続ける彼女の姿勢を、ぜひ見習いたいものです。

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