1. 進む子供の肥満化…2022年には「体重不足」の数を超える予想

海外医療トピックス

2018.01.30

進む子供の肥満化…
2022年には「体重不足」の数を超える予想

食事内容の悪化や運動不足が原因で、世界各国で子供の肥満の問題が多発しています。2017年10月にWHO(世界保健機関)が発表した調査結果を見ると、その深刻度が浮き彫りになっています。このまま何の対策も行わなければ、わずか5年後の2022年には肥満の5~19歳の数が体重不足の5~19歳の数を超えてしまう……そんな世界全体の肥満問題の深刻さについて、WHOの調査データを見ながら考えてみましょう。

過去40年で肥満化は急加速

2017年10月に発表された、WHOとインペリアル・カレッジ・ロンドンの共同調査結果によると、2022年には、体重不足の5~19歳より、肥満の5~19歳の数のほうが多くなってしまうと予測されています。当調査は5年間にわたり、3,150万人の5~19歳と、9,740万人の20歳以上を対象に行われました。この調査の中で5~19歳の対象者について見てみると、肥満者の数は過去40年の間に実に10倍に増えていたのです。

5~19歳の肥満者の割合は、1975年にはわずか1%(女子500万人、男子600万人)であったのに対し、2016年には女子6%(5,000万人)、男子8%(7,400万人)となりました。世界の5~19歳の肥満者の数は、1975年には1,100万人だったのが2016年には1億2,400万人まで増加しており、これは10倍を超える増加率で肥満化が進んだということになります。そして2016年度の調査では、肥満の手前である「過体重(Overweight)」に分類される人口も多く、その数は5~19歳で2億1,300万人となっています。

今こそ世界的な取り組みを…

世界的に見ると、低・中所得の国を中心に肥満の子供の人数が増えています。高所得の国では、最近はその数は横ばいになっているものの、肥満レベルは未だに高いままです。当調査リポートの筆頭著者であるインペリアル・カレッジ・ロンドンのMajid Ezzati教授はこうした状況について、「健康的で栄養価の高い食品が貧困層にとって値段が高過ぎることによる」と述べています。

このまま子供の肥満が増加し続ければ、彼らが成人したときに糖尿病などに罹患してしまう確率が必然的に高くなり、その結果、継続的に問題が発生し続けることになります。そういったことを防げるよう、健康によく栄養価の高い食品を家庭や学校で簡単に低価格で入手できるシステムを作ることに、世界全体が取り組むべきでしょう。また、子供たちが非健康的な食品を口にする機会を減らすために、課税を行ったり規制を設けたりすることも必要となってきます。

将来的に世界の医療費が増大

さらに今回の発表内容で注目すべきポイントとして、肥満児の数が増える=低体重児の数が減るという公式は成り立たないことが挙げられます。2016年の調査では中度から重度の低体重である5~19歳の人数は、世界全体で女子7,500万人、男子1億1,700万人程度であるとされています。

すでに深刻な問題である低体重に、肥満化の問題が加われば、必然的に世界人口のうち健康な体重を維持できている人の割合は減る一方です。これまで低体重が大きな問題であった国々にとって、肥満という新たな問題が加わることは2つの問題に対する対策を同時に行うことにつながり、そこにはさらなる費用や労力が必要となっていきます。そして、このまま肥満、低体重といった状態の人が増加していけば、医療界全体にかかる負担は深刻なものとなってしまうことが容易に予測できます。

まとめ

まだ自己管理ができない年齢の子供や若者たちの体重を健康なものに保つためには、親や学校、社会全体のサポートが欠かせないものです。今回の調査結果は、食生活の見直し、運動しやすい環境づくりといった生活習慣の改善が世界的に必要であることを示唆しています。この現状を大人たちがしっかりと把握し、手遅れになる前にしっかりと対策を行っていきたいものです。

海外医療トピックス バックナンバー

この記事を見た方はこんなコンテンツも見ています