1. 対面でのコミュニケーションが、高齢者のうつ病予防に最適―米研究

海外医療トピックス

2016.01.13

対面でのコミュニケーションが、高齢者のうつ病予防に最適
―米研究

ご高齢の患者さんたちとは毎日顔を合わせる一方で、自分の両親にはなかなか顔を見せられない。そんな医師の方々は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
メールや電話で連絡するのも親孝行ですが、高齢者のうつ病予防に最も効果があるのは、対面でのコミュニケーションだそうです。今回は、アメリカの老年医学会雑誌で発表されたオレゴン健康科学大学の研究をご紹介します。

高齢者の精神的健康を支えるコミュニケーション

家族や友人との関係、町内会、趣味の集いなど、社会的な絆を持つことは高齢者にとって大切だと考えられています。社会から孤立せず他者とコミュニケーションを取ることが良い刺激となり、精神的な健康の維持に役立つとされているからです。なかでも、心のつながりが深い分、家族や友人など近しい人とのコミュニケーションは特に重要であると想像できます。
一緒に暮らしている場合は対面でのコミュニケーションが容易ですが、両親から遠く離れたところで仕事をしている場合は、定期的に電話をかけるという人もいるでしょう。シンプルで使いやすい携帯電話やスマートフォンを両親に持ってもらい、メールを利用している人もいるかもしれません。

今回の新しい研究は、それらの「コミュニケーション手段」と「精神的な健康維持」との関係に着目しています。高齢者が近しい人とコミュニケーションを取る際に、対面、電話、メールなど、それぞれの方法によって精神的な健康を維持する効果に違いがあるかどうかを調べることが目的です。

うつ病予防に有効なコミュニケーション方法を調査

この研究レポートの筆頭著者であるアラン・テオ博士をはじめとした研究者らは、ミシガン大学が長期的に行っていた「健康と退職に関する研究(アンケート)」の参加者約11,000名(いずれも50歳以上)を対象に、コミュニケーションの状況を分析しました。
まず、それぞれの被験者について、対面、電話、書き言葉(Eメールを含む)によるコンタクトがどのくらいの頻度で行われているかを調査し、さらにその2年後、同被験者たちにおけるうつ病の兆候を調べました。コミュニケーション方法とうつ病予防との関係性を見るためです。なお、研究の精度を上げるため、「健康状態」「家族との距離(物理的にどれくらい離れたところで暮らしているか)」「元々うつ病にかかっていたかどうか」など、結果に影響を及ぼすほかの因子は調整しています。

対面回数が多いほど、うつ病の予防率がアップ

研究の結果、家族や友人と対面でのコミュニケーションを頻繁に取っている人ほどうつ病のリスクが低いことがわかりました。うつ病の兆候が出る確率は、「少なくとも週に3回以上」の人で6.5%、「2~3か月に1度あるいはそれより低い頻度」の人で11.5%だったということです。
つまり、対面でコミュニケーションを取る機会が最も多い人に比べ、最も少ない人は、うつ病になるリスクが2年後の時点でおよそ2倍近くになったということになります。その一方で、電話や書き言葉によるコミュニケーションをどのくらい行うかは、うつ病になるリスクの増減に影響していなかったそうです。

また、被験者の年齢によって、うつ病予防に最も効果的な対面相手が異なることも判明しました。50~69歳の場合は友人、70歳以上の場合は息子や娘をはじめとした親族という結果です。定年後に友人と趣味を楽しみ始めたというような方も、70歳を過ぎると家族の顔を見るのが一番になるのかもしれません。
いずれにせよ、大切な人の顔をすぐに見られる環境で暮らすことは、高齢者の皆さんにとって、とても有益であると言えそうです。

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