女性医師働きやすさ向上委員会

「女性医師はなぜ産後復帰しない?」女性医師をとりまく厳しい環境出産後の職場復帰

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出産など、女性にとってライフステージが大きく変わる20代・30代。女性医師たちは、果たして仕事と妊娠・出産をどのように両立させているのでしょうか。
今回は、30代後半から40代前半の女性医師3名に、ご自身が経験した出産と育児、そして産後復帰の体験についてお話を伺いました。

高い、女性医師の離職率

女性医師の占める割合が増加し、若い女性医師が活躍する一方で、高い離職率の問題も存在しています。
25~29歳で44%、30~34歳で42%となっており、働き盛りの女性医師の約半数が離職されていることがわかります。医師として一人前になれるのは30歳以降からなので、20代で妊娠・出産をし、仕事と両立させることは現実的にかなり難しいのが実情です。
また、医師業界は男性社会の様相が色濃く、例えば医学部の大学教授、准教授の9割以上が男性医師です。近年では、医師業界全体の女性医師の割合が約30%程度にまで伸びているものの、ヨーロッパ諸国では既に50%を超えていることから、日本の女性医師に対する環境整備の遅れが伺えます。若い女性医師が、キャリアを諦め離職してしまう背景には、医師業界における女性参画の遅れ、女性にとって出産や育児と仕事の両立が難しいことが関係していると考えられます。

【参照元】
OECD Helth Data 2014 日本医師会雑誌9月号掲載 大学医学部、学会、医師会における男女共同参画は 進んでいるか
日本医師会調べ 2014年女性医師数の推移
平成27年 厚生労働省「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会報告書」内、「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)

子どもを産んだら辞めなくてはならない?

女性医師の離職率が高い背景には、病院側の受け入れ体制に多くの問題があるようです。
実際に出産を機に退職をしたFさん(40歳)にお話を伺いました。

「現在は、子供が体調を崩したら早退してもいい、当直なしなど、子育てと両立しやすい環境で働けています。こうした病院が運よく見つかったことは幸いでした。
出産前に勤めた大学病院は、出産時に退職しました。そこでは、子どもを産んだら辞めてくださいとはっきり言われていました。それでも出産を諦めたくはなかったので、子どもを産んだタイミングで退職を決めました。」

女性医師が出産時に退職を余儀なくされるケースは存在しています。
Fさんの産後復帰も、深刻な医師不足から、まずは採用しなければならないという事情が関係しており、「運よく」採用に至ったとのことでした。
「医師が足りないのに、女性医師の産後復帰が進まない。」ここに矛盾があるとFさんは感じているそうです。

女性医師が働きやすい社会へ

【進む院内保育園の設置】
女性医師が産後復帰をしやすい環境の一つに、院内保育園があります。設置する病院は近年急速に増えており、中には24時間対応、病児・病後児保育が可能な院内保育園も存在します。
院内保育園を利用していたMさん(42歳)は「送り迎えもいらないのでありがたいです。でも、病児・病後児保育に対応していない場合は、例え手術中でも子供に熱が出れば呼び出しの連絡が来てしまうんです。病児・病後児保育完備の院内保育園がある病院に勤務していたときは、業務に集中できてとても便利でした。」と語ります。
ワークライフバランスを保ち、産後復帰がしやすい環境を整えるためにも、病児・病後児保育ができる院内保育園の普及が更に進んで欲しいものです。産後復帰を目指す際は、院内保育園、特に24時間対応や病児・病後児保育が可能な院内保育園があるという視点で働く病院を探してもいいかもしれません。

【参照元】
女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会 報告書(厚生労働省) 平成27年1月23日

【支援の動き】
女性医師の産後復帰を支援する動きは少しずつ生まれています。静岡県浜松市の浜松医師会は、女性の開業医や勤務医たちで営む「女性医師支援委員会」を設置し、求人情報サイトの開設や、勤務実態調査を行っています。
ここでは、女性同士ならではの、共感や理解に基づく組織運営が行なわれています。このように、女性医師同士で理解を深め、共同で課題解決を目指すことも大切な取り組みのようです。

【参照元】
静岡新聞「産科女医、産後復帰に壁 20~30代への支援急務」

家族の理解が原動力に

2人のお子さんの出産を経て産後復帰し、開業医としてフルタイムで忙しい日々を送るSさん(40歳)に話を伺いました。
「時短やアルバイトではなく、フルタイムで働き続けたかったので、子どもの世話をベビーシッターさんにお願いしています。夫も医師で仕事が忙しいため、頼ることがなかなかできません。
今は病気の場合専門、休日出勤の場合専門といった、複数のベビーシッターさんにお願いしています。正直ベビーシッター代は相当かかっていますが、それでも働き続けたいと思っています。」
大変ながらも、やりがいを感じながら働けていると語るSさん。その強い原動力を支えるのは、子どもからの理解だそうです。

「なかなか学校行事にも出られませんが、それよりもバリバリ働いている私をカッコイイと思ってくれています。子どもが、ママはすごいねって言ってくれることが一番の喜びです。気合で乗り切っているような怒涛の日々ですが、必死で働く姿を見せられれば、つきっきりじゃなくても子どもはきちんと分かってくれるんだなと。でも、周りのママ友の目や意見を気にしてしまったら正直難しいですね。強い意志がないと今の働き方はできないと思います。」
家族の理解と協力は、仕事と子育てを両立させるための、強い原動力となるようです。

女性医師の出産や育児、産後復帰をめぐる現状は、まだ充分なものとは言えません。彼女たちが仕事と出産を両立するためには、支援制度の拡充と同時に、家族などの身近な支援者が増えることが欠かせないとわかりました。みんなで支え合い、この課題を共通のものとして感じることがその第一歩なのかもしれませんね。

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