1. 様々な病院形態 ケアミックスと回復期の視点から

医師のための医療情報特報便

2019.06.04

様々な病院形態
ケアミックスと回復期の視点から

高度救命救急センター、一般病院など、様々な特徴をもつ病院が数多く存在する現代。そんな現代において、一般病床の機能に加え、精神病床や療養病床などの機能を併せ持ったケアミックス病院が活躍しています。また、急性期(亜急性期)、回復期、慢性期の患者さんを幅広く診るケアミックス病棟が活躍する一方で、回復期のみに特化した「回復期病棟」も多くみられるようになりました。今回はケアミックス病院と回復期病棟の違いや特徴などを紐解いていきます。

ケアミックス病院とは?

厚生労働省によると、「ケアミックス病院とは、一般病床と療養型病床または精神病床の混合型病院」のことを指します。つまり「複数の機能を併せ持ち、急性期と慢性期で構成されている幅広く様々な状況に対応できる病院」です。また、療養型病床が一般病床に進出したのではなく、もともと一般病床であったものが、療養型病床へ転換することが多いようです。この転換には国の政策による影響もありました。一般病床削減政策が始まり、平成18年の診療報酬改定で診療報酬は療養型優位となりました。その影響が高齢化とは別に一般病床が療養型病床への転換を推し進めた要因とも考えられます。そのためケアミックス病院は国の政策により誕生した病院であると言えます。

回復期(リハビリテーション)病棟とは?

回復期(リハビリテーション)病棟とは、簡単にいうと「症状を改善させて社会復帰を目指す」ための病棟になります。リハビリテーションは回復期病棟のみでなく、急性期病棟やクリニックでも実施されますが、どのような違いがあるのでしょうか。

急性期病棟では、症状がある程度軽快すると退院または転院しなくてはなりませんが、それまではリハビリテーションを受けることが出来ます。そのため、急性期病棟から退院した後は必要に応じてクリニックに通院してリハビリテーションを受けることになります。一方、入院したままで、そこから社会復帰を目指す場合は、回復期病棟でリハビリテーションを受けることになります。

回復期病棟にはリハビリテーションを受ける目的で入院される方がほとんどです。社会復帰を目的としていますので、今まで仕事や学業に従事していた若年層から、高齢者まで様々な方が入院してきます。入院するためには、治療や手術を受けた急性期病棟に診療情報提供書を送ってもらい、期日内に転院する必要があります。疾患により異なりますが、最大180日入院することができる特徴があります。

回復期病棟では、社会復帰のために1日最大3時間のリハビリテーションを行います。クリニックでの通院リハビリには無い特徴として、入院しているため、起床から就寝までの流れを医師や理学療法士が把握しやすく、整容や排泄など、社会復帰に必要な動作を訓練できることが挙げられます。そして、急性期を脱したとは言え、まだまだ生活に不安を抱える状況で、24時間の手厚い看護を受けることができることも利点といえます。

また、回復期病棟は疾患により入院できる日数が違います。ここでは、実際にそれぞれ疾患ごとに何日入院可能なのかを見ていきます。

1 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後又は手術後、義肢装着訓練を要する状態 2ヶ月以内 150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 180日
2 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態 2ヶ月以内 90日
3 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 2ヶ月以内 90日
4 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 1ヶ月以内 60日
5 股関節又は膝関節の置換術後の状態 1ヶ月以内 90日

上記のように、それぞれ疾患によって入院可能な日数が違うことがわかります。この限られた期間の中で、出来るだけ早く社会復帰できるように支援していくことが回復期病棟の役割となってきます。

ケアミックス病院と回復期病棟のメリット,デメリットについて

ケアミックス病院(急性期病床、慢性期病床の両方を備える混合型病院)と、回復期に特化した病棟について確認してきました。ここからは、それぞれの病棟で働くメリット、デメリットを考えていきます。

ケアミックス病院

・メリット

医師として働き始めた場合、急性期から慢性期、そして看取りまでを請け負っているケアミックス病棟では幅広い経験を積むことが出来ます。急性期、または慢性期のどちらかで長くキャリアを積んでいると、新しい分野への挑戦は難しく感じるかもしれません。しかし、ケアミックス病院であれば複数の異なる病床があるので、今までのキャリアを生かしつつ、新しいことにも挑戦しやすくなるのではないでしょうか。キャリア以外にもケアミックス病院にはメリットがあります。それは、自身のライフスタイルの変化に対応できるということです。急性期病院に勤務している場合、時間のコントロールが難しいため、出産や介護など、急なライフスタイルの変化には対応できない可能性があります。しかし、ケアミックス病院であれば多種多様な働き方を検討することも可能です。

・デメリット

ケアミックス病院には急性期病床が含まれています。そのため、勤務形態によっては当直の頻度が多くなることや、呼び出し回数の増加、手術などで大きなリスクを抱えることも多くあるため、心身の疲弊に繋がる可能性もあります。

回復期病棟

・メリット

社会復帰に向けて急性期に比べて長い時間をかけて患者さんに寄り添うことが出来ます。療養型においても長い時間寄り添うことは可能ですが、社会復帰を目指すというよりは看取りを含めた病院での生活空間創りのため、回復期とは目的が異なります。回復期病棟では、家族、本人と話し合いながら社会資源を活かし、より在宅医療と連携した考え方を構築することが可能となります。

・デメリット

回復期病棟は、安定した病状の患者さんが入院してくる場合もあるため、手術などを多く経験し、経験値を積みたい場合には、希望に沿わない可能性があります。また、回復期病棟がある病院の診療科によっては整形外科中心であったり、脳疾患中心であったりと偏りがあるため、幅広い疾患を学ぶ機会が少なくなる可能性もあります。

まとめ:病院や病棟を判断する際に必要なこと

今回はケアミックス病院と回復期病棟についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。これから先、高齢化に伴って病棟や病院の在り方はその時代の要望に応じて変化していくと考えられます。それぞれに特色や、病院機能の違いがあるため、まずは自分自身がどのような経験を積み、またその経験を活かしてどんな医師として働いていきたいかを重視して判断することが大切だと考えます。

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