1. スーパー救急病棟 精神科入院病棟の今

医師のための医療情報特報便

2019.05.28

スーパー救急病棟
精神科入院病棟の今

現在、精神疾患の患者さんは全国に390万人いるとされており、その数は年々増加傾向にあります。その内入院している患者さんの数は、平成26年度の資料では31.3万人となっており、入院してから退院するまでには長期間の治療が必要な患者さんも多く、実際に入院する患者さんの3分の1程度しか1年以内に退院できていないのが現状です。そんな中、精神科の急性期治療に特化したスーパー救急病棟(正式名称は精神科救急入院料病棟)というものが存在するのをご存知でしょうか。今回はスーパー救急病棟と精神科について考えていきます。

精神科の現状

日本の精神科医療では長年「長期入院」が課題とされてきました。国は、精神疾患の患者さんの増加により入院が長期化することで、経費維持や医療従事者の確保が困難となることを危惧し、2004年には「10年間で7万床の削減」を目標に掲げました。その後、入院する患者さんの数は徐々に減少しましたが、削減できたのは1万~2万床程度にとどまりました。

その理由の一つとして、入院している患者さんは社会的入院が多いことが挙げられます。高齢化にともない認知症の患者さんが増加し、支援がないため自宅復帰が困難となることで、そのまま入院を継続することが多くなっているようです。

しかし、時代の流れとともに各精神疾患の全体に占める割合も変わってきており、平均入院日数に関しても、平成23年には初めて300日を切るなどの変化が見られています。これは、平成元年から比べると23年間で約180日の短縮となっています。

スーパー救急病棟とは?

前述したように、平均入院日数は徐々が減少している理由としては、精神科に特化した急性期病棟の誕生と、病院外(地域)での支援体制の確立が考えられます。

精神科急性期に特化した病棟の誕生

日本では2002年の診療報酬改定により、精神科救急入院料病棟(スーパー救急病棟)が設置されました。全国各都道府県に24時間電話対応が可能な精神科救急医療情報センターが配置されており、各精神科救急を紹介する仕組みもあります。これにより、精神疾患によって不安などを抱える患者さんや家族が迅速に治療を受けることが可能になりました。

しかし、スーパー救急病棟の数はまだ多くありません。その理由としては病床の半分以上が個室であることや、新規入院患者の6割以上が3ヶ月以内に退院すること、人員配置については精神保健指定医が常勤で5名以上いること、新規患者を4分の1又は30件以上受け入れていることなど、厳しい基準が定められていることが挙げられます。手厚い人員体制が定められているからこそ、24時間体制で患者さんの急性期対応が可能になります。

スーパー救急病退院後の課題

スーパー救急病棟の1番のメリットは、精神保健指定医や専門看護師などの医療職による手厚い治療体制が挙げられます。それにより、3ヶ月以内に退院という厳しい基準も満たせることに繋がっています。

早期退院への支援

スーパー救急病棟に入院する患者さんの全てが、3ヶ月以内に退院することが可能であるわけではありませんが、3ヶ月以内に退院している患者さんの方が多いため、退院後に再び入院することが無いように、ケアし続けることが重要となってきます。具体的には、外来受診を定期的に促し相談支援、就労支援サービスを利用してもらう、訪問診療を実施するなど、受け皿を確保することに力を入れることが必要となってきます。そのため国は精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を提案しております。

まとめ:地域との連携

今回は精神科のスーパー救急病棟に焦点を当てましたが、いかがだったでしょうか。長期入院する患者さんが減少傾向にあるとはいえ、未だに多くの病院は長期入院患者を抱えています。その要因としては、現代の社会背景から生じた認知症やうつ病などの増加が挙げられます。

今後もスーパー救急病棟の活躍により徐々に平均入院日数は減少していくと考えられますが、再入院を防ぐためには退院後の患者さんや家族、入院が長期化している患者さんへの継続した支援が重要となってきます。そのため、地域で患者さんを支える仕組みづくりを、社会資源を活用しながら整備していく必要があると考えます。

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