1. チーム医療の必要性を考える 医師の立場、コメディカルの立場から

医師のための医療情報特報便

2019.05.22

チーム医療の必要性を考える
医師の立場、コメディカルの立場から

医療提供する際には医師や医療職、医療職同士の協力体制はより重要なものとなってきています。医療従事者の協力体制が整えば、さらに治療や病院業務の効率化を図ることができます。今回はチーム医療の必要性を考えていきます。

チーム医療とは?

医療現場では治療を行う際に、患者さんを治療、支援する際には院内の医療資格者である医師、看護師、薬剤師などがチームを組んで対応していきますが、医療資格者ではない医療事務なども含めてチームとして捉える必要がある場合もあります。

チーム医療の概念

それではチーム医療の概念について考えていきます。厚生労働省は近年、医療の質や安全性の向上および高度化にともなう業務の増大に対応するため、多職種連携が必要であると提言しています。多種多様なスタッフが各々の専門性を前提として情報共有をし、業務分担をすることで患者さんにとって最適な医療が提供出来ると考えられているからです。その多職種連携を「チーム医療」として、今、医療現場では様々な場面でチーム医療が実践されています。

厚生労働省におけるチーム医療の考え方

現在、医学の進歩と高齢化の進行により、ただ目の前の患者さんに対して身体的な治療を行うだけに留まらず、社会面、心理面にも配慮した医療提供が求められています。そういった医療提供のためには、医師、看護師などの専門性の範囲を超えたケアが必要になってくるため、チーム医療が必須となってきます。
このような背景によってチーム医療の重要性が注目されたことにより、厚生労働省は、平成21年に「チーム医療の推進に関する検討会」を開催し、平成22年には報告書「チーム医療の推進について」を取りまとめるなど、チーム医療を推進してきました。
厚生労働省は、チーム医療の推進の目的を「専門職種の積極的な活用、多職種間協働を図ること等により医療の質を高めるとともに、効率的な医療サービスを提供することにある」としています。そして、現状の改善を図るには①コミュニュケーション、②情報の共有化、③チームマネジメントの3つの視点が重要であるとしています。また、効率的な医療サービスの提供には①情報の共有、②業務の標準化が必要であるとも掲示しています。

チーム医療の現場

ここまでチーム医療の概要や目的をご紹介してきましたが、実際にチーム医療がどのようにおこなわれているのか見ていきます。

褥瘡対策チーム

看護師が褥瘡発生リスクを随時評価し、医師・薬剤師・看護師がベッドサイドにて薬剤選択及び治療方針の決定を行い、ハイリスク患者に対して積極的な体位変換を実施する取組により、ハイリスク患者が多い中で褥瘡発生率を低く抑え、治癒率も良好な水準となっています。

せん妄対策チーム

せん妄は全患者の10~30%に起こるといわれており、発生すると必要な治療やケアの実施が困難となるだけでなく、患者の安全や安楽が脅かされ重篤な状態であるといえます。せん妄患者やせん妄リスク患者に対して、主治医、精神科医、看護師、薬剤師、作業療法士等がスクリーニングや危険因子の除去等の予防的アプローチと早期介入、継続的な評価を実施することにより、せん妄の発生率の低下や重症化予防を行うことができ、有害事象の発生防止や入院期間の短縮に効果があります。

子供の入院支援チーム

小児医療では、子供が成長する段階に応じて課題を挙げ、それを整理していくことが重要となります。そのため、医師、看護師だけでなく成長に必要な栄養を考えていくための管理栄養士や、さらには教育の専門家である保育士や学校教諭などの教育者も交えた医療提供が必要となってきます。また院内学級がある病院や施設においては、チャイルドライフスペシャリストが、病気や治療への年齢や発達に応じた理解を促す支援を行っています。このように、その場面に応じて、医療従事者だけでなく様々な分野の専門家が患者さんのためにより良い医療提供が出来るように尽力しています。

患者さんの状態に応じたチーム医療

院内で褥瘡や小児など特定の課題に対して専門性を活かしたチーム医療を提供するための取り組みをご紹介してきましたが、ここでは急性期、回復期など、患者さんの状態に応じて活動しているチーム医療をご紹介します。

急性期における栄養サポートチーム

急性期は病態変化が起きやすい時期です。特に、経口摂取が難しい時期であるため、栄養状態により身体所見が変化しやすい時期となります。この急性期におけるチーム医療では、管理栄養士を病棟に配属し、身体状況の把握や業務の標準化や電子カルテの標準化を通じた情報共有が出来るような体制をとっています。また、栄養面の変化に対応するために、スタッフがPHSなどを持ち、情報共有や呼び出しにすぐに対応できるような勤務体制を整備しているケースもみられます。

急性期脳血管障害患者のリハビリテーションにおけるチーム医療

脳卒中患者さんを受け入れる「脳卒中ケアユニット」においては、リハビリテーションを実施する理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を指定人数配置しておく決まりがあります。脳卒中の患者さんは、麻痺等の度合いにより経口摂取が困難となる場合もあるため、リハビリ専門職や多職種による早期介入を実施していくことで、経口摂取を可能にすることを目指しています。また、最近は電子カルテなどが普及しているため、チーム内で治療の進行状況を共有しながら、急性期にて刻々と変化する状態に臨機応変に対応できるリハビリテーションの提供をおこなっています。

回復期リハ病棟における転倒対策

回復期リハ病棟へ入院される患者さんは、今後社会復帰する可能性が高い状態です。医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、介護福祉士などのスタッフが、運動機能、高次脳機能、排泄機能、服薬などの状況を共有しながら治療プログラムを決定していきます。

まとめ:チーム医療に必要な要素

今回はチーム医療についてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
チーム医療が取り入れられてから10年近くたち、様々なかたちでチーム医療が実践されています。しかし、実際の現場では取り決め以上に臨機応変に対応する力が必要となってきます。医師、看護師、薬剤師など、多職種の連携が実現することにより、患者さんにとって最適な医療が提供できるでしょう。

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