医師のための医療情報特報便

2018.12.17

専門医について
呼吸器内科編

現在我が国においては、大学などの医師養成校にて6年間の教育を受けた後、卒業後2年間の臨床研修制度が設けられています。この研修は、将来の専門性にかかわらず医師として基本的な能力を身につけることを目的としています。2年間の初期研修中に必ず6か月は研修を行わなくてはならない必須研修科目に内科が含まれています。

ご存知の通り、内科は主要診療科です。しかし、医師に求められる能力は多岐に渡り、基本診療科の枠組みを超えて、更に専門性が求められます。

今回は、主要診療科である内科に焦点を当て、さらに、専門領域を勉強した際に見えてくる呼吸器内科医についても紐解いていきます。

内科医について

医師として働いているけれど、普段の業務が多忙である為に、自身の専門領域しか把握していない場合も少なくありません。

現在、専門領域は多岐に渡り、一般病院には多くの診療科があります。厚生労働省が発表している「医療施設調査・病院報告の概況」によると、病院が標榜する診療科目別施設数(重複計上)は、平成28年度では「内科」が6,799施設と一番多くなっており、一般病院の92.1%が内科を置いています。次いでリハビリテーション科が5,500施設、整形外科が4,918施設となっています。

この結果から、多くの診療科のなかでも内科は、ほとんどの病院で標榜されているメジャーな診療科であることがわかります。ではなぜ内科が多いのでしょうか? それは、専門医としての内科制度が存在している一方で、現在の法令では医師免許があればどの科の診療を行っても良いことになっているためだと考えられます。

全ての医師が内科医として診療が可能であるため、医師間に技量、見識の差があることも確かです。そこで、内科医として広い知識と練磨された技能を備えている優れた臨床医を社会に送り出すため、日本内科学会は、さらに一定の研修などを受けた医師を「認定内科医」とすることを定めました。

また、認定内科医の水準を超えて、広く研修医・レジデントや他診療科医からのコンサルテーションにも応じて適切な指導や内科診療を指示出来る臨床能力がある内科医を、「総合内科専門医」と定めました。

これにより、標榜科の名前だけではわからない知識や技術の差に関しては「認定医」、「専門医」の制度を指標とすることで患者さんが安心できる材料となりました。

呼吸器内科医になるためにすべきこと

内科を標榜する病院が多く見られる一方で、より専門的な分野に分かれて患者さんの要望に応じた治療が確立できるように、内科のような基本診療領域から派生する「Subspecialty領域(29専門医)」が誕生しました。これらの専門医制度は、患者さん・国民の「標準的で信頼できる治療を受けたい」、「地域間格差を小さくしてほしい」という要望と、「自信を持って医療を担うことの出来る一人前の医師になりたい」、「充実した研修を受けたい」という専攻医の想いから生まれた制度になります。

今回は、数多くある専門領域の中から、呼吸器内科医になる方法を見ていきます。そもそも呼吸器内科とは、内科の中の呼吸器領域を指します。

呼吸器内科の専門医になるためには、前述した認定内科医であること、かつ日本呼吸器学会に所属していることが前提となります。日本呼吸器学会に所属し、認定内科医を取得して3年のあいだは、日本呼吸器学会認定施設において、所定の研修カリキュラムに従い「呼吸器病学」を学び、論文制作、発表を実施することで受験申請をし、専門医試験となります。既に呼吸器内科の専門医を目指されている医師の方々はご存知だと思いますが、呼吸器内科の専門医となるには医師として多くの知識、経験が必要となります。

呼吸器内科の未来

呼吸器内科医として働く場合、どのような魅力があるのか考えていきます。呼吸器内科は「呼吸器病学」を学ぶことから始まります。呼吸器病学は急性期医療から在宅医療まで、幅広くカバーすることが可能です。

日本に限らず世界的に見ても、患者さんの訴える「風邪」(上気道のウイルス感染症)の場合には、必ずと言っていいほど「咳」という症状がついてきます。その咳という症状は果たして、ただの咳なのか、それとも他の感染症からなのか、もしくは、何らかの肺疾患ではないのかなど、幅広い症状や患者層に対応する必要があります。すなわち呼吸器内科医とは、人が産まれてから死ぬまで一生付き合い続ける疾患に対して向き合っていく専門医ということになります。

また、超高齢化社会にともない、呼吸器疾患が増加することで、今後ますます呼吸器内科医の需要が高まると考えられています。WHOが予測している2020年の10大死因の中に、呼吸器疾患がなんと4つも含まれています。日本だけにとどまらず、世界的に見ても呼吸器内科医の需要は高いといえるでしょう。

まとめ:医師として呼吸器内科医として

日本における病院の診療科は内科が多く、その理由と、そこから細分化する専門医について呼吸器内科を中心に紐解いてきましたが、いかがでしたでしょうか。呼吸器内科という専門領域は、基本診療領域である内科のエキスパートであると同時に、患者さんをさまざまな角度から診療可能となるということがお分かりいただけたと思います。

前述したWHOの報告のように、今後日本だけでなく、世界的に見ても呼吸器内科医の需要はますます高くなると考えられます。

開業を考えている方にとっては、患者さんの生涯に寄り添った身近な診療が可能であり、また、感染症などの知識が豊富にあることから産業医や保健所、行政での勤務も可能になると考えられます。

他の診療科で働いている医師の方や、現在内科医として働いている方は特に、これから先活躍の場が広がっていく呼吸器内科医としての道を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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