1. 医師不足と地域格差 対策と働き方改革とは!?

医師のための医療情報特報便

2018.10.19

医師不足と地域格差
対策と働き方改革とは!?

高齢化社会となった現代。医療業界は益々需要が増えてきており、団塊の世代全員が75歳以上となる2025年に向けて人材不足が叫ばれています。間近に迫った2025年を前に、医療業界では働き方を見直す時期がきているかもしれません。医療業界においては必要不可欠である医師の不足や地域格差を考えた上で常勤だけでなく非常勤という働き方についても模索していきます。

医師不足と地域格差

医療業界に限らず様々な場所で課題となっているのが2025年問題です。2025年問題とは、団塊の世代といわれる層が全員75歳以上となる年であり、日本では大よそ5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上となります。このように多くの方が高齢者となることで、様々な問題が起きることが考えられます。

一番問題視されているのは、病院の利用者数が増えることです。高齢者が多くなると病院を受診する人が増えます。疾病により入院や手術が必要な方は長期療養となることもあります。入院や手術をする方が増えると相乗して医療費も高騰する結果となり、支える若者が減少するとされる2025年では医療費が国の財政を圧迫するといわれています。

また、病院を利用する人が多くなるということは別の問題も招きます。それは医療従事者の不足です。医療従事者は看護師、薬剤師など様々な資格がありますが、その中でも医師は現在も不足しているといわれており、更に2025年問題が重なると、医療の需要はあっても医師不足がゆえに経営破綻してしまう病院が多くでてくる可能性すらあります。

日本における医師数の増減は、時代の議論によって常に揺れ動いてきました。1970年代にも医師不足が懸念され「一県一医大構想」に基づき1981年には目標の増加率を達成しました。しかし1986年になると、2025年までにおける医師数増加率を考えた際10%過剰となると懸念され、医師数削減が実施されていきました。

しかしその懸念とは裏腹に、高齢者増加や医師偏在による地域医療危機に直面してしまった現代の医師不足の状況をみてみましょう。我が国の人口1,000人あたりの医師数は2.3人と、1番多いオーストリアの5.0人に比べて大な差があり、医師が不足しているといえる結果となりました。人口からみて医師数が少ないということは、日本において病院を利用する人が多くなるであろう2025年では、対応する医師の少なさから「薄い医療」となる可能性があり正に危機的状況であるといえます。また、診療科や地域によっては医師数の格差が問題になっています。へき地にいくほど医師数は少なく、東京で言えば都心である区中央部とへき地である島嶼部(とうしょぶ)では人口10万人あたりの医師数は格差10.6倍となっています。

医師偏在対策と働き方改革

前述したように、日本においては現在もこれからも医師不足が問題視されていますが、厚生労働省はこれらの問題を改善するための対策を実施しています。

対策内容として、まず単純に医師数を増やすために医学部定員を増やすこと。そして、医師の地域偏在を解消するために、地域枠を導入したり、医師数の多寡を統一的・客観的に把握することができる医師偏在指標を取り入れることで、医師の多い地域と少ない地域を可視化し、これにより少ない地域での医師確保を目指すというものです。

医師不足、地域偏在を受けて変化し続ける時代の中、今医療現場で活躍する医師の働き方改革に注目が集まっています。

働き方改革の内容は、厚生労働省医政局が公表した「医師偏在対策について」に詳しく書いてありますが、簡単に説明すると、過剰労働を解消するために労働時間に制限を設けるということです。ここでいう労働時間とは時間外労働のことであり、常勤で従事している病院ではない外部労働の場合も含まれます。

厚生労働省が公表した働き方改革は、あくまでも医師が過重労働となりがちであるため、それを防ぐための時間的な制限が主になります。しかし時間外労働や常勤勤務外(非常勤)での仕事を見直すという国の方向性は常勤、非常勤という働き方を見直すということに繋がります。このような見直しはまさに、医療業界で働き方改革が求められていると言えるでしょう。

常勤、非常勤の違いとこれからのあり方

前述したように医療業界で医師の働き方改革が求められる現代において、医師の勤務形態を知っておくことは自分自身のライフスタイルを確立するためにも非常に重要となってきます。まずは、医師における常勤、非常勤には具体的にどのような違いがあるかを考えていきます。

医師でない会社員などの場合、常勤、非常勤というと社会保険の有無や時間的な要素、金銭面の違いを想像すると思います。医師の場合もほとんどは同じであり、常勤は原則として病院で定められた勤務時間全てに従事することになります。しかし、ここからが会社員などとは異なります。病院にて定められた1週間の勤務時間が32時間未満の場合は非常勤になるのです。つまり、病院で定めた勤務時間により常勤なのか非常勤なのかが変わるということです。また医師の場合、社会保険なども非常勤勤務であってもきちんと保証している病院が多く存在します。

つぎに、医師の常勤、非常勤に関するメリット・デメリットを考えていきます。

常勤のメリットとしては、福利厚生が保証されており金銭面が安定していることが挙げられます。それにより住宅ローンを組むことなども容易となり、社会的信用を得ることができます。

対して非常勤のメリットは、自身のライフバランスを考えて働けることです。例えば、子供が産まれたばかりであれば育休や離職が多くなりがちです。非常勤であれば、自身で勤務時間も調整できるので保育園などに子供を預けた後、迎えに行くまでの時間で勤務できるように調整したりすることができるので、離職をせずに仕事を続けることが可能となります。また、医師の非常勤の場合は「定期非常勤」と「スポット」という働き方ができます。定期非常勤とは決められた日時に勤務することで、スポットとは月に1度この日と決めた日のみ働くという方法です。このように、非常勤の場合は自身の生活に合わせた働き方が可能です。

常勤のデメリットは、長期的にその職場で勤務する必要があることで起こるものがほとんどです。例えばストレスを抱える環境でも人間関係を構築し続けなければならないこと、オンコール対応や研究課題など、病院によっては診療以外の事務作業などに携わらなければならないことが多いこともあります。

非常勤のデメリットとしては社会保障が整っていない為、自身で国民年金などに加入しなければならないことや、常勤の医師にくらべて社会的信用度が低いことです。

このように常勤、非常勤での違いはいくつかありますが、常勤に比べ非常勤の医師はライフバランスの構築がしやすいのため、働き方次第では医師の地域偏在などを補う救世主となる可能性があると言えます。

まとめ:時代と自分に合った働き方で生きていく

今回は高齢化社会に伴う社会変化や、それに対応する医師の働き方を考える内容でしたが、いかがでしたでしょうか?

刻一刻と変化する社会、医療業界の中で医師の存在は非常に大きなものです。その分責任も大きいですが、国は様々な問題を解決する為の対策を色々と打ち出しています。これからの時代、ますます医師の存在は社会に欠かせないものとなりますが、無理をすることなくまずは自身の健康や環境を考え、自分にあった働き方を模索してみるのもよいかもしれません。

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