スタッフの雇用・育成成功事例

【第5回】 定着(2)

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家族の理解を引き出す取り組みで 働きやすい環境づくりを推進

定着させるポイント
(1)  「家族のことが一番大事」という風土づくり
(2) 診療所の行事には家族ぐるみで関わってもらう

医療法人つばさ つばさクリニック、2009年に開院した在宅医療特化型の診療所だ。同院の診療圏である岡山県倉敷市周辺は人口50万人弱の、大きすぎず、小さすぎず、中途半端な大きさの地方都市である。このような地方都市でどのように優秀な人材を集めるか、いつも苦労している。そのような状況のなかでは女性の活躍が必須だが、女性にとって、働き盛りと言える時期と、結婚、出産、育児に携わる時期が重なってしまっており、ともすると結婚や出産などを機に、貴重な人材を失ってしまうことが考えられる。そのため、同院では開院当初からどのようにしたら働きやすいかを考え、工夫をしながら、一番脂ののった時期に家事や育児をしながらしっかり働ける職場づくりをおこなっている。

現在、同院には医師12人、看護師17人、MSW2人、事務12人、ドライバー8人が勤務している。そのうち、女性は医師4人、看護師17人、MSW2人、事務9人。スタッフの8割強は既婚者で、約7割に育児が必要な子ども(未成年者計60人、うち7割が小学生以下)がいるという状況で、家事育児と仕事の両立支援は欠かせない取り組みだ。

女性のサポートをおこなううえで中村幸伸理事長が最も大切にしている視点は、「家族の協力をいかに引き出すか」だ。女性が結婚し、育児をしながら仕事を続けるには、配偶者や子どもの理解と協力が欠かせない。それがなければ本人がいくら働きたいと考えたところで勤務を続けるのは難しいだろう。反対に、家族が理解してくれれば、これほど心強いことはない。

そのため、この視点から考えついたのが、(1)「家族のことが一番大事」という風土づくり、(2)診療所の行事には家族ぐるみでかかわってもらう??―の2つだ。


まず、「家族のことが一番大事」という風土づくりは、仕事も大切だけれど一番大事なのは家族だということがきちんと伝わっていれば、協力も得やすいのではないかと考えた。具体的には、入学式や卒業式、運動会、参観日、親子遠足など、子どもの行事があるときには仕事より家庭を優先してもらう。また、学校での面談など短時間の用事のときには仕事の合間に抜けて用事を済ませ、勤務に戻ってくることを認めている。

子どもの調子が悪くなったときには、ほかのスタッフがバックアップにまわり、できるだけ速やかに早退して子どものもとへ駆けつけられるようにしている。これは女性スタッフに限ったことではなく、中村理事長自身も可能なときには卒業式や参観日に参加。トップ自らが率先して行動することにより、風土として定着させることを心がけているのだ。

2つ目の診療所の行事については、職員旅行や歓送迎会、忘年会などには家族みんなで参加してもらっている。家族にも参加してもらうことで、「家のことが放っておけないから参加できない」という悩みを解消し、しっかりストレス発散する機会とするためだ。こうした場に家族を招くことで、普段の「奥さん」「お母さん」ではなく、診療所で働く一員としての顔を見せることもできる。仕事中の様子はなかなかわかりにくいが、仲間から大切にされ、後輩から慕われる妻や母の姿を見てもらうことで、仕事に対する理解も深まるのではないかと期待している。


【出典】
『クリニックばんぶう』2015年11月号
【取材先】
医療法人つばさ(岡山県倉敷市)

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